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第28話 ダチョウ……ヒナみてーだ(マサヒロ視点)

 さて、X-dayプロジェクトも大詰めだ。手紙かぁ、手紙なんて書いたこたあねーんだが……なにを書こうか。


 内容もそうだが、分量やら便箋やら薫物《たきもの》やらを選ぶってのは面倒だがなかなかおもしれー。


 イラストなんかも認《したた》めてえところだが、残念ながら美術はなぁ……別に苦手じゃねえんだが、得意でもねえ。


 骨格標本やら植物の図解なんかは描けねえこともねえんだが、そんなもんを誕生日の手紙に書く奴がいたらどうかしてんだろ。


 ……。


『なんていうか、その、ヒナがイジメにあってるみたいなんだ』


 んんん〜。


 ヒナの噂かぁ……。さすがのガリ勉でもそればっかりはなぁ……。


 なんやかんやヒナとも仲良くなっちまったから、なんとかしてやりたい気持ちはあるんだが、いかんせん俺はそんな噂が届いてくるほど、バカどもとの交流があるタイプじゃねえ。


 俺の友人はバカばかりだが、なかなか人間のできたバカだからなあ。


 教師やらなんやらの公的機関に頼るってのも、悪かねえアイディアではあるんだが、この学校はイジメやらの対処にはそこそこ消極的だからなあ。


 俺が一年の時も、勉強の邪魔してくるカスどもがウザかったから、一応教師に言ったんだが、あまり役には立たなかったし……。


 まぁ、あのバカどもは、他人の勉強を邪魔する暇もないことにしてやったから、別にいいんだが。


 まあ、今となってはどうでもいい話だ。


 しかし、ケイタもやっぱりバカなんだよな。


 直接セクハラの現場に出くわしたってなら、現行犯逮捕で一発わからせてやりゃあ、少なくとも直接ヒナになんかしようって奴は減るだろうに。


 あいつはなんのために体を鍛えてんだかわかったもんじゃねえ。


 ヒナいわく、「ケイタは暴走するとやりすぎる」らしいから、とにかく大義名分だけは大事にしろと伝えたが……。


 まぁ、ヒナの件で何かをやらかしたっつーなら、学級裁判的には大義名分有りってことで、ある程度は情状酌量されるだろう。


 しかし、「なんで関係無いケイタが出てきたんだ?」なんて理性的な話になると、若干、分が悪い。


 暴力沙汰を起こすならもうひと押し欲しいところだな。


 しかし、見ようによっちゃぁ全校ぐるみのイジメみてーなもんだよな。これは。


 空き教室に呼び出して、コソコソ見られながら『筆おろししてください』って……セクハラって言葉を使えば、冗談っぽさも混じるかもしんねえが、シンプルに性的嫌がらせだぞこれは。


 しかもなんか、デジャヴというか、やってることは嘘告の亜種みてーなもんだよな。


 くそっ。


 レオンのバカより趣味がわりぃじゃねーか。


 あー、俺までムカついてきちまった。


 ダメだ。


 また勉強に集中できなくなっちまう。


 ケイタとつるんでから、ガリ勉というアイデンティティを失いつつあるなあ、ちくしょう。


 とりあえず連絡でもしとくかぁ。


『あー、ケイタ、ヒナの件、今の所良いアイディアなんてのはねえんだが、考えておくわ』


 おしっ。送信。


——ピコン


 返事が早いなっ!? どれどれ。


『ありがとな。もしかしたらその件はなんとかなるかもしれない』


『お、教師が動いてくれるのか?』


『いや、先生には言ってないんだが、とにかく一年はなんとかなりそうだ』


『そうか、良かったな』


『ああ、ありがとう』


『ほんじゃ、勉強するわ』


『おう。俺も勉強する』


 ……。


 昨日の今日で、そんななんとかなるもんなのか?


 まあなんとかなったってんならそれでいい。


 「一年は」って……後輩を締《シ》めたりしたんだろうか……。


 まあいい。


 細かいことは明日聞きゃあいい。


 今は勉強の時間だ。


 ……はぁ、ヒナにも一応連絡しとくかぁ。


『手紙のアイディア、良かったぞ。俺が一番センスの良いラブレターを認《したた》めてやるぜ』


 ふむ。送信っと。


——ピコン


 ヒナも早いなっ!


