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シルフの舞~精霊と人の輪舞(ロンド)~  作者: 風間 義介
一章「精霊を操るもの」
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四、

 屍鬼との戦闘を早々と終了させ、勇樹と剣を持った男子は先行している班員たちと合流するため、先を急いでいた。

 その道中、男子は勇樹に声をかけた。

 「さっきはお疲れさん。俺は日々野耕介(ひびのこうすけ)。見ての通り、剣士だ」

 「……月影勇樹、精霊拳士だ」

 一通りの自己紹介を終えると、耕介と名乗った生徒が勇樹に対して質問を――主にシルフについて――ぶつけ始めた。

 シルフは風の精霊だが、そう簡単に召喚できるものではない。なぜなら、彼女は四大精霊なのだから。

 この世界は、火、水、風、土の四元素から成り立っている。精霊はその属性に分類されている。その中でも、特に強力な力を持ち、各属性の精霊たちを統べ、守護する四柱の精霊が四大精霊だ。そして、シルフはその中で風を統べる精霊だ。

 それだけではなく、通常ならば精霊拳士は精霊を召喚できない。精霊を召喚できるだけでも例外的な存在なのだが、それに加えて、四大精霊の一柱を召喚できるのだ。よほどのことがない限り、ありえることではない。

 「で、何か特別な契約でも交わしているのか?」

 「……何と説明したらいいのだろうか……」

 耕介の質問に対し、勇樹はどう答えたものかと考えていると、いつのまにか手甲から出てきたシルフが代わりに答える。

 「特に特別な契約はしていないよ。だって勇樹は「風の寵児(かぜのちょうじ)」だもん」

 「……「風の寵児」?」

 「君のクラスにもいるんじゃない?一つの属性や分野の天才ってやつ。勇樹は風神から寵愛を受けた「風の寵児」だから、風に関わる術は簡単に扱えるのよ」

 だから、私を契約なしで召喚することができるし、私も抵抗なく力を貸すことができるのよ。

 確かに、勇樹は風と精霊の扱いに長けている。しかしそれは、幼少期に育った環境によって左右されるものだと考えられていた。

 「宮」に集められた子供たちは基本的に孤児か、何かしらの理由で親元を離れなければならなくなってしまったものだ。だが、その中でも勇樹は特に特殊なもので、富士の樹海の中で育っていたと言われている。

 富士山という日本の龍脈の中心と、樹海という特殊な空間。そして、森の中であるため、精霊の加護が強く及ぶ場所で育った。それゆえなのではないかと考えられていた。

 「え?……じゃあ、シルフがべたべたくっついてるのって……」

 「それは俺の生命力(マナ)が好みだからだよ」

 勇樹は少し重苦しいため息をついた。

 人間に召喚された精霊は、その力を貸すために代償として、彼らに呼び掛けた人間の生命力と霊力を分け与えてもらっている。

 そして、シルフは勇樹の生命力と霊力をとても気に入っている。そのため、一度召喚されると、こうしてしばらくの間、勇樹のまわりをまとわりつくのだ。

 勇樹はそれが少し迷惑な気がしてならないのだった。

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