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幕間 サツキ
暫くぶりですね。
しかし今回はとても短いです。
さて。本日はサツキちゃんのお話。
「随分と汚れたなぁ」
ゆらゆらと木漏れ日が降り注ぐ明るい森の中。
キラキラと光を跳ね返す小さな泉のほとり、サツキはそこにいた。
苔むした彼女の膝くらいまでの高さの石にそっと手を伸ばす。そしてゴシゴシと手で石の表面を拭った。
拭ったところに現れたのは少し風化して薄れかけた文字。
それは名前。
「済まないな、花を持ってくるのを忘れてしまったよ」
現れた文字をサツキは愛おしげに撫でる。
そこには様々な思いが込められていた。
「もうすぐ、来るぞ」
サツキはよっこらせ、と立ち上がった。
「もうすぐ、セロ達がやっと来る。……長かったなぁ。お前が死んで、もうどれだけ経つだろう?……まぁ、妾からすればほんの数日に等しいが、な」
優しく優しく、悲しげに。
「なぁアヴェルラ」
「ちゃんとお前は、幸せだったか?」




