ミレイ(飯島 美麗)の人物紹介
◆「ミレイ(飯島 美麗)」の設定資料
誕生日:03/03(16歳)
身長 :148cm
体重 :39kg
好き :お兄ちゃん、ヒナ、ケイタ、ゲーム、寝ること
嫌い :母親、閉所、大きい音、寝ている時に起こしてくる奴
一言で:感情表現の薄い美少女
◆名前の由来
美麗……ミレイ。とりあえず眠り姫だから姫っぽさが欲しくて、可愛い子であることが確定していたので、「美」の字を入れたいと思い、美しく華麗といった形で美麗と名づけました。
あと、なんか生まれた時はすごい親に愛されていたけど、父の死別で親がおかしくなって辛い思いをした設定があるので、すごく愛されていそうな名前をつけたかったです。
苗字は結構適当ですね。音とリズムで頭に浮かんだ苗字をつけました。
◆以下、作者目線のミレイに関する考察
身長148cmと小柄な美少女。いつも眠そうにしているというか、なんなら学校にいるときはだいたい寝ているので、他のクラスの奴らからは『五組の眠り姫』なんて呼ばれている。
一年生の時は『二組の眠り姫』だった。先生たちもミレイを起こすことを諦めているが、昼休みになってヒナが「ミレイ〜、ご飯食べよ〜」と呼びにくる時だけ起きる。
なんでこんなに眠そうかというと、だいたい家に帰ると、夜遅くまで兄の文隆と二人でFPSやMMOのゲームをやっているからだ。
社会人のフミタカは、朝早起きして二人分の弁当を作るために、遅くても深夜2時には寝るのだが、ミレイはずっと起きている。ミレイにとって睡眠とは学校の机の上で行われるものだ。
そもそも全体的に田舎である茨城県北部の中でも、特に過疎地として知られている『右妻』出身で、中学校は同じ学年に22人しか生徒がいなかった。
母子家庭のミレイは中学時代、かなりヒステリックかつ、酒浸りで、兄の文隆が上京してからは、イラつくとミレイに暴力を振るうような母親と二人で暮らしており、服は毎日同じものを着ていて、風呂も入ったり入らなかったり。
イジメにあっても不思議ではなかったが、兄のフミタカが地元では強者として有名だったので、物理的な被害はなかった。問題は家庭の方である。
中学時代は「生きてるのもめんどくさいな」なんて、心を閉ざしていた。
しかし、社会人になったフミタカが久々に帰省した時に、偶然、母親がミレイに暴力を振るうところを目撃。よく見てみると、日常的な暴力の跡がミレイにはついていた。
ヒステリックな母親だとは思っていたが、フミタカが一緒に住んでいた頃、自分にもミレイにも暴力を振るうようなことはなかったので、驚愕したフミタカは「ミレイが大人になるまで、自分が育てる」と言い放ち、家からミレイを連れ出す。
ミレイがこんな目にあっているとも知らず、都心で一人楽しく大学生活を送ってきたことを悔やんだフミタカは、東京に本社を構える職場に辞職を告げた。
しかし、社内でも高く評価されていたフミタカが、家庭の事情で退職することを惜しいと感じた上司の温情により、フルリモートでの業務を許可された。次の週にはミレイと二人で暮らす部屋を探し、そのままミレイが通う予定の高校の近くで二人暮らしを始めた。
待て。これはフミタカの資料じゃない。ミレイの話だ。
フミタカが救い出すまでは、服も洗濯せず、風呂にも入れてもらえず、食事も……その時からミレイはずっとガリガリで背も伸びていなかった。ネグレクトのような状態だったミレイの無気力はしばらく続いた。
だが、高校に入ってヒナと仲良くなり、いつも元気なヒナに無理やり起こされて、友達との輪に巻き込まれていくうちに、少しずつミレイの中に「人生も悪いもんじゃないね」なんて感覚が芽生えだす。
極め付けは、ヒナが突然やろうと言い出したオンラインゲーム『Blue Stone』だ。当然ケイタも一緒。
ゲーミングPCを持っていなかったミレイが
「友達と一緒に、ゲームがやりたいからパソコン貸して」
とお願いすると、
「高校で、友達できたんだなっ! よかった……よかったなぁ」
なんてことを涙目で言いながら、フミタカはミレイを抱きしめる。
(この大げさなゴリラはすぐに抱きついてくる。苦しい)
なんて思いながらも、ゴリラから生じる汗と加齢臭が混ざった温かさ、それ自体は大好きなミレイもいた。
一緒に始めたオンラインゲームでは、ヒナは攻撃力ばかり振ってHPや防御を全く上げない戦士だったので、毎回すぐに死んでいた。
ケイタがタンク兼ヒーラーのパラディンをうまく使いこなし、ヒナと同じ戦士だが、攻撃に偏りつつもバランスよく組まれたビルドのミレイと二人で、すぐ死ぬバカをサポートしながら戦っていた。
そのため、ハイレベルなダンジョンでも狩りを楽しめていた。
一ヶ月もすれば、当然、移り変わりの早いヒナはMMOなど辞めてしまった。ヒナが辞めればケイタも辞めるのは当然だ。
だが、ミレイは一人でも続けるほどゲームにハマってしまい、飽きたヒナから安くゲーミングPCを買い取ると、アニキのフミタカを誘って二人で夜な夜なゲームをやる生活になっていた。
気づけばミレイはもう、「生きていてもしょーもない」なんて思わない。それどころか、「次は何人ぶち殺してやろうか」と日々考えているバーサーカーになっていた。もちろんゲームの中の話だ。
内心でいつも悪口を言ってるが、実はヒナのことが大好きで、ヒナに嫌がらせをしようとする女に対しては、どうにかして「ぶち殺してやろう」なんて思ったりしているが、冷たく睨むだけで終わらせてやってる。
ヒナをバカだと言っているが、ミレイも恋だなんだと経験していないので、よくわかっていない。恋ではないが、お兄ちゃんが好きってことだけはわかっている。
やることがなかったので中学時代は勉強していたし、とにかく家にいたくなかったので学校にはいっていたから勉強は得意。
◆家族構成
・朱莉(母 / 45歳 / 無職 / 旦那とは死別しており、保険金と残された遺産で生活している。文隆が高校に進学する頃に夫を亡くし、徐々に酒に溺れるようになった。文隆が大学進学で上京してからはさらに悪化し、ミレイが小学四年生になる頃には家事も育児もほとんど放棄していた)
・文隆(長男 / 27歳 / 大手IT勤務 / 高校時代までは地元で顔を効かせつつ、勉学には力を入れており、東京にある商学部の強い国立大学に進学。学費と一人暮らしの費用は自身で稼ぎ、卒業後は大手IT会社に就職。ミレイは母親似だが、フミタカは父親似でフィジカルが強い)
◆ヒナとケイタとの出会い
「君、かわいいね♪ よかったらお茶しない?」
「ん」
「やったー! ナンパ成功っ! ケイタ、友達できちゃったよ〜」
「初日からナンパ成功とは、やるなあヒナ」
「佐伯陽菜! ヒナって呼んでね!」
「山本圭太。ケイタって呼んでね」
「……。飯島美麗。ミレイって呼んでね」
「ミレイ! 名前も可愛いね〜」
なんてヘラヘラ声をかけてきたのは同じクラスの佐伯陽菜と山本圭太。自己紹介なんてやり方がわからないからとりあえず真似してみた。仲良しだな。
お弁当。お兄ちゃんが作ってくれたやつ。食べるか。
のりべんだ。犬の形にのりが切ってある。美味しそう。
「わー! ミレイのお弁当可愛いね! くまさんのりべんじゃん♪」
「やるなぁ。ミレイのくまさん」
お兄ちゃんのお弁当。褒めてくれた。
いい奴らかもしれない。
「これはクマじゃなくて、犬だよ」
お兄ちゃん。友達。できたみたい。
◆上司に退職を相談するフミタカ
久しぶりに帰省した茨城から東京に戻ってきたフミタカは覚悟を決めていた。「ミレイが大学を卒業するまでは自分が育てる」と。
妹のミレイが虐待を受けていることを知らずに、東京で薔薇色のキャンパスライフを謳歌し、就職してからも自分だけ楽しく生活していたことを……恥じたから。
フミタカは何も悪くない。年に数回……忙しい年でも年に一回は帰省して、家族の様子を見ていたのだが、母親が虐待の痕跡を隠していたから気づかなかった。それだけなのだ。
今回はたまたま、サプライズのような顔をしてプレゼントを持って帰ったのが悪かった。暴力の現場に直面してしまったのだから。
実家から連れ出したミレイを神泉駅から徒歩10分、1Kの自室にあるベッドに寝かせて家を出た。
人間関係も良好で、労働条件も良く、フミタカ自身もその分野に精通していた居心地の良い職場に退職の意思を伝えるために。
渋谷駅と神泉駅の中間にあるオフィスビルの一室。新卒で世話になってから、仕事だけではなく、大人の男のバカな遊びまで教えてくれた上司を呼び出す。
「タカシさん……今、少しお時間よろしいでしょうか」
「おお? フミタカ。なんか、話あるって言ってたな。会議室とっておいたぞ」
フミタカの会社の上司……タカシに連れられて執務スペースの奥にある、『会議室A』へ向かった。
