表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強騎士、昭和に帰還。理不尽をやり返す話  作者: 水戸直樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/37

第21話 平成元年、昼休みの誤解

「あたしはプリプリが好きだなぁ」

「ダイアモンドいいよね!」


 五年三組の教室へ戻る頃には、昼休みも終盤。


 女子たちは歌番組の話で盛り上がり、男子たちはおぼっちゃまくん。


「ともだち◯こー!」

「ともだち◯こー!」


 お馴染みのポーズを真似して大騒ぎする男子たちが、こちらを振り返った。


「どうした?慎太、ノリ悪いな?」

「あ、ああ。いや、ノート見直したいとこあるから、すまん。さいならっきょ」


(大人一回やった後に、ともだち◯こはきつい……!)


 自席に戻ると、隣の亀井琴子が何かの絵をノートに描いている。


「お、上手っ……!」

「ちょっ!勝手に見ないでよ!このエッチ!」

「なんでだよ……」


 琴子は慌てて絵を隠す。頬を少し赤く染めて、大きな瞳でこちらを睨みつけてきた。


「しかし、めちゃくちゃ上手いな。何の絵だ?」

「え?あんた知らないの?『ときめきトゥナイト』」

「あーー、名前は知ってる。伝説的名作だよな、たしか」

「そ、そうよ。慎太のくせに、よく知ってるじゃない」

「慎太のくせにって……」

「あんた、ぶっきらぼうでゲームの話ばかりしてるから、知ってて驚いただけよ」


 悪かったな、ぶっきらぼうで。

 しかし、琴子の絵は才能だ。稀にいるという、字はダメだけど絵は天才という類かもしれない。


 

 佐々木真佐奈が教室に戻ってきた。

 『先に行くから、お前は少し時間を空けてからこい』と伝えはしたが、だいぶ遅かった。おそらく、トイレで大でもしていたのだろう。


 チラリと見ると、真佐奈は照れくさそうにふっと視線を逸らした。

 大丈夫だ、トイレは恥ずかしいことじゃないぞ。


 


 騒がしさの中、真佐奈は自分の席へ静かに腰を下ろす。


(……はぁ)


 まだ心臓の鼓動が落ち着かない。


 ――教育実習生、矢田沢。


 欲望が見えるような、ねっとりした目。

 軽い調子の『可愛い』という言葉。

 資料室前、距離を詰めてきた圧迫感。

 思い出すだけで、背中がぞわりと粟立つ。


 だが、それ以上に頭へ残って離れないのは――


『お前の安全が最優先だ』


 北校舎で聞いた、慎太のぶっきらぼうな声だった。


 それが何度も脳裏に再生され、そのたびに胸が温かくなる。


 時間を潰してから、教室に入ってきたときにも、彼と目が合った。


 つい、恥ずかしくて目を逸らしてしまったが、変に思われていないだろうか。


 顔を伏せ、前髪で隠すようにしながら、小さく深呼吸した。


 すると、


「ねえ、真佐奈」


 不意に、横から声が降ってきた。


 顔を上げると、そこにいたのは下館亜里だった。


「あ……亜里」


 亜里はどこか期待に満ちた顔をしていた。

 落ち着かない様子でデニムスカートの裾を指先でいじっている。


「ねえねえ、矢田沢先生となにか話した?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