第3話「情報量」
愛豊高校の練習コースにGRヴィッツが来る。
「じゃあ、早速乗ってみようか。今回は先生がコ・ドライバーやってくれるから」
「こ、こどらいばー?」
「コ・ドライバー。いわゆるナビゲーターだよね。そのコースの一歩先のコースを読み上げていく役」
「補佐役ってことですか?」
「まぁ、そうだね。ラリーで速さを支えるのはこの存在だから」
「わかりました。」
そうして奏汰と福原が乗り込む。
『じゃあ、いくよ』
「はい」
福原と奏汰の会話はヘルメットに内蔵されたインカムで行われる。
走り出していくとすぐに左コーナーが来る。
その時だった。
『左4、ドントカット』
「!?」
暗号が耳に入ってきた。
『右2、からのストレート100』
とりあえずその言葉に従って走っていく。
するとあることに気づく。
スピードをほぼ殺さずに曲がれるのだ。
なんだこれ…?
だが、やはり、初乗りでこの情報量はさばききれない。
サーキットを1周しきると奏汰の脳はとても疲弊していた。
ピットにヴィッツが戻って来る。
そして福原と奏汰が降りる。
「どうだった?」
「いきなり暗号みたいなの読み出すからびっくりしましたよ」
「あれがペースノートっていうやつ。あれのおかげでドライバーは速度をほぼ落とすことなく走れるの」
「そうなんすね…大変っす。」
「じゃあ、覚えてみる?用語とか教えるよ」
「本当ですか!」
翌日から奏汰のペースノート理解教室が始まった。
「じゃあ、ドントカットの意味は?」
「えっと、そのラインのイン側に岩とか木とか障害物があって、カットできない時の指示です」
「正解!じゃあ、ナローは?」
「その先でコース幅が狭くなる時の指示です!」
「正解!」
あれから福原のペースノート用語教室が開かれ、奏汰は理解を深めていた。
「これだけペースノートを理解できれば、もう大会にも出られるね」
「本当ですか!?」
「うん、次の東海ラリー県予選から出てみようか」
早くも奏汰の大会デビューが決まった。
次の日から奏汰のラリーデビューに向けて特訓が始まった。




