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3.侍

 ドラマの中にも、尊厳はあります。


 私が、小学校中学年の頃、両親とテレビで、

時代劇を見ていた時の事です。

そこで、中年のお侍さんが切られて、

瀕死の重傷を負いながらも、家族のもとへ帰り、

遺言を言い残す場面だった、と思います。

お侍さんが、もうすぐ亡くなる事は、明白でした。

私は、その時代劇に、興味があったわけではないので、

お侍さんの状態だけを見て、こう言いました。

「もうすぐ、もうすぐ・・・ほら死んだ。」

すると、父が、怒ってこう言いました。

「人が亡くなったのに、そんな言い方を、

 するものじゃない!」

ドラマなのに、本当に死んだわけではないのに、

私は何故、怒られなければならないんだろう、

と思いました。

でも、よく見ると、父も母も、

その場面を見て、感動して泣いていたのです。

父は、更に続けました。

「見てごらん。この俳優さんは、

 鼻水まで出して、演技している。

 本当に泣きながら、この侍を演じているんだよ。」

確かに、その俳優さんは、鼻水を出して、

目を真っ赤にしながら、泣いていました。

という事は、涙も目薬ではなくて、

本物の涙なんだ、と思いました。

そこまで、真剣に演技している俳優さんを、

私は、茶化してしまったのです。

悪かったなあ、と思いました。


  もし、その時、注意されなかったら、

私は、ドラマを茶化して見る人間に、

なっていたかも、しれません。

でも、それからは、ドラマや映画などを、

真剣に、見るようになりました。

だから、すぐに感動して、泣きます。

家族の中で、一番涙もろいのは、私です。


 『尊厳』という言葉を調べたら、

「人間が持つ生命や、人格を尊重し、

その価値を認める態度を指す」

と書いてありました。

ドラマの中の人物でも、それを演じている役者さんも、

その尊厳を持っていて、

大切にしなければいけない、と思っています。


続きは、9月21日(月曜日)に投稿する予定です。

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