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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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62 紋章

 ──拷問を始めて、一時間ほど経過したでしょうか。

 窓のない地下室では蠟燭の灯りしかないので時間が分かりませんが、屋敷内で使用人たちが動き始めた気配がします。


 今の状況はというと、色々と質問しても『答えたらあいつらも殺しに行くんだろ!?』と答える気がないようで、鉄でできた拷問椅子に火で熱を与え、手の指を三本ほど落としたところ。指が落とされた時にはもちろんのこと、椅子で火傷しているのに逃れられないので、それにも苦しみで絶叫していました。


「埒が明かないですね。……いいことを教えてあげる。あなたの六人のお仲間、わたしがこの手で全員殺しました。人質もいましたので。まるで『騎士』のような戦い方をする人たちでしたね」

「っ……あん、た!」

「はい」

「今なんと……!?」

「無駄なことばかりよく喋りますね。余裕そうなのでもう少し指を切りますか? あなたの仲間は後祭りの前日に全員殺したと言ったのですよ」


 自分ばかり苦しめられているとでも思っていますか? あなたの仲間はすでに殺されているし、わたしだって生死を彷徨った。無関係のはずの子供達は巻き込まれ、多くの国民が被害に合うところだったのですよ。ならばそれらを企んでいたトップがこのような目に合うのは当然。

 ただ、気絶させないようにするための薬を途中で飲ませたとはいえ、何本も指を落とされて大火傷を負いながらも、まだ怒る元気があるのはすごくないですか?


「その昔、とある隊の騎士が複数名、行方を眩ませたそうです。彼らは国境付近での小競り合いに繰り出されていたそうで、怪我をして帰ったのだとか。それから約二週間後に行方不明になったと聞いています。────その騎士というのは、あなた方なのでしょう?」

「……あいつらは、どこに」

「土葬しましたよ。彼らが現役で戦っていた頃の武器に飾られていた、ウェルロード帝国騎士団の紋章を剥奪して。それがリーシャ様のご命令でしたので」

「罪のない国民に手を出し、テロを企む反逆者なんです。誇り高きウェルロード帝国の騎士である証明を、与えたままにはできません」


 国を裏切っておきながら、未練でもあったというのか。項垂れてしまった彼を見て、もう一度先ほどと同じ質問をする。


 ──他に仲間はいないのか。


 少しの沈黙の後、『いない』とハッキリ宣言される。テロは後祭りの日に実行する予定で、その日以降のことは考えていなかった。自分たちの背後には誰もいない。個人的な集まりだった。


 いまだに与え続けられる痛みに苦しみ、喘ぎながらもその唇はぽつりぽつりと答えを紡いだ。元々基本的なことはリジーに聞き出してもらっていたので、追加で聞いておきたかったことをすべて吐かせたら、彼はもう用済みとなる。


「分かりました。では最後に、帝国の騎士であったはずのあなた達がこのような道を選んだ理由を教えてください。これは話したくなければそれで構いませんが、どうします?」

「どうせ、俺のことも……殺すんだろ。それならロード、だったか。国のトップに近いあんたに俺らのことを……聞いて、ッもらおうか。今後同じ道を辿る奴が、現れないように──……」

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