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第十五話:手作りのぬくもりと、雪に閉ざされた楽園 ~あたたかな暖炉と、もふもふに囲まれた最高の冬ごもり~

 石造りの壁の向こう側から、大きなうなり声のような風の音が絶え間なく聞こえてくる。

 北の地の冬は、とても厳しい。

 窓の外は今頃、真っ白な雪にすっかり閉ざされ、激しい吹雪が昼夜を問わず吹き荒れているはずだ。

 いくら厚着をしていても、一歩でも外に出れば、たちまち体がこわばってしまうだろう。


 だけど、この離宮の一階にある広い食堂は、まるで別の国にいるかのように暖かな空気に満ちていた。

 部屋の奥にある大きな暖炉の中では、赤々と燃える薪がパチパチと心地よい音を立てている。

 クロが風属性の魔法を器用に操り、暖炉の熱を部屋の隅々にまで優しく運んでくれているおかげだ。

 私たちは薄着のままでも、十分に快適な夜を過ごすことができている。


 私は暖炉の前の長机に座り、太い木の編み棒を両手で動かしていた。

 今作っているのは、たくさんの猫たちが一緒に乗って休めるような、とても大きくてふかふかの敷物だ。

 この毛糸は、森に住む山猫たちが見つけてきてくれた野生の羊から作られている。


 山猫たちが獲物にしていた山羊は、私たちの食事と元となっただけでなく、その毛皮を無駄にせず、そこに生えていた大量の毛を、私が水属性の魔法『ウォータ』で丁寧に洗い、土の汚れや草の破片を残らず洗い流した。

