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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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72 彼にも複雑な事情があるようで

「そういえばリーシャ様、もうすぐアルランタ王国のパーティーに行かれますよね。詳細をお聞きしておりませんでしたが、私は同行してもよろしいのでしょうか?」


 ふと、今思い出したというように問うてきたのはリジーだった。

 ただ、リジーがこの手の情報を確認するのを忘れているはずがないので、ずっとタイミングを窺っていたのだと思う。ルヴィや旦那様も傍にいる、今この時がちょうどいいと判断したのかな。


「ええ、構わないと思うわ。でも事前に伝えてあった通り、少なくともパーティー中はずっと両陛下のお傍にいなければならないから、その時は距離を取ってもらわないといけないけれど」

「承知いたしました。では基本はただの侍女として、同行させていただきますね」


 となると、旦那様もシエル様を伴うことになりそうです。レイはどうしましょうかね。ルヴィが一緒に来るなら留守番させておいた方が良さそうではありますが……


 ルヴィにも視線を向けてみれば、ちょうどそのことを考えていたらしく悩むような素振りを見せている。心配そうだったり、かと思えば面倒そうにしたりと、ころころと表情が変わる。


「うーん……僕はどうしようかなぁ。父上と母上にはご挨拶しておきたいんだけど、兄上たちが絶対めんどくさいし……そうだ、僕は両親に挨拶をしたらすぐに私室に逃げ込むので、兄上たちのお相手をお願いできません?」

「もちろん機会があればご挨拶には伺うけれど、あなたが期待するような働きはできそうになくてよ」

「え~、どうしよ。あっ……そうだ皆様。アルランタでは継承権を放棄するということは王族籍を抜ける、という意味にもなるんですけど、前に『自ら継承権を放棄した場合、申請が通ればまた王族に戻れる』という話をしたのを覚えていますか?」

「ええ、あまり聞かないやり方よね」

「うん。だから面会もできるくらいだし、結局は権力がなくなるだけで王族としての扱いは受けられるようなものなんだよ」


 そもそもルヴィの『継承権を放棄した。つまり王族籍からも抜けている』という話も偽装だそうだしね。本当、複雑すぎる制度だと思うわ。偽装のせいでさらに分かりづらくなっているし。アルランタにも過去に色々あったみたいだから、後にこのような制度ができたのでしょうけど。


「それだけ大切にされている存在ということはつまり、定期的に顔を出さないと割と……いやかなり? 心配されるみたいでね」

「…………」

「それではフェルリア公爵夫妻とリジー様に問題! 僕は王族籍を抜けて以降、何度この姿で城内を歩いたでしょう!!」


 この姿、というのは女性の格好を指しているのでしょう。わざとらしく笑って見せたルヴィからは、少しだけ焦りを感じる。まるで『やばいなぁ』とでも思ってそうな顔付き。

 ルヴィの素性について聞いた時、男装した状態でこっそり城内に忍び込み、家族と会うことはあると言っていた。けれど王女としての姿では……?


「正解は、『一度も歩いていない』でした! ……どうしようリーシャ様……!」

「……自業自得だわ。とりあえずノエルの夫人を呼ぶから、急いでドレスと宝飾品を一式準備しなさいな。王女として、一度正式に帰省した方が良くてよ」

「いやだあああ……!!」


 いやだ、って……自分でも帰省しなければならないことを思い出したから、このような問題を出してきたのでしょう。

 旦那様は呆れ返っているし、リジーは『ノエルのご夫人にご連絡して参ります』と席を外した。ドレスと宝飾品を一式準備だなんて、この短期間でそれを成し遂げてくれるのはノエルくらいしかない。彼女のお眼鏡に適っていてよかった。なぜか前にルヴィのドレスを仕立てたがっていたので、喜んで対応してくださるでしょう。それでも後で謝罪とお礼をしておかなければ。


「両陛下にご挨拶はしたかったし、公の場に出なくても城内を歩けば勝手に無事である事実は広まるからいい。問題は、久しぶりの王女としての僕に大騒ぎしそうな兄上たち!!」

「お嫌いなの?」

「いえ……別に、嫌いではありませんけど。両陛下同様、というか勢いだけで言うならそれ以上に愛されているのが伝わるし。伝わるどころか、兄上たちが僕のことを大好きすぎるせいで面倒なだけで……いや、生暖かい視線を向けないでくれます!? お二人も実際に見たら僕の気持ちが分かると思うから……っ!」


 ルヴィが何かに対してこんなに嫌がっているのは初めて見た。愛情の裏返し……? に見えなくもないけれど、面倒なのは本当のようですね。まあいざとなったら助け船を出してもいい。面白かったら放置の方向で。


「ではアルランタ行きはわたしと旦那様、それにリジーとルヴィとシエル様。レイはお留守番。これで決定ですね」

ご覧いただきありがとうございます!

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