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シルフの舞~精霊と人の輪舞(ロンド)~  作者: 風間 義介
三章 「招かれざる者」
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四、

 封筒の中身を確認すると、そこには一枚の紙が入っていた。

 それを引っ張り出すと、たった二行の文がそこにあった。

 「……星そろう時、大いなる古の支配者が呼び出される。大いなるもの呼び出すは、数多の術を授ける学び舎に」

 勇樹は紙に書かれていた文字を読み上げると、そっとため息をつく。

 難解だ。

 読んだはいいが、その瞬間、勇樹の頭の中はその一言に支配された。

 おそらく、護が占いで読み取った結果を、わかりやすいよう解釈した上でこの手紙に書き記したのだろうが、それでも勇樹の頭で理解するには難解だった。

 ――「星そろう」ということは、召喚まではまだ時間がある、ということか……「数多の術を授ける学び舎」って……「(ここ)」なのか?

 難解ながらも、手紙に記された言葉を少しずつ解釈し始めた。

 大いなる古の支配者というのは、おそらく「旧支配者」のことだろう。それを呼び出すのは、おそらく宮の中に存在しているのだろう。

 「呼び出す」ということは、おそらく召喚士の人間が関与しているのだろう。そして、宮の召喚士となると、生徒だけではなく、召喚士の教官も含まれるのだろう。

 「……桜はまず関係ないな……」

 「私が何に関係ないの?」

 勇樹がぽつりとつぶやくと、後ろから桜の声が聞こえてきた。どうやら、いつの間にか勇樹の部屋に来ていたらしい。

 あまりに急と言えば急な事態に、勇樹は驚いたが、すぐに咳払いをしていつもの態度に戻り、桜に問いかけた。

 「……いつからそこにいたんだよ」

 「『大いなるもの呼び出すは、』のあたりから。なんなの、それ?」

 「……シルフの力を借りて、夢渡りをしたんだ」

 勇樹は桜にありのままを話した。

 シルフのおかげで夢渡りができたこと。そこで、同い年くらいの護と名乗る陰陽師に出会ったこと。彼に今回の事態についての調査を頼んだこと。そして、それを自分たちで解決すると約束したことを。

 もちろん、話さないという選択もあった。やや現実離れしている上に、勇樹自身、桜にこれ以上不安を募らせたくないという気持ちがないわけではない。

 しかし、彼女の場合、勇樹が隠し事をしていることの方が不安を覚えるのだそうだ。だから、勇樹は桜が関わっているかもしれないことについては、隠し事をしない。そして、桜もまた、勇樹が関わっているかもしれないことについては、隠し事をしない。それがいつの間にか二人の間で交わされた暗黙の約束だった。

 「……それで、その占ってもらったことがその手紙に書かれてるの?」

 「ああ……少しわかりにくいぞ?」

 読んでみるか、と言わんばかりに勇樹は桜に手紙を差し出す。

 桜はそれを受け取り、記された文字を目で追う。そして、十秒もしないうちに、わけがわからない、と言って勇樹に手紙を返した。

 その様子が、あまりにも予想通り過ぎて、勇樹は笑うに笑えなかった。

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