 それからクロが再び風の魔法でしっかりと水分を飛ばして乾かし、ねじって糸の形にしていった。

 木の棒に巻き付けながら糸を紡ぐ作業はとても根気がいるし、時間もかかる。

 自分で紡いだ糸は、太いところがあったり細いところがあったりして、決してお店で売っているような均一なものではない。

 少し不格好かもしれないけれど、手作りならではの温かみがあって、私はとても気に入っている。


 王都のお屋敷にいた頃は、針と糸を使って何かを作るなんてことは一度もなかった。

 ドレスの裾が少しほつれただけでも、メイドたちが大慌てで別の新しいものを用意してくれたからだ。

 自分の手で一から物を作り出すという経験は、ここに来て初めて知った大きな喜びだった。

 最初は編み目がそろわなくて何度もやり直したけれど、毎晩少しずつ練習を重ねるうちに、今ではずいぶんとスムーズに手を動かせるようになっている。


『人間の姉ちゃん、その敷物、ずいぶんと大きくなってきたな』


 茶色い縞模様をした山猫のリーダーが、私の手元をのぞき込みながら言った。


「ええ、みんなが一緒に乗れるくらい大きくしたいから。もう少しで完成するわ」

『俺たちが見つけてきた羊の毛が、こんなに暖かそうなものに変わるなんてすごいぜ』

「見つけてきてくれて、本当にありがとう」


 私が笑顔でお礼を言うと、山猫たちは誇らしげにしっぽを揺らした。

 厳しい自然の中で生き抜いてきた彼らの知識や行動力は、本当にすばらしい。

 彼らはとても頼りになる森の隣人であり、今では大切な家族の一部になっていた。


 私は編み棒を動かしながら、ふと自分の心の中を見つめ直してみた。

 王都にいた頃の私なら、こんなふうに穏やかな気持ちで編み物をすることなんて絶対にできなかった。

 毎日、アレクセイ王子やマリアのわがままに振り回され、国のお金のやり繰りや、面倒な書類の束に追われていた。

 誰が味方で誰が敵かもわからない貴族たちの間で、常に気を張っていなければならなかった。


 でも今は、そんなしがらみは私の頭の中からすっかり消え去っている。

 私を陥れた者たちが今頃どうしているかとか、王都の政治がどうなっているかとか、そんなことはもう本当にどうでもいいことだ。

 今の私の毎日の関心事は、とてもシンプルだ。

 明日の朝ご飯を何にするか、そして、みんながどうすればもっと快適に過ごせるか。

 ただそれだけだ。


『ここは本当に天国だニャ』


 王都から逃げてきた年老いた黒猫が、暖炉の火に当たりながら目を細めた。


『王都にいた頃は、毎日人間に石を投げられないかビクビクして、ゴミ箱をあさってなんとか生きていたニャ』

『でもここは、ご飯もたくさんあるし、暖かくて最高だニャ』

「そう言ってもらえると嬉しいわ。みんながいっぱい食べて元気でいてくれるのが、私にとっても一番の幸せだから」


 私の言葉を聞いて、周りにいた三毛猫や元飼い猫たちも嬉しそうに喉を鳴らした。

 部屋の隅に置かれた木箱の上では、王都からやってきた三毛猫が丸くなって眠っている。

 この屋敷に来たばかりの頃は、少しの音でもビクッと体をすくませて、人間の私に警戒心をむき出しにしていた。

 でも今では、自分から私のそばにやってきて、ご飯をねだるまでになっている。

 その隣には、首輪の跡が残っている元飼い猫が、お腹を上に向けて無防備な姿でくつろいでいた。

 人間からひどい扱いを受けて逃げてきた彼らが、こうして安心して眠れる場所を作ることができた。

 その事実が、私の心をとても暖かくしてくれるのだ。



 翌日の朝。

 外は相変わらずの吹雪だったけれど、屋敷の中は朝から活気に満ちていた。

 私は編み物を一旦カゴの中に片付けて、立ち上がった。


「朝ご飯の準備の前に、温室と鶏舎の様子を見てくるわね」


 私がそう言うと、私の膝の上で丸くなっていた真っ白な毛玉が、ゆっくりと顔を上げた。


『む……我も行くぞ』


 ハクが大きなあくびをしながら立ち上がった。


「ハクはここで火に当たっていなくてもいいの? 外の廊下は少し冷えるかもしれないわよ」

『ふん。偉大なる王である我が、家臣の視察に同行してやるのだ。ありがたく思え』


