第33話「支援、そして…」
その様子を一目見ようと他校のメカニックたちも集まってきた。
そして地元の新聞社やテレビもその様子を見守っていた。
その時だった。
「愛豊高校さん、俺達にもやらせてくれないか」
「え」
そこに立っていたのは黒いつなぎを着た集団。
「えっとぉ…」
「産浜高校だ。あなたたちを手伝いたい。」
「それはありがたいんですけど、ルール上禁止じゃないですか」
この高校ラリーでは規定上、他校の修復作業をサポートすることは禁止されている。
これが確認された場合、罰金とタイム加算ペナルティの重い処分が待っている。
「その心配はない。うちの自慢のドライバーが5分のタイム加算ペナルティなんてチャラにしてくれる。」
そう言って親指で後ろを指す。
テントに寄りかかるように立っていた篠宮の姿があった。
お互い、同じ思いで作業をしようとしていた。
「では…お願い…します…」
「わかった。」
そして後ろを振り返る。
「てめぇら!愛豊高校さんの車を最高の状態に直してやるぞ!」
「「おぉぉぉ!」」
そしてヤリスを囲むように作業を始める。
どんどん外されていくパーツ。
すると、それを見た他校のメカニックたちがどんどん支援を申し出てきた。
「私達も」
「何かやれることがあれば」
「俺達も、おんなじメーカー同士、助けさせてくれ!」
気づけば20人がかりでの修理になっていた。
あちこちで修理を進める仲間たち。
ドアやボンネットを叩いて直したり
「うりゃあー!」
ガンガンとドアを叩いて形を整える。
歪んだフレームを直したり。
車に施すラッピングを作り直したり。
日も変わった頃…
いつもだったら真っ暗になっているサービスパークに明かりが灯っていた。
その時だった。
「みんなー!もう遅いから、夜食買ってきたぞー!」
他校の先生が数人、大きなビニール袋を持ってきた。
そこにはおにぎりとエナジードリンクが入っていた。
「わーい!いただきまーす」
「あざっす!いただきます」
それを腹に入れるとまた作業が始まった。
マシンも気づけば突貫工事のパーツたちで原型を取り戻しつつあった。
「さてと…こいつを直しますか。」
幸介が向き合っていたのはみんなで改造したエンジン。
激突の衝撃であちこちにダメージを受けていた。
幸い、小さなパーツ類にはスペアがあった。
部品類を外し、エンジンブロックを確認していた時。
「うっそだろ…まじかよ…」
幸介は頭を抱える。
「幸介先輩、どうしたんすか」
琉が心配のあまり駆けつける。
「これを見ろ…」
幸介が指さした先。
「これって…クラック(ひび)…」
「もう、このエンジンは使えない。」
終わった。
戦えない。




