第34話「完全復活」
幸介が天を仰ぐ。
「やっぱ無理だったのかなぁ…w無茶だったんだな、こんなこと」
その時、商用バンが入ってくる。
「よぉ、兄ちゃんたち」
「えっと、あなたは…」
「あぁ、俺はこの辺でチューニングショップやってる竹中って言うんだ。」
「それで、何の用で…」
「いやーね、俺の知り合いから電話があって、ヤリスのエンジンってスペアはないかって聞かれたもんでさ。ちょうどあったから、少しでも使えればと思ってさ、バラバラではあるんだが…」
トランクが開けられるとそこにあったのはエンジンブロックなどのパーツたち。
「これなら、これならエンジンも直せる!ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
幸介と琉が頭を下げる。
「いいってもんよ。お前達みたいな若者が頑張ってる姿が一番かっこいいからね。その姿を守ってやっただけさ。」
商用バンに竹中という人が乗る。
「俺にできるのはここまでだが、期待しているぞ。」
「はい!もちろんです!」
修理に戻る。
「他のところに大きなダメージはない。だから、ブロックだけ交換すればエンジンは直る。」
エンジンの修理に入る。
5時42分。
東の空がオレンジ色に染まりだしていた。
あれから修理作業も進み、エンジンも車体に組み込まれた。
修理をしていた時、幸介のスマホに電話がかかってきた。
その内容は4時ごろに奏汰が目を覚ましたという。
この知らせはメンバーたちを安心させた。
朝6時。
暖気可能時間になる。
このタイミングで他校のエンジンにも火が入り始める。
それに合わせて愛豊高校も始動を試みる。
幸介がマシンに乗り込む。
「…行くぞ。」
オイルポンプやウォーターポンプなどのスイッチを入れていく。
そして最後にエンジン始動のスイッチを押し込む。
ヒュルル…
セルが回るだけ。
「火が…火が入らない…」
それから何回も始動を試みる。
しかし、かからない。
「ダメなのかな…」穂乃果が弱音を吐く。
「大丈夫…きっと…」
穂乃果の肩に寄り添う。
今、目の前でエンジンはかかっていない。
でも、かかる気がした。
「クッソ!!ダメなのかよ…」
幸介が感情を爆発させる。
悔しさを握りしめた手でもう一度イグニッションスイッチを押し込む。
ヒュルル…
その時だった。
周辺に響く轟音。
「やった!!かかった!かかったよ!」
「ね!かかった!」飛び跳ねながら喜ぶ真紀と穂乃果。
「よっしゃあ!」
産浜高校のメカニックと喜びを分かち合う琉。
運転席で安堵の表情を浮かべる幸介。
そして拍手が上がる。
エンジンを切り、マシンを降りた時、ちょうど福原の付き添いのもと、奏汰が戻ってきた。
「「おかえり」」
湊と穂乃果が真っ先に迎えてくれる。
「マシン、直しといたぜ」
「…ありがとうございます!」
「ぜってぇ勝つんだぞ」
「はい!」




