第6話「レッキ」
迎えた大会初日。
レッキが行われる1日。
クラスごとに時間が決められており、愛豊高校が参戦するHR-1は一番最後の枠でレッキとなる。
まず、HR-Xクラスの学校のレッキが始まる。
このクラスではラリーカーでのレッキをするとエンジン音が大きすぎるため、自前で別のレッキ専用車両が用意される。
HR-Xに参戦する各学校は、本戦で使うマシンと同じ車種のものでレッキへと向かう。
自分たちの出番まで時間があるため、待機エリアで雑談する。
「そういえば、真紀先輩はなんでラリーやろうと思ったんですか?」
「ん〜、なんだろうね。でも、今はいないお父さんの影響かな。お父さん、この部活の顧問やってたんだよ?」
「そうなんですか!?」
「たしか、奏汰くんのお父さんの代の顧問だったはず。途中まで」
「途中まで?」
「そう。お父さん、実はガンで死んじゃったの」
「え…」
「ごめんね!変に暗い話しちゃって」
「なんか、こっちも申し訳ないです」
そんな会話をしていると、前にいたマシンが動き出す。
「じゃあ、行こうか。」
「はい」
真っ赤なGRヴィッツが走り出す。
「ストレート800、からの右〜3」
「右3」
奏汰が走りながら声に出し、真紀がすべてノートに書き留めていく。
SS1からSS4までのすべてのステージでレッキを終える。
サービスパークへの帰り道。
「どうだった?県予選のコース」
「うーん、まぁ、走りやすいコースだと思います。初めての選手でも走りやすいと思います。」
「じゃあいける?」
「まぁ、何かミスとかしない限りはいけると思います」
「ま、明日にならないとわからないこともあるからね。」
「はい、最善の走りをするまでです」
「そういえば、みんなが言ってるHR-XとかHR-1ってなんですか?」
「それはね、クラスの名称。そっか、奏汰くんに教えてなかったね」
ちょうど奏汰たちの前をプジョーの208Rally4が走っていた。
「前を走ってるプジョーの208、あのマシンはHR-0に区分される。HR-0はFIAが定めるRally4規格もしくはRally3規格のマシンの参戦が許可されてる。」
「FIA基準なんですか?」
「そうだね、基本はそれに則ってる。ただ、HR-1とHR-Xには独自規定ってのがある」
「独自規定?」
「そう。高校自動車競技連盟が定める基準。」
「そっちの基準で色々定められているのがHR-1。そして、FIAの基準と同等の扱いを受けているのがHR-X。」
「私達はHR-1クラスに所属だから、連盟が定めた純正のボディ形状を保つこと、ワイドボディ化は禁止っていうレギュレーションがある。」
なんて会話をしているとサービスパークに到着。
メカニックの琉と幸介が工具箱を広げて待っていた。
その隣でノートパソコンを脇に抱えて穂乃果も待っていた。
ヴィッツがテントに入る。
同時に琉がフロントにジャッキを入れ、リジットラックと呼ばれる道具を車体の下に入れる。
幸介がリアをジャッキアップし、同じようにリジットラックを入れる。
そして穂乃果がECUのカプラーにつなぎ、データを一応収集する。
マシンを降りた奏汰は一応福原にフィーリングを伝える。
「奏汰くん、どうだった?」
「そうですね…特に悪いところもなかったですね。まだ速度も出さずに走行だったので、パワー面とか、足回りも気になるところはなかったです」
「わかった。じゃあ基本的なメンテナンスだけお願いしておく。奏汰くんと真紀ちゃんは先に休んでて」
「「はーい」」