 素直じゃない言い方に、私は思わず笑いそうになった。

 本当は一人で置いていかれるのが寂しいだけなのだ。


『カトリーナ様、私もお供いたします』


 足元にいたクロも静かに立ち上がった。

 私たちは連れ立って食堂を出て、裏口へと向かう廊下を歩いた。


 裏口の重い木の扉を押し開けると、そこには頑丈なガラスの板で作られた巨大な温室が広がっている。

 中に入ると、外の猛吹雪が嘘のように、ぽかぽかとした暖かな空気が私たちを迎えてくれた。

 土の良い匂いと、植物の緑の香りが鼻をくすぐる。

 畑の畝には、大根や人参が青々とした葉を元気よく伸ばしていた。

 最近植えた、薬草もしっかりと根付いたようで、もともといたハーブたちに至っては、私の背丈の半分くらいまで大きく成長している。


「みんな、とても元気に育っているわね」


 私が葉っぱにそっと触れると、みずみずしい感触が指先に伝わってきた。


『植物たちの居心地が良いのでしょう』


 クロが誇らしげに言った。


「クロのおかげよ。あなたが空気の流れを整えてくれるから、植物たちも息苦しくないのね」


 温室の奥から、数匹の猫が小走りでやってきた。


『カトリーナ様! 異常なしですニャ!』


 王都から来た猫たちが、胸を張って報告してくれた。


『雪の下から穴を掘って入ってこようとした野ネズミがいたけれど、俺たちが追い払ってやったニャ!』

「いつも見回りをありがとう。みんなのおかげで、大切な野菜が守られているわ」


 私が褒めると、猫たちはとても嬉しそうにしっぽを立てた。

 私は朝ご飯に使うための大根と人参を何本か引き抜いた。

 大根は真っ白でとても太い根っこが顔を出した。

 冬の寒さが厳しくなると、野菜たちは自分が凍ってしまわないように、根っこの中にたくさんの甘い成分をため込むのだとクロが教えてくれた。

 だから、こうして寒い時期に育った大根や人参は、夏の間に育ったものよりもずっと甘くて美味しいらしい。


「自然の力って本当にすごいのね。過酷な環境を生き抜くための力が、美味しさに変わるなんて」

『はい。そして、その自然の恵みを最大限に引き出せるのが、カトリーナ様の水魔法と土の手入れの成果です』


 クロの言葉に、私は少しだけ照れくさい気持ちになった。

 香りの良いハーブも少しだけ摘み取り、カゴの中に入れる。


 次に、私たちは温室の隣にある鶏舎へと向かった。

 土とガラスで作られた小屋の中では、山猫たちが捕まえてきてくれた鶏たちが「コッコッ」と元気な声を上げて歩き回っている。

 餌箱には、料理で出た野菜の切れ端がたっぷり入っていて、鶏たちはそれを夢中でついばんでいた。

 小屋の奥にある藁を敷いた産卵箱をのぞき込むと、白くて丸い卵がいくつも転がっていた。


「今日もたくさん産んでくれたわね。全部で六つもあるわ」


 私は両手でそっと卵を拾い集め、持ってきたカゴの中に入れた。

 卵からは、ほんのりと温かい命の温度が伝わってくる。


『おお! 卵だ! 我はあの黄色くて丸い食べ物が大好きなのだ!』


 ハクが卵を見て、嬉しそうにしっぽを左右に振った。


「ええ、美味しくお料理してあげるからね」


 食材がたっぷり入ったカゴを手にして、私たちは屋敷の厨房へと戻った。



 厨房に戻ると、私はすぐにかまどに薪を入れ、火起こしの道具で火をつけた。

 パチパチという音とともに、明るい火が燃え上がり、厨房の中がすぐに暖かくなった。


 今日の朝ご飯は、山猫たちが昨日獲ってきてくれた大きなお肉を使ったシチューと、新鮮な卵を使ったハーブ入りオムレツだ。

 まずは、野菜を洗うところから始める。

 木のたらいに採ってきたばかりの大根と人参を入れ、魔法の水を出す。


「『ウォータ』」


 澄んだ水が空中の何もない場所からあふれ出し、泥のついた野菜を綺麗に洗い流していく。

 私は包丁を手に取り、洗った野菜を一口くらいの大きさに切り分けていった。

 トントン、トントンというリズミカルな音が厨房に聞こえる。


 次に、山猫たちが獲ってきてくれたお肉の塊を切り分ける。

 とても新鮮なお肉で、綺麗な赤色をしている。

