第28話「スーパースペシャルステージ」
SSS1に向かう道中。
「奏汰くん、さっき、穂乃果から何もらったの?」
「あぁ、お守りっすよ。なんか、交通安全とか必勝祈願のご利益があるってやつっす。」
信号待ちのタイミングでお守りを触る。
「なんか、お守りがあるだけで安心っす」
「きっとそのお守りが私達に力を貸してくれるよ。」
「ですね」
信号が青になる。
ヤリスが走り出す。
SSS1の待機地点に来る。
HR-Xの他の学校の車両が待機していた。
「すごいっすね。なんか、全日本ラリーとか来たみたい。」
「だね。他の学校のマシンもすごいね」
「フォードのフォーカスにシュコダ、シトロエンにアルピーヌにスバルにトヨタに、ラリーカーが揃い踏みっすね」
「ほぼ全日本ラリー選手権となんら変わらないんじゃない?ドライバーの腕前も」
「なんかで見ましたよ?全日本ラリーのラリーストと高校生を同じコース、マシンで走らせてみたら0.4秒くらいしかタイムが変わらなかったって話」
「じゃあ、ここにいるドライバーたちは将来の日本のラリーと世界を代表するラリーストの金の卵ってことだ」
「そうっすね。僕もその1人だ」
「お、自分で言うのか」
「まぁ、全日本出られるくらいの腕前はあるんですし、言ってもバチは当たらないでしょ…多分」
〈愛豊高校!スタートゲートに進んでください!〉
「さ、行こうか。」
「はい」
ギアを1速に入れ、走り出す。
『気温21℃、路面温度29℃、特に気にすることもないかな。』
「そうっすね。特段高いわけでも低いわけでもないです。」
タイマーの数字が0になる。
スタートゲートを飛び出していく愛豊高校。
『ストレート100からの180ターン』
奏汰は的確にサイドブレーキを引く。
クルマが交差点できれいなUターンをする。
そして加速していくとパイロンが待ち構える。
『スラローム』
パイロンをかすめるように駆け抜けていく。
1周を終える。
2周目に入る。
さっきの走りをトレースする。
チェッカーフラッグが振られる。
SSS1が終了する。
『お疲れ様、2位、2位。1位は産浜高校。』
「やっぱ産浜か〜。速いっすね」
1日目のSSS1を終えてサービスパークに戻ってくる。
メンバーたちが拍手で迎えてくれる。
「いやー惜しかったー!」
「1位だと思ったんだけどなぁ〜」
「産浜が速いっす、やっぱ」
「だよなー」
幸介が産浜高校のテントを見る。
初日から1位ということで少し喜びの声が聞こえてきていた。
「さて、俺らも明日からの連戦に備えて整備だ!琉、始めるぞ!」
「あい!先輩!」
2人が整備へと移っていた。
椅子に座り、一気に気が抜ける奏汰と真紀。
「ったぁ〜」
「奏汰くん、どうした?そんなに疲れたような顔して」
「疲れましたよ〜。全日本の舞台、プレッシャー半端じゃないですもん。」
「あ、いたいた!奏汰くん、今日のセッティングどうだった?」
「あ、穂乃果先輩、特に悪いところもなかったです。」
「わかった。2人に伝えておく。それで、他に要望ってある?」
「特には…あ、ブレーキの効きをリア寄りにしてほしいです」
「わかった。かなりオーバーステアになる可能性があるけど大丈夫?」
「大丈夫です。僕、そういう挙動の方が好きなんで。」
「わかった。」
穂乃果は整備する2人の方に向かった。
残った真紀と奏汰で1日目の振り返りを始めた。
「一番最後のスタートってかなり退屈ですね」
「そうだね。89台のスタートを待たないとだからかなり時間が空くよね。」
「ブレーキとか冷えちゃいそうで怖いんすよね」
「それはしょうがない。もうスタート直前にフル加速フルブレーキングで温めるしかない。」
「なんかいい方法ないかなぁ…ないか」
ほぼ最後の出走に対する対策を模索していた。




