第42話 母さまのカグリ……美味いのかな……
本日2話目です。
野菜などの説明は後書きに書いてあります。
お風呂から出たあと、俺は朝ご飯を食べに食卓へと向かう。ちなみに食事はいつもジェシカが作ってくれている。母さまは貴族ではないが、国で1番大きな商会のお嬢様だったため料理に期待できないからな。
ん?俺は勿論できるぞ?伊達に一人暮らしをしていない。家事は得意だ(羽衣と淡海はあまり得意ではない。羽衣は大雑把すぎるし、淡海は細かすぎて時間がかかる)。
……今思い出したんだが、今日ってジェシカいないんだよな?
扉を開けるとフワッと美味しそうな匂いがした。でも嫌な予感がするのは何故だろう?
「セイガ、ご飯できてるわよ」
……できてる?どういう事かな?
俺は部屋に入ってきた頃の笑顔を絶やさない。
「ほら、席について」
とりあえず席につこう。
「ふふふ、今日はね、母さま特製カグリよ♪」
嫌な予感的中したー!!
でも俺は笑顔でいる。
「母さまのカグリ!?僕もはやく食べたいです!!」
「ふふ、そう?じゃあ……はいっ」
俺の前にカグリの皿が置かれる。
その皿の上に乗っているのは……カグリだった。
この世界では白麦と呼ばれる、大麦と同じような味や役割をもつ麦と、一口サイズより少し小さめに千切られたパンを、ファニルル茸というキノコの、出汁のきいているスープでミラとソールが煮込まれたものに入れて、リゾットみたいにしたものをカグリという。家庭によって具材や味付けが違うので面白い。
母さまのカグリはミラとソール煮込まれたもの加えて、サントとヘレンが飾られている。
……見た感じは普通、むしろ美味しそうだ。だが、だからといって味も美味しいとは限らない。……いくぞ……。
パクッ
……普通に美味い。特別美味しい訳ではないが、美味しかった。
「おいしい!母さま、おいしい!!」
「そう?特別美味しい訳ではないけどまぁまぁいけるでしょ?大商会のお嬢様だったわりに、なかなか上手だと思わない?今はお嬢様だったころに比べると、もっと料理と程遠い王妃っていう地位にいるけどね」
ふふふと母さまは可愛らしく言う。
我が母さまながら可愛いです。
そういえばきのこが泥だらけになった服のポケットに入っていたな、忘れてた。
俺は、部屋に行くために席を立とうとする。
くんっ ブチッ カランカラン
え?
何かが引っかかり、首が引っ張られる。すぐにそれが切れて落ちた。
「セイガ、何か落とし、た……わよ……」
母さまがそれを拾う。
「……りのん」
“りのん”を“鈴音”と理解するのに時間がかかった。
前書きの通り、この話に出てくる食べ物について書こうと思います。
1,ファニルル茸 旨味が強い。香りは椎茸の香りをより強くした感じ
2,ミラ ナスが赤くなったような見た目の芋
3,ソール 白菜みたいな食感で、少し苦い菜っ葉。味が染み込みやすく、手に入れやすい。
4,サント カブのような見た目の人参っぽいもの。
5,ヘレン 食用の花。タンポポみたいな形で、1.5センチくらいの大きさ。




