続かない後悔。
「ねぇ、おまえはどうしたいの?」
ぽつりと、セロは言葉を吐いた。
前々から思っていたこと。聞いたらその瞬間このぬるま湯のような関係が崩れそうでずっと押し殺してきたこと。
『嬢さん?』
ヴィオラが怪訝そうに言った。
セロは小さく息を吸う。
そして囁くように呟いた。
「まえから、おもってたこと。どうせわたしはおまえのことをおいていくよ。……いや、おまえがおいていくのかな。どっちにしろ、さいごまでいっしょなんて、むりだよ」
一瞬、口を噤み、そしてもう一度口を開く。
「おまえのじかんを、わたしがむだにしてるんじゃないの?」
返事はなくて、それで良いと思ってた。
返事が返ってくればきっとセロはそのとおりにしていただろうから。
結局のところ、セロの答えは決まっていた。誰がなんと言おうと、答えが返ってこようとこまいと関係なく、ただそうあるべくして決めつけていた。
問いかけなんて、意味を持たないもの。
ただの、確認。
自分を正当化するための陳腐な弁明。誰も聞いてやしないのにそうでもしないと自分を保てない程に、セロはニンゲンみたいに、なれた。
それがどうしようもなく、嬉しくて泣きたい程に悲しい。
いつからだろう。こんなにもちゃんとセロが生きてるのは。
思い出したいわけではないけれど、何故だかそんなことが無性に気になった。
少し傾いだ傘を直す。
すっかり定位置になった左の肩の上。首に程近い場所。
すっかりそうしてるのが当たり前になっていたけれど、これはいつから?
ずうっと昔、セロは傘なんて持っていなかった。
その頃の記憶はとても曖昧。生きてるのか死んでるのか、記憶だけじゃなくて意識も曖昧で。
ただひたすらに『しにたい』という思いだけを理由もわからないままに抱え込んで。それでも死ねなかったセロの手を引いてくれたのは、誰?
今でもまだ、セロは思い出せないまま。ただ漠然と残る優しさと寂しさばかり。
きっとその優しさは、今までずっと探してきた彼のものだと、セロはそう信じて。
目を閉じて、息を整えて、目を開く。
目に映るものはなにも変わらない。澄み切った青い空もそよぐ花も。セロには変わらず綺麗とは認識できないまま。
けれどそれで良い気がした。
前を向いて、もう少しだけ。頑張れる気がしたから。
だから、それで良いとセロは分からない位小さく笑顔を浮かべた。
少々お久しぶりです