 即レス野郎ばっかじゃねぇか。


『ありがとー! 私だって負けないよっ! ケイタの好きな匂いのお香買ってきちゃったもんねーだ』


『ああ? 好みは知り尽くしてるってか? 幼馴染のアドバンテージをふんだんに使いやがって卑怯者がよお』


『へへ。マサヒロとミレイがパーティやるって、ケイタが喜んでるよ! ありがとね!』


『あぁ。俺もパーティなんてのは初めてだから、楽しみだぜ。サプライズ企画も期待しててくれ』


『私にまでサプライズなんてひどい! 教えてくれても良いのにー!』


『笑あり涙ありのサプライズだ。楽しみにしておいてくれ』


『むー。わかった! つまんなかったらパンチだね』


『ヒナのパンチなんか喰らったら死んじまうよ。そうならねーうちにとりあえずガリ勉タイムだ。ほんじゃまた明日な』


『はーい。今日はありがとねー』


 ふむ。ヒナの方はまぁ、元気そうだな。


 良かった良かった——


——ピコン


[構って欲しそうな猫のスタンプ]


——ピコン


[構って欲しそうな猫のスタンプ]


——ピコン


[構って欲しそうな猫のスタンプ]


 ……。


『どうした?』


『暇』


『俺は勉強するんだよ』


『私も勉強する』


『おお、偉いな』


『来年は特進クラス?』


『その予定ではあるな』


『私もそうする』


『そうか、勉強頑張れよ』


『うん』


『ほんじゃ、ガリ勉タイムだ』


[怒った猫のスタンプ]


『勉強頑張れよ〜ほんじゃ』


 ……。


 返事が来る前に電源を切ろう。


 ミレイともだいぶ仲良くなったよな……寝てばかりいる変なやつだと思ってたのに。


 つるんでみたら、こんなおもしれーやつだったとは……わかんねーもんだな。


 まぁいい。


 さすがに構いすぎだ。今日のノルマが終わってねえ。


 まさか俺が友達との連絡で勉強に集中できなくなるなんてな。


 思春期ってのは恐ろしいもんだ。


 まぁ、わるかねえけどな。


 よし。


 やるか。


 今日は生物だな。佐々木お手製の資料集に目を通そう。


 『サブレの最強動物図鑑! 史上最強の生き物は誰だ!』


 史上最強の生き物かぁ。


 やっぱりこういうのが気になっちまうのは、俺が男の子だからなんだろうなあ。


 なになに……『ダチョウの脳は直径五センチの眼球より小さい。鳥類どころか哺乳類も含めて最強クラスのフィジカルを持っており、簡単な怪我ならすぐに回復するトロールのような生き物だ。しかし、フィジカルに恵まれてはいるものの致命的な欠点がある。恐ろしく頭がわるい。そりゃそうだ、なにせ脳が眼球よりも小さいのだから、仕方があるまい——』


 ほーん。


 ダチョウ……ヒナみてーな生きもんなんだな。


 また一つ賢くなったぜ。


 ケケケ、ミレイの奴はすぐ動物の話をしやがるからな。


 予習しとかねーと。


 ん?


 何みてやがる。


 これも勉強だ。




◆ご挨拶

 『嘘告リベンジ』をここまで読んでいただき、ありがとうございます。


 「続きが気になる……」と思ってくださった方は、よかったら応援やレビューをいただけると、嬉しいです。


 星は1つからでも大歓迎! そして、読者様とのコメント欄での交流を日々楽しみに生きています。


 次回『第29話 そりゃもうヤりまくりよ』の更新は11月07日になります。


  引き続き『嘘告リベンジ』をよろしくお願いします!


◆新作のお知らせ

『ゲームの中の悪役令嬢の兄になった俺は、追放されかけた妹を最強に育ててトゥルーエンドを実現する』

https://ncode.syosetu.com/n4271my/


 こちら、新作です。可愛くてクールな最強の妹と一緒に生活する、ほんわかファンタジー。嘘告リベンジの次の話をお待ちの時間によかったら読んでみてください。

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