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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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59 ロードの特権

「ところでリーシャ、最初のゲームは何だったんだ?」

「ゲームですか? あれは勝者の権利で旦那様にお聞きしたいことがあったのと、わたしの血筋が担う役割について話すならちゃんと実力が伴っていることを証明した方が良いのではないかと思いまして。失態を犯してしまったばかりですし」


 森から屋敷に戻る道中、ふと投げかけられた疑問は旦那様の立場からすると不思議に思って当然のことで。

 隠すようなことでもなかったので思惑を話せば、なるほどと納得したように頷かれる。


「失態を犯してしまったと言うが、君が戦えることは分かっているぞ? 一度怪我を負ったくらいで君の強さを疑うことはない。共闘したことも、手合わせをしたこともあるのだからな」

「そうですか?」

「ああ。ちなみに聞きたかったことと言うのは?」


 旦那様の言葉に、答えるかどうか迷い、少しの間沈黙が流れる。整備された芝の上を歩く、サクサクという音がやけに大きく響く気がした。


 大したことