第8話「東海ラリー県予選開幕!」
翌日、朝7時。
すでに大会は始まっている。
テストコースに設営されたサービスパークでは各学校で暖気が始まっており、様々なエンジン音が響いていた。
もちろん愛豊高校のヴィッツもエンジンがかかっている。
穂乃果がパソコンを開き、データをチェックしながらエンジンを吹かす。
そしてボンネットを開き、幸介がエンジンルームを覗き込みながら異音がないかチェックしていく。
「OK!穂乃果!こっちは異常なし!」
「わかったー!こっちから見ても異常ないよー」
エンジンが切られる。
それと同時に奏汰と真紀が学校のレーシングスーツに着替えてテントに来る。
「おっ、奏汰、似合ってるじゃねぇか」
「琉、ありがとう。なんか照れるなぁ」
「じゃあ、良い結果出してくるんだぞ」
「はい、幸介先輩。期待しておいてください」
「おっ、言うねぇ。頑張ってこいよー」
幸介が奏汰の肩を叩く。
「じゃあ、奏汰くん、行こうか」
「はい」
奏汰と真紀がヴィッツに乗り込む。
そしてサービスパークを離れていく。
みんなが手を振りながら送り出していく。
サービスパークを出てすぐスタート地点に来る。
「奏汰くん、この後のSSは前半が直線で後半区間が連続コーナーになってるから一応注意ね」
「わかりました」
そう話しながらヘルメットを被る。
「そういえば、SSってなんですか」
「!?」
驚いた顔で奏汰を見る。
「え、知らなかったの?」
「はい!」
満面の笑みで答える。
「SSっていうのは、今から走る区間のこと。スペシャルステージの略。他にもパワーステージとかスーパースペシャルステージ、SSSっていうのもあるよ。」
「なるほど〜、あざっす!」
前に並ぶ他校のマシンたちがスタートゲートを飛び出していく。
気づけば自分たちの出番がやってくる。
『奏汰くん、気温は23℃、路面温度はさっきサービスパークで31℃』
「わかりました」
そう言いながらヴィッツをウィービングさせてスタートゲートにつく。
スタッフが誘導してくれる。
少しの間が訪れる。
エンジンのかすかな振動を感じる。
その時、真紀がスタート準備を知らせる。
『スタート10秒前』
それを聞き、奏汰はタイマーを見る。
カウントダウンが進んでいく。
『5,4,3,2,1…GO!』
サイドブレーキのレバーを下げ、勢いよく蹴り出していく。
加速してすぐに緩やかなS字が来る。
国道301号線から国道473号線へとコースが変わる。
『ここから細かいコーナーが続くから注意ね!』
『左3から右3!』
その言葉に従い、ステアリングを切っていく奏汰。
そして速度を極力落とさないように滑らせながらヴィッツをカートのように扱いながら疾走していく。
フィニッシュラインを超える。
スタッフがチェッカーフラッグを振り、SSの終了を告げる。
『フィニッシュ、お疲れ様。現状2位タイム。いいんじゃない?』
「そうっすね。マシンも乗りやすかったですし。」
『ここからリエゾン区間だよ。前を走るパトカーに続いて。』
「わかりました」
奏汰の1台挟んで前に愛知県警の高速パトカーのGTOがいた。
この高校ラリーでは交通安全運動の一環でパトカーによる先導でリエゾン区間を走行する。
『一応、水温と油温をチェックしておいて。このくらいのパワーのマシンならそんなに気にしなくてもいいかもしれないけど。』
「わかりました。」
奏汰は一応信号待ちのタイミングで油温計と水温計をチェックする。
「まだ高いけど…次のSSまでには下がってくれるだろうな…」
奏汰は走行する時前走の車両と車間距離を空ける。
「前のデミオはターボだから…」
現代の車両でそこまで意味があるかはわからないが一応空けておく。
かつて、F1では超高温の熱を出すターボエンジン車の後ろを自然吸気のマシンが走った結果、オーバーヒートしたということもある。
ゆっくりと次のSSに向けて進んでいく。
そして、待機場所の駐車場に来る。
そこでは幸介がブロワーを持って待機していた。
それに気づいた幸介は窓を叩く。
奏汰もパワーウインドウを下げ、幸介に答える。
「奏汰、マシンは大丈夫か?」
「はい。変な挙動とかもなかったです」
「ならよかった。なんか異変があったらすぐに言うんだぞ」
「はーい」
幸介はエンジンルームを覗き込み、一応チェックをする。
「異音もなし。火も出てない。大丈夫。」
そしてボンネットを閉じる。
「次のSSも頑張れよ」
「はい!」
そう言うと幸介は学校のワゴンに乗り、次のSSの待機場所に向かう。




