第29話「夕食」
「さ、みんなー、ホテルいくよー」
福原が全員を集める。
全員でホテルに向かう。
「じゃあ、7時にロビーに集合ねー。遅れたらご飯ないよー」
「「はーい」」
部屋に戻った奏汰。
持ってきておいたタブレットの電源を入れ、動画サイトを開く。
そして、WRCのハイライト動画を再生する。
イタリアの町を疾走するWRカーの様子が再生される。
肝心のトヨタの走行シーン。
奏汰はこの走りに注目する。
丁寧な走りだがどこか荒削りにも見える走り。
このチームで戦うことがラリーに興味を持ってからの目標だった。
その時、ドアがノックされる。
「はい」
ドアを開けると、そこにいたのは真紀と穂乃果と幸介だった。
「2人とも、ご飯いこ!」
「あ、はい、琉!行くよー!」
「あいよー」
部屋の奥からスマホや財布などの最低限のものを持って出てきた。
全員でロビーに向かうと、すでに福原が待っていた。
「あ、来た。時間通りね」
「じゃあ、いくよー」
みんなで食事場所に向かう。
他校もすでに食事を始めており、愛豊高校のスペースに向かう。
「ここだ。じゃあ、先に奏汰くんと穂乃果ちゃんと琉くんで行ってきなさい。そのあと私と幸介くんでいくから。」
「「「はーい」」」
奏汰、穂乃果、琉が先にご飯を取りに行く。
そして残された真紀、福原、幸介は明日の戦略の確認をしていた。
「ただいまーっす」
3人が好きに皿に色々載せてきた。
「じゃあ私達が行ってくるよー。先食べてていいよー」
先に3人で食事を始める。
「美味しい、これ」
「ここのご飯全部美味しいんじゃない?」
「美味いぞ!これ!」琉はガツガツ食べ進めていく。
「そんな早食いで、体に悪いぞ〜」
食事も終え、部屋に戻り出す。
「さて、ご飯も食べたし、戻ろっか」
「ですね」
全員が部屋に戻ろうとする。
その時、穂乃果が奏汰を呼び止める。
「奏汰くん、一緒にちょっと外行かない?」
「いいっすよ」
2人で外に出てくる。
お台場の夜風が心地よい。
「奏汰くんはさ、高校卒業したらどんなしたいの?」
「僕っすか?僕は、WRC行きたいですね。」
「WRC…やっぱり世界の舞台で戦いたい?」
「もちろんです。トヨタの育成にも呼んでもらえましたし。」
「そうなの?」
「あれ、話しませんでしたっけ?僕がTGRの育成に呼ばれたこと」
「そうだったの?」
「そうっすよ。そういえば気づかなかったんですか?僕のスーツの胸のところにTGR-WRTってロゴついてるの」
「え!気づかなかったー!」
「そういえば、穂乃果先輩は何したいんですか?卒業したら」
「私?私はね、卒業したらレースチームのエンジニアやりたいって思ってる」
「あれ、お父さんがやってる会社は継がないんですか?」
「うん。お父さんからも言われたし。会社は継がなくていいって。それでエンジニアやりたいって言ったらOKしてくれて。」
「そうなんすね。」
この会話している時、奏汰は少し穂乃果に対する気持ちが変わりつつあった。




