第22話「初優勝」
SS1を走り終える。
『2位。2位。前の産浜とは3秒差』
「詰められます。このマシンなら」
『本当?』
「このマシン、僕の限界に耐えてくれます。乗ってて安心できる。今までのヴィッツだったら攻めることもできなかったコーナーを思いっきり突っ込んでいける」
『じゃあ、マシンを変えた成果はあったね』
「はい。本当にこのマシン用意してくれてありがとうございます」
『じゃあ、優勝行っちゃう?』
「もちろんっすよ」
SS2からは奏汰と昇也の走りにみんな釘付けだった。
奏汰のサーキット仕立てのスピードを殺さないカートの走らせ方とラリーで鍛えられた昇也の速度を無駄にしない走り。
育ったコンディションは違えど2人には共通しているものもあった。
2日目。
昨日までのタイム差を広げたい愛豊高校と、その広がった差を詰めたい産浜高校とでぶつかり合う。
愛豊高校がタイムを更新すれば、負けじと産浜高校が上回っていく。
SS3が終わった時点で愛豊高校が合算タイムでもギリギリ上回っていた。
最後のSS4に向けてリエゾン区間を走行していた。
『奏汰くん』
「なんですか?」
『今楽しい?』
「どうしたんすか、急に」
『いや、なんか変なこと聞いちゃったよね。』
「楽しいっすよ」
『え』
「なんか、吹っ切れました。父さんのことも。もう1番目指すだけです。」
『じゃあ、もう優勝一択?』
「もちろんす」
次のSS4のスタート地点に到着する。
SS4が始まる。
連続するコーナーを軽やかにクリアしていく。
ストレートもパワーのあるエンジンで難なく駆け抜けていく。
それに追従するように産浜高校が追いかけてくる。
逃げたい愛豊高校、追いつきたい産浜高校。
2台のプライドがぶつかる。
そして先に愛豊高校がゴールを通過する。
それに続いて産浜高校がゴールする。
結果は…
愛豊高校がレコードを樹立し、初優勝を飾った。
「よっしゃあ!!」
「っしゃああああ!」
感情を爆発させる幸介と琉。
「やった!やった!」
嬉しそうに飛び跳ねる穂乃果。
「奏汰くん…すごい…」
思わずあんぐりしてしまう福原。
産浜高校の方を見ると、みんな少し落胆していた。




