???
ガブリエルの束縛魔法なのかユダを光の輪が拘束する、腕と胴体、脚、翅を縛ったその光はすぐに解けるが瞬時に再生する
「これだけだと体力の消耗も激しそうだな…」
「それと、ユダなんだがなんとかテイム出来ないか?」
「…従属か…出来なくもなさそうだが…」
「本当か!?どうやればいい!?」
「コアの中の魂は既に出た、後はコアに貴様に従順な擬似魂魄でも入れておけばいいさ」
「なるほど…」
「私の魂と違って束縛はされていない…そのまま放つだけでいいだろう」
「わかった、ありがとう、」
メタトロン、擬似魂魄とか作れるか?
《可能》
頼んだ、どれくらい時間が掛かりそうだ?
《即時作成可能》
じゃあ頼む
《作成開始……終了、完成》
「擬似魂魄はある、じゃあ束縛されてるうちに行くか」
「ああ…そうだな」
「ウリエルとラファエルはそこで見張っててくれ」
「は〜い」
「うむ」
〜〜〜
「さて…コアの内部まで来たが…どうすればいい?」
「擬似魂魄を放つだけでいい、特別な事は無い」
「マジか…ほれ」
クリルが手から開放させた擬似魂魄、それは弱々しい光を放ちながらクリルの周りを漂う
「ほえー、意外に可愛いもんだな」
「同意しかねるな…行くぞ…このコアはもう主人が変わった、長いは出来まい」
「おう、行くか」
放たれた擬似魂魄、それは意識を持っていた、己が最も使えるべき者、それを認識し、ユダの体の隅々を支配して行く、指先から末梢神経に至るまで、体の全てを掌握する
擬似魂魄は思案し、自問する
この腕で何がしたい?
仕えるべき者、造物主に仇をなす者を排除する
この脚で何をしたい?
造物主の歩む、その王道を王道たり得る物に踏み鳴らす
この翅でどうしたい?
造物主の望みのまま、どこまでもお連れしたい
この頭で何を思考する?
造物主の利となり、不利となる物を排除する、そのためには世界の理を曲げて見せる
擬似魂魄は咆哮する、得た肉体を震わせ、体の芯から歓喜の咆哮を上げる
「オォォォオォオォォォォォオォオォォ!!!!」
ーーー
「…?我が君がユダの胸部から出てきた瞬間…気配が変わった…?」
「ん…」
ーーー
「あれ…?ユダの魂が入れ替わってる…?ガブリエルちゃん、ご苦労様」
「はぁっはぁ…やっとおわったぁああああああ!」
ーーー
「なんじゃ…結局我の子供達は出番なしかえ」
「あったほうが良かったか?」
「とんでもない事言わんといてくんなされ、子供達が全員出る時は世界が半壊するえ」
「……改めて思うが…その力…規格外すぎるな…」
「大きい反面…生命を削るがの」
ーーー
「おーい、擬似魂魄!お手!」
クリルがそう叫ぶとユダはクリルの手に自らの手を重ねる
「お座り!!」
ユダは空中で翅をバタつかせながらお座りをする
「な、なぁラファエル…」
「なぁに?ウリエル」
「私は今かなりシュールな光景を目にしている気がするんだが」
「ええ、奇遇ね、私もよ」
「…そうか?」
「ルシフェルは違うのか?」
「いや…儚く愛おしいと思うが…」
「「!?」」
ーーー
「おー、本当に良く言う事聞くな…ユダって名前も呼びにくいな…名前をつけなきゃな」
「オォォォオォオォォォォォオォオ!!」
「わかったわかった、嬉しいのはわかったからあんまり大きな声を上げるな」
「クゥゥン…」
「!?」
「?」
「いや…なんでもない……そうだな…お前は…ワン太郎だ!!」
「オォォォオォオォ!!」
「おー、気に入ったかワン太郎」
「お前…ユダに変な名前付けるなよ…」
「そうか?」
「と、とても独創的なお名前です事…」
「そう言うならお前たちはどうなんだ?」
「ん〜…ユダ以外に浮かばないな」
「たしかに…」
「お前は?ルシフェル」
「ふむ…ふにふにもふりん」
「「!?!?」」
ーーー
「と、言うわけで、ワン太郎だ、仲良くしてやってくれ」
「「はぁああああああああああああ!?」」
一介の兵からクリルの側近に至るまで全員が声を揃えた
「すごい音圧…」
「我が君…なんですかその致命的にダッサい名前は…」
「ええ…色々ツッコミたい所はあるわね」
「……」
「そしてそこにいる…あれ?ガブリエルは?」
「ああ、そういえばアホ毛残して消滅しちゃった、我が君が遅すぎるから」
「おい!早く貸せ!メタトロン!!どうにかしてやれ!」
《御意…素体成分を転換し再構築…成功》
アホ毛が光りだしその光は膨張する、やがて素のガブリエルの姿となって舞い降りる
「あれ?私…そっか…堕天して肉体を再構築して…ってぉいいいいいいいいい!!胸は貧乳のままかよ!!大事な所そのまんまかよ!!クソが!!」
「はいはいそこー、復活してすぐひねくれない〜、そして最後に、さっきから私の後ろに居るのは新しい仲間だ〜右から順に「るーくん」「うりちゃん」「らふぁちゃん」って呼んであげてね〜」
「おい!」
「冗談だって、ルシフェル、ウリエル、ラファエルだ〜、そこのガブリエル含めて大天使だったらしい」
「「 」」
その場にいた全員が凍りつく、大天使、その言葉を今一度頭の中で確かめる