「そんで、どうしたんだ? 真面目な顔して」
「仕事を辞めたいと思いまして」
「そうなの? なんで?」
「家庭の事情で」
「家庭の事情じゃどうにもならんかー」
「すみません。ここまでお世話になったというのに」
「いやいや、お世話になったのはこっちの方だって! 戦力的には惜しいが、また戻って来たくなったら戻ってこいよ」
「……はい」
タカシはいつもそうだ。来るもの拒まず去るもの追わず。そして戻ってくる場所だけ用意して、事情を話したくなさそうな時はそれを深掘りしない。
人事連中にはそれで怒られることもあるが、タカシのチームは会社内でも多くの成果を上げており、ある程度の裁量を持っている。
その上、タカシに惹かれた人間で形成された退職者……卒業生によるアルムナイネットワークが機能しているため、会社もタカシを雑に扱うことはできない。
「そんじゃぁ、今日飲みに行くかー!」
「いや、その……」
「俺の誘いを断るとは、えらくなったもんだなー。フミタカ」
「行きたいのは山々なのですが……」
「おいおい。アルハラとか言い出すのか? そんな雑魚に育てた覚えはないぞ?」
「いや、妹が今、うちに来ていまして」
「フミタカって妹いたんだっけ」
「はい。今中学生で、年の離れた妹が……」
「家庭の事情ってそれ?」
「……はい」
「詳しい話を聞いていいか?」
「……はい」
フミタカは週末に帰省した際、起こった出来事を洗いざらいタカシに話した。
妹が虐待を受けていること。気づかなかったことを悔いていること。ミレイはすでに進学する高校が決まっていること。大学卒業までは自分が育てたいと思っていること。
いつも「ガハハ」と笑って酒を飲み、身長180cmを超えるガタイで男らしい顔つきのフミタカが、扉一枚隔てた会議室の中で嗚咽を上げながらタカシに身内の話をしている。そんな姿を、オフィスにいる同僚の誰一人想像していなかっただろう。
タカシは一通り話を聞くと、問いかけた。
「んで、どうしたいの?」
「え?」
「妹を育てたいのはわかったんだが、目的と手段がおかしくないか?」
「どういう事ですか?」
「お前は仕事ができるくせに頭が悪いな。次の仕事は決めたのか?」
「いいえ。まだ何も……昨日の出来事ですので……」
「金はどうすんだ?」
「貯金と……、あとはフリーランスの業務委託として何かしらの仕事を探そうかと」
「フリーランスかぁ……わるかねーけどさ。水物だろ。妹との生活も慣れてない中でさ」
「それは……そうですが……」
「お前が優秀なのは知ってっけどさ。今はもっと妹のことに集中しながら慣れた仕事を続けた方がいいんじゃないか?」
「……でも、どうすれば」
「お前は本当にバカだな。仕事はできるのに」
「ひどいっすよ」
「お前を信用して提案するんだが、フルリモートで仕事を続けるってのはどうだ?」
「……いいんですか? 以前、全体業績が悪化したり、サボりやら情報漏洩やらが……」
「真面目に働けよ? お前を信用して許可する俺の評価を落とすような真似をするなよ?」
「タカシさん……。本当にありがとうございます……」
「まぁ、困った時はな、助け合いだ。俺が困ったら絶対に助けろよ? 俺が職を失ったら真っ先に頼らせてもらうからなっ!」
「はいっ! 任せてくださいっ!」
「じゃぁ、今日は帰れ。家で妹が待ってんだろ?」
「え? 仕事は……」
「適当になんとかやっとくよ。こっそり消えろよ?」
「すみません。そしたら当日ですが有給申請を……」
「黙れ。今日は別に良い。これから新生活が始まるってんだから、引っ越しやらなんやらで使うだろ。今日はリモートでの業務を許可したってことにしとくから、まぁ、家に着いてからやれそうなことがあったら進めとけ。セキュリティだけはマジでちゃんとしろよ?」
「はい。ありがとうございます」
「妹は可愛いんだろうな?」
「めちゃくちゃ可愛いです」
「そうか。中学生か……ちょっと歳が離れすぎているな」
「タカシさん! ガハハっ! もう! 何言ってんすかっ!」
「ははっ。仲良くやれよっ! 成人したら美味い店連れてってやるよ」
「ありがとうございますっ!」
「いけっ」
「はい」
——ありがとうございます。タカシさん……。
朝の9時に出社したにもかかわらず、10時半にはオフィスを出るフミタカの足取りは、一時間半前よりも軽かった。




