4.碁石
逆縁(子が親より先に亡くなる事)は、
親不孝と言いますが、これは、本当の事です。
私が、小学校低学年の頃、急に、
従兄弟が亡くなった、という連絡が入りました。
従兄弟は、1歳になったばかりで、
やっと、よちよち歩きができるようになっていました。
つい1か月ほど前に会って、
一緒に遊んだばかりでした。
それが、亡くなったと言うのです。
信じられない気持ちで、
両親と従兄弟の家に向かいました。
従兄弟は、本当に亡くなっていました。
家にあった碁石を、誤って飲み込んで、
喉に詰まらせ、取れなくなったそうです。
硬貨みたいな物なら、凸凹があるので、
すぐに取れるらしいのですが、
碁石は、つるつるしているので、
取れなかったそうです。
その後、手術をして、取ったらしいのですが、
亡くなってしまいました。
あっという間の出来事でした。
その日は、お通夜です。
私は、子どもだったので、寝ましたが、
大人達は、みんな起きていたようです。
次の日の朝、
叔父さん(従兄弟のお父さん)と、
叔母さん(従兄弟のお母さん)は、
泣きはらした顔を、していました。
それでも、お葬式は始まり、
お坊さんが家に来て、お経をあげてくれました。
もうすぐ出棺となった時、
大人達が、何やら相談をしていました。
火葬場には、叔母さんを連れて行かない方がいい、
と言っているのです。
私は、叔母さんは、従兄弟のお母さんなのに、
どうして連れて行かないんだろう、と不思議でした。
でも、その理由が、すぐに分かりました。
いよいよ出棺と言う時、
叔母さんは、棺にすがりついて、
「この子を連れて行かないで!」
と泣き叫んだのです。
それは、なんとも悲しい声でした。
何とかしてあげたいけれど、何もできません。
叔母さんは、棺から離れないように、
必死にしがみついていました。
叔母さんは、随分抵抗していましたが、
ついには、叔父さん達から離されてしまいました。
そして棺は、運び出されました。
あのまま、叔母さんも連れて行っていたら、
火葬場の火の中に、飛び込みそうな勢いだったなあ、
と思いました。
あの時の、叔母さんの姿や声は、
今でも私の心の中に、焼き付いています。
子どもが親より先に死ぬ(逆縁)という事は、
親にとって、狂いそうになるくらい悲しい事なんだ、
という事を実感した日でした。
「逆縁は親不孝」と言われる訳が、分かりました。
私は、親よりも長く生きなくては、と思いました。
続きは、9月28日(月曜日)に投稿する予定です。




