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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第5章:アドバイスを、君に。
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第49話:シュンの狡猾な計画

「そうねぇ....まず今貴方世界を壊そうとしてるって事は理解してる?」


ニッコニコの顔から放たれた慈愛のじの字も無い発言。


「...?」


「理解してないって顔してるわね」


「貴方達人間やエルフ、ゴキブリやネズミに至るまでの全ての生物を【第一生命体】とすると、神なんて言うのは【第二生命体】という事になるわね」


「そして今の私は【第三生命体】と言う事になるのかしら。それがマズいのよ」


「どうして?」


「生命ってのはどうしてもミスを犯してしまうモノなのよ、それは複数の演算が一つの世界でごった返しになってるからなんだけど」


「待って、どういう事だよ」


「バーミア、地球、天界。これらの世界って分かれてる様に見えるかも知れないけど実は繋がってるのよ、宇宙規模でね」


「そんな一つの世界に無数の生命が馬鹿みたいに大きな処理を押し付けるものだから、演算結果にバグが生じたって何も不思議じゃない」


「それがミス。私達概念は一つの概念につき一つの世界があるからまずミスを犯すことは無いの、だからこそ世界のバランスを。世界の法則を保つのに重要な役割に立っているんだけど」


「紆余曲折あったけれど今私はこうして生命体として貴方に寄生してしまってる」


「だから世界のバランスが崩れたと?」


「大体そんな感じね」


怠惰はニコニコしながらそう話す。

どこら辺にニコニコ出来る要素があるのか理解できないが、彼女の口調に深刻性を感じられないのは俺が第一生命体だからだろうか?


「今俺と繋がってるのは先生の【悟り】の効果なんだろ?」


「えぇ、そうだけど?」


「じゃぁなんで生命体レベルで寄生してるんだ?あんたの母体...?みたいなのはまだ元の世界にあるんじゃないのか?」


怠惰の表情が妙に曇った。


「勝治、【悟り】のコントロールをするのに俊介から薬みたいなの貰わなかった?」


「あ、あぁ」


「それは【ウッドソード】で作られた薬なの。【悟り】を使いやすい形に変えたのはお見事としか言いようがないんだけど、同時に貴方に寄生してた私の【世界】ごと変換されちゃったのよ」


「彼の【ウッドソード】が無機物に生命を与えられないように、高度な概念を別の概念に変換することは出来なかった。その代わりが生命への【劣化】って言ったところかしら」


ポカーンと口を開ける俺に対して、怠惰は若干寄った眉間の皺を見せつけてくるかのように覗き込む。


「お分かり?」


「じ、じゃぁもう【怠惰】の世界は無いって事なのか...?」


「えぇ、お陰様でね」


どうやら、気付かないところでとても恐ろしい事が進んでいた様だ。

それはシュンの一件と同じ規模と言うか....なんというか。


「じゃぁシュン。シュンは一体何者なんだ?」


「私と同じ【元概念】って言った感じかしら」


「俊介はシュンを最終決戦が行われた【壊れた世界】に封印した」


「とんでもない力でぶつかり合ったものだから、そのまま魂ごと概念に昇格しちゃったのね。そしたらもうその世界から動くことは出来ない」


「俊介はその【壊れた世界】とは別に新しい世界を作った。それが今の私達が居る世界なんだけど、壊れた世界は【シュン】以外の概念すらも全て破壊されたのよ」


「だから実質その世界そのものがシュンの【概念】になっちゃったって訳」


「シュンも賢いよね、俊介が作れるのは【コピー】までだって踏んで世界が滅ぶ前に自分の遺品を残しておくなんて」


怠惰のその一言で、忘れかけていた記憶が一度に蘇った。


━…━…━…━…━…━…


ライリーが最後の食材を食べきり満足そうな表情を見せる中、病弱気質なあの男が帰ってきた。



「ほらマヨイちゃん。あなたが求めてた資料まとめて来たわよ」



.....相変わらずのオカマ口調で。



真紅のテーブルクロス一面に広げられた古びた書類の山。


その一枚一枚にとんでもない情報量が載っている。



「遺品は地球だけじゃなくてバーミアにもある見たいねぇ....ま。私に出来るのは情報を渡すことぐらいだから、こっから先のお手伝いは出来ないんだけどね~」



妙に腹立たせる物言いをするのがコイツの悪い癖だ。


シュンの遺品。


ざけんな、俺が残した遺品じゃない。


この世に存在する概念の中から、俺に構造が似てるものを集めさせてるだけだ。



そんなもの宇宙規模で探せばありとあらゆる世界に存在する。



なにもバーミアと地球だけじゃない。



そりゃどんだけ資料探し漁ったって遺品の全貌は見えんわな。



....ッチ。



「シュンの復活に必要な遺品は全部で8つ....?どうしてそう分かったんだ?」



俊介は一枚の紙を指差しそう言った。



「生命エネルギーからの逆算でしょうね。フルパワーになるには足りない気もするけど彼ならこれだけでも十分に復活出来るでしょう」



ミレイ・ノルヴァのその光栄極まりない評価。


いやぁ、目に余るねぇ。



愚考もここまで来ると芸術だよ。



ここで遺品が8つって言われてるのはただ単純に【キリがいいから】だ。



体を8つのパーツに分けてるんだよ。



上っ面の【仮面】



攻撃性の【拳銃】



隠蔽の【コート】



童心狂気の【ブーツ】



認識の【帽子】



司令塔の【手袋】



魂の【人骨】



エネルギーの【テラ】



この8つ。



復活するだけなら正直これらの一つあればそれだけで全くと言っていいほどに困らない。


しかしそれだと中途半端なのだよ。



この8つが揃えばそれが一番【キリがいい】。


━…━…━…━…━…━…


消えかけてたシュンの記憶。

悟りの世界に乱入してきたシュンが考えていた事。


遺品は8つもあった。

そしてそれはシュンが作ったものじゃない。


「遺品はシュンが所持したり作ったりしたものじゃないぞ」


「なんですって?」


「彼の意思の波長に近いものが遺品になってるらしい、シュンに体を乗っ取られたときヤツがそう考えていた」


「いやでもそれだと....」


怠惰の表情が露骨に曇る。


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