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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第24章『終焉の茶会、平和という名の地獄』

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08.地獄を見て、地獄に加担す

プールの外に立っただけで、異常さははっきりと分かった。

水を叩く音が断続的に響き、風が建物の中を抜けていく。

その合間に、悲鳴が混じっている。


「大精霊の魔力の波動を感じるであります」


龍也は、空気の流れを読むように周囲を見回した。


「いや。その前に悲鳴が聞こえるのだが?」


まさきは、素直な疑問を口にする。


「魔力コントロールでこんな悲鳴なんて上がらいにゃーん」


楓は、プールの方をじっと見つめたまま言った。


「…………プールってあそこかな??」


九曜は、建物の奥を指差す。


四人は並んでフェンスの外から覗き込む。

視界に入ったのは、落ち着いた授業風景とは程遠い光景だった。


「……………あれは何をしているんだ?」


まさきの声が、わずかに低くなる。


「えっと………風の渦に生徒を放り投げて、式で生徒をひっぱたいて、エルフの精霊魔法で締め上げて、妖狐の妖術で燃やされてる」


九曜は、見えたままを順に口にした。

説明が終わる頃には、水面が大きく揺れ、誰かが吹き飛ばされている。


「…………コントロール関係ないにゃー」


楓の一言が、状況を端的にまとめた。


「あ、万里たち発見であります」


龍也が視線を動かす。


「頑張ってるね〜」


九曜は、プールサイドに立つ顔ぶれを見て言った。


「ゴローはどこにいるんだ?」


まさきは、人数を数えるように目を走らせる。


「……………長い事あってなくて忘れてるにゃーん」


楓は、特に悪びれずに答えた。


その瞬間、プールサイドの一角がざわつく。


「……………あ、九曜たちなんだよ!」


クロマの声が上がった。


補習に関わっていた全員が、一斉に外を見る。

水音と風音の中で、視線だけが揃った。


「見つかったか……」


四人は、ほぼ同時にそう思った。


「…………ギルドの魔術師たちか……」


夜行が、短く状況を把握する。


「ども」


九曜は、軽く手を上げた。


「兄貴ーーーーー!!!」


勢いよく叫びながら、ゴローがこちらを見る。


「お前誰だ?」


まさきは、間を置かずに返した。


「ゴローだよ!!忘れられてるだろうなって思ってたけどよ!」


「…………????5年前のゴローはこんなに大きくないが?」


まさきは真剣な顔で首を傾げる。


「身長伸びたんだよ!」


「…………そうか……大きくなったな……ゴロー??」


「ゴローだよ!」


「そうか……すまん」


そのやり取りを横目に、万里が小さく息を吐く。


「お父さん……」


「万里………」


龍也は、視線を逸らしたまま返事をした。


「ヤダ、お父さんまたアトピー?」


「そ……そうであります!」


クロマたちは、一瞬だけ無言で固まる。


(いや、竜の鱗だろ。気づけよ)


「おかえりなんだよ」


クロマが、ようやく場を戻す。


「ただいま……で、何してるの?」


九曜は、改めてプール全体を見る。


「地獄のコントロール」


クロマの返答は簡潔だった。


「お前らまだできてないにゃん?」


楓が、率直に聞く。


「マスターからの命令で行けって………」


万里は、肩をすくめる。


「そっかぁ…………」


九曜は、風の渦と生徒たちを順に見た。


「ゴローたち………」


まさきは、その様子を黙って見つめる。


「俺たちも手伝うにゃーん」


楓が、あっさりと言った。


「さすがにね………」


九曜も、迷いなく頷く。


「最悪なんだよ」


クロマが、ぽつりと呟いた。


「あ、出来てなければプールに沈めてもいいんで」


シルフが、何の気負いもなく言う。


「聖女からの許可は得ている」


カイルが続けた。


「死んでも月が蘇生させるから大丈夫よ」


カグラは、楽しげに付け加える。


「んじゃ遠慮なく」


九曜たちは、同時に動き出した。


(ところで………月って誰?)


その疑問は、誰にも拾われないまま、

風と水音と悲鳴の中へ溶けていった。

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