第23話「夢への一歩」
表彰式が行われる豊田スタジアムに向かう道中。
『やったね!奏汰くん、優勝だよ!』
「はい、自分でもどこか信じられないです。まだ実感がないっす。」
そう言いながらサイドミラーを見ると産浜高校のDS3がすぐ後ろについてきていた。
豊田スタジアムに到着すると、表彰式が始まる。
〈優勝、愛豊高校!〉
「「「はい!!」」」
奏汰と真紀が前に出る。
そして大会委員長から優勝のトロフィーと盾、賞状を受け取る。
ベスト8の学校の表彰が終わり、撤収が始まる。
みんながテントや機材をトラックに載せている時、福原の携帯が鳴った。
「はい、もしもし。」
電話の相手はトヨタ。
「はい。はい。はい?うちの奏汰をですか?」
奏汰が福原の方を見る。
「ちょっとまってください。奏汰くん、ちょっとおいで」
「なんですか?」
「今、トヨタから電話があってね、奏汰くんをTGR-WRTの育成選手に入れたいんだって。」
「TGR-WRT…」
正式名称、TOYOTA GAZOO RACING WORLD RALLY TEAM。
トヨタのWRC参戦チームだ。
「あの、WRCのですか…?」
「そう。あの、ヤリスRally1とかで戦ってる」
「あと、条件でね、育成に入ったら、全日本ラリー選手権にも数戦参戦を確約するって。それで、高校を卒業したらWRCに帯同してもらって、スポット参戦もできて、結果次第ではフル参戦もできるって。」
「…」
「どう?やってみる?」
「…やります。TGRの育成受けます。」
父とは違う道。
それを歩む決意をした。
「わかった。」
そう言うと福原はすぐにまた会話を再開した。
「自分がトヨタの育成に…!WRCに行ける…!」
奏汰の中で夢が大きくなった。




