六、
なぜか本隊とではなく、別班と合流してしまった勇樹と耕介は、本隊と安全に合流すべく、間違えて合流した桜の班と共に行動を共にしていた。
ただ単に一緒に行動することになってしまっただけなのだが、桜はどことなく嬉しそうだ。その様子を見たためなのだろうか、シルフはどことなくご機嫌斜めだ。
「だ~か~ら~!なんで、そう勇樹にひっつくのよ!!」
「ひっついてるのはあなたでしょ、シルフ!」
それが証拠に、こうして桜に食ってかかっている。シルフはなぜか、勇樹の周囲にいる女性にはうるさく、教官以外の女性には過剰に反応する。特に桜には敏感だ。
勇樹自身が理由を問いただしても、気にいらない、の一言で説明を終えてしまう。
――はてさて……喧嘩するほど仲がいいというのだろうか、これは……
勇樹は心のうちでため息をつきながら、勇樹は歩を進めた。
ふと、隣を歩いていた耕介が勇樹に話しかけてきた。
「しっかし、班長命令とはいえ、見事にばらけちまったな……あいつ、隊長の器、ないんじゃないの?」
「……すくなくとも、しんがりに戦闘を任せて先に行くあたり、自分の生き残りについては考えているんだろう」
でもって、ああいう連中は、往々にして自分さえ生き残ればそれでいいと考えている。そんな連中の下につくのは御免蒙りたいものだ。
勇樹は声に出さず、心のうちでそう呟く。
ふと、少し後ろを歩いていた桜が、彼らの隣まで歩み寄り、勇樹に声をかけた。
「勇樹くん、どうしたの?」
「なにが?」
「なんだか、すごく悲しそうな顔してた」
勇樹は桜の一言に、驚いたように目を見開いた。
どうやら、顔に出したつもりはなかったのだが、どうやら、桜にはわかってしまったらしい。勇樹はそっとため息をつくと、もとのように無愛想な顔に戻った。
耕介は勇樹のその様子を見て、くすくすと微笑んだ。それを知り、勇樹は不機嫌な面構えになって耕介に問いただした。
「……あんだよ?」
「いや、本当に仲がいいなと思ってな」
「……お前も、俺と桜が付き合ってるんじゃないかって噂に躍らせれてる人間の一人だったか」
勇樹は重々しげにため息をついた。
桜と勇樹は、こうして別行動を取ることはあるが、パートナー同士であるため、基本的には行動を共にすることが多い。そのせいで、交際の噂が流れているのだ。
もっとも、本当にパートナーとなっている場合もある。そのため、将来的には勇樹と桜もそうなるのではないかと、周囲が考えているのだろう。
正直なところ、勇樹としてはかなり迷惑なことなのだが。
「……まぁ、俺はあまりそんなことは気にしないほうだがな……」
耕介は勇樹に聞こえないような音量で、ぽつりとつぶやいた。
もっとも、その声は勇樹には届いていなくても、桜には届いていたようだ。桜は、くすりと微笑みながら、歩き続けていた。