 大きな鉄の鍋をかまどの火にかけ、王都から持ってきた貴重な油を少しだけ入れる。

 そこへ、切り分けたお肉を一気に入れた。


 ジュワァァァッ! という派手な音と一緒に、お肉が焼けるものすごく良い匂いが厨房いっぱいに広がった。


『うおお……! たまらん匂いだぞ!』


 かまどのそばで見学していたハクが、前足をバタバタと動かして興奮している。


「焦げないように、木のヘラでしっかり炒めるのよ」


 お肉の表面に焼き色がついたら、切っておいた大根と人参を鍋に入れる。

 野菜はお肉の脂をまとって、ツヤツヤと輝き始めた。

 全体に脂がなじんだところで、木の桶に入れておいたお水をたっぷりと注ぎ入れた。


 鍋の温度が一度下がって、それからまたゆっくりと上がり始める。

 お湯がグツグツと沸騰してきたら、クロが森で見つけてきてくれた乾燥ハーブを指で細かくちぎって鍋に入れる。

 このハーブを入れることで、野生のお肉の独特の臭みが消えて、味がもっと深く、爽やかになるのだ。

 あとは、かまどの端の方に鍋を移して、弱火でじっくりと時間をかけて煮込むだけだ。


 シチューを煮込んでいる間に、私は前日の夜から準備しておいたパンの生地を取り出した。

 小麦粉とお水、それに少しのお塩と酵母を混ぜて、しっかりと練り上げた生地だ。

 暖かいかまどの近くに置いておいたおかげで、生地は最初の二倍くらいの大きさにふっくらとふくらんでいる。


 私はその生地を木の板の上に乗せ、両手で優しく押して中の空気を抜いていく。

 パン生地の柔らかな感触は、触っているだけでとても楽しい気持ちにさせてくれる。

 丸く形を整えて、包丁で表面に少しだけ切れ目を入れた。

 かまどの端にある熱い石の上にパン生地を置き、上から鉄の蓋をかぶせて焼いていく。


 しばらくすると、香ばしい小麦の焼ける匂いが厨房にあふれ出した。

 鉄の蓋を開けると、表面が綺麗な茶色に焼け上がった大きな丸いパンが完成していた。

 外側はカリカリと硬くて、指で叩くとコンコンという良い音がする。

 でも中はきっと、ふんわりと柔らかいはずだ。


 次に、オムレツの準備をする。

 大きめのボウルに、鶏たちが産んでくれたばかりの卵を六つ、次々と割り入れていく。

 黄身がとても濃いオレンジ色をしていて、新鮮なのがよくわかる。

 木の箸を使って、卵をかき混ぜる。カシャカシャという音が鳴る。

 そこへ、温室で採れたばかりの香草を細かく刻んでたっぷりと入れた。

 味付けは、少しのお塩だけだ。


 別のフライパンを火にかけ、温まったところに卵を一気に流し込む。

 ジュワッという大きな音とともに、卵がふくらんでいく。

 焦げないように手早く箸でかき混ぜて、フライパンの端に寄せて形を作っていく。

 あっという間に、大きくて黄色いハーブ入りオムレツの完成だ。


「よし、できたわ。シチューの野菜も、串がスッと通るくらい柔らかくなったみたい」


 私は出来上がった料理を、大きなお皿や木のお椀に手際よく盛り付けていった。

 ハクはいつも、自分の分のお肉が誰よりも大きくないと機嫌が悪くなるから、一番大きなお肉を選んで彼のお皿に乗せてあげる。

 クロのお皿には、彼が食べやすいようにお肉と野菜を少し小さめに切り分けてから盛り付けた。

 山猫たちや王都の猫たちには、大きなお皿にたっぷりとシチューをよそって、オムレツも細かく崩して混ぜてあげる。



 食堂の長机には、たくさんの料理が並べられた。

 熱々のシチューからは、お肉とハーブの香りが乗った白い湯気が上がっている。

 大きなオムレツは、黄色と香草の緑色のコントラストがとても綺麗だ。


「みんな、お待たせ。朝ご飯ができたわよ」


 私の声を聞いて、屋敷中にいた猫たちが一斉に食堂へと集まってきた。


『待ってましたニャ!』

『今日も最高のご馳走だぜ!』


 床に並べられた木のお皿に、猫たち用のシチューと取り分けたオムレツを置いていく。

 ハクとクロは、私と同じように机の上で食べる。


「それじゃあ、いただきましょう」


 私が言うと、猫たちは一斉にご飯を食べ始めた。

