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第3話 百合の咲く場所(4)

踏み荒らされていない、

なだらかな草地。


背の低い草が揺れて、

どこまでも、

静かに続いている。


リリアナは、

その真ん中に立った。


ここでは、

髪の色を聞かれない。


良いか悪いかを、

決める声もない。


ただ、

風が吹いて、

草が揺れる。


それだけだった。


胸の奥に溜まっていたものが、

ほどけたわけではない。


でも、

ここなら、

何も答えなくていい。


リリアナは、

野原の中を歩き出す。


どこへ行くでもなく、

戻るでもなく。


ただ、

今いる場所を、

少しだけ離れるために。


——馬車を降りた理由は、

まだ、

言葉になっていなかった。


けれど、

その必要は、

なかった。


——それだけで、

足が止まった。


そして、

視線の先に、

白い花があった。


草の間に、

ひっそりと咲いている。


百合だった。


リリアナは、

その花を見つめたまま、

動けなくなった。

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