 クチャクチャ、モグモグという賑やかな音が部屋中にあふれる。


『美味い! このお肉、口の中に入れるとすぐに柔らかく崩れていくぞ!』


 ハクがシチューのお肉を頬張りながら、目を輝かせている。


『この黄色い食べ物も最高だ! ふんわりしていて、草の良い香りがする!』

「喜んでもらえてよかったわ。卵も新鮮だし、温室のハーブが良い仕事をしてくれているのよ」


 私も自分のシチューをスプーンですくって一口食べた。

 大根はお肉の旨味をたっぷりと吸い込んでいて、とても甘い。

 人参もほくほくしていて、体が芯から温まっていくのがわかる。

 オムレツも、塩だけのシンプルな味付けなのに、卵の味が濃くてとても美味しい。


 焼き立ての丸いパンを包丁で厚く切り分ける。

 サクッという音と一緒にパンが切れると、中からふわっと湯気が立ち上った。

 その白い内側の部分を、熱々のシチューに少しだけ浸して、口へと運ぶ。

 お肉と野菜の旨味がたっぷりと染み出したスープを吸い込んだパンは、言葉にならないくらい美味しい。


『カトリーナ様の料理の腕は、毎日どんどん上がっていますね』


 クロも上品な動作でお肉を食べながら、褒めてくれた。


「ありがとう、クロ。新鮮な食材が手に入るおかげよ」


 みんなで美味しいものを一緒に食べる。これ以上の幸せな時間なんて、他にはないと思う。



 朝ご飯が終わり、食器を魔法の水で綺麗に洗って片付けると、私たちは再び暖炉の前に集まった。

 お腹がいっぱいになった猫たちは、みんなとても眠そうにしている。

 私は途中まで作っていた大きな敷物を取り出し、再び編み棒を動かし始めた。


 暖炉の火の温かさと、お腹が満たされた心地よさで、部屋中がとても穏やかでゆったりとした空気に満たされている。

 私が編み進めている敷物の端っこには、すでに数匹の猫たちが乗って、丸くなって眠り始めている。


『人間の姉ちゃん、この敷物、本当に暖かくて気持ちいいぜ……』


 山猫のリーダーが、大きなあくびをしながら目を閉じた。


「ふふ、ゆっくり休んでね」


 外では、まだ吹雪が風の音を立てて吹き荒れている。

 もしこの屋敷がなかったら、こんな日には一歩も外を歩くことはできないだろう。

 でも、この壁の内側には、私たちが自らの手で作り上げた、確かな楽園があるのだ。


 ふと、私の膝の上に重みを感じた。

 見ると、ハクが私の膝の上に飛び乗り、くるりと回って一番良い場所を見つけて横になっていた。


『我はここで少し休む。お前は動かず、我の布団代わりになるが良い』


 ハクはものすごく偉そうな口調で言ったけれど、その金色の目はすでにとろんとしていて、今にも眠りに落ちそうだ。


「はいはい、わかったわ。偉大なる王様の布団になれて光栄ね」


 私が少しだけからかうように言うと、ハクは満足そうに鼻を鳴らし、すぐにスースーと寝息を立て始めた。

 彼の真っ白な背中にそっと優しく手を当てると、とても柔らかくて、温かい体温が伝わってくる。

 足元を見ると、クロも私の足先を守るように、静かに前足をそろえて目を閉じている。


 私は、この愛しい光景をゆっくりと見渡した。

 王都の人間たちが聞いたら、あきれ返るかもしれない。

 かつての公爵令嬢が、暖炉の前でたくさんの猫たちと一緒に身を寄せ合って、明日のご飯のことばかり考えているなんて。

 でも、これが今の私のすべてだ。

 誰かの顔色をうかがうこともなく、自分の手で命を育て、美味しいものを食べ、温かい場所で眠る。

 これほど贅沢で、心が満たされる生活を、私は他に知らない。


 私は編み棒を動かす手を少しだけ止めて、暖炉の赤い火を見つめた。

 明日は、どんな一日になるだろうか。

 温室の野菜はもっと大きくなっているかもしれないし、新しい料理のアイデアが浮かぶかもしれない。

 楽しいことだけが待っている明日を思い描きながら、私は再びゆっくりと編み棒を動かし始めた。

 猛吹雪に閉ざされた北の離宮での一日は、手作りの温もりと一緒に、どこまでも穏やかに過ぎていった。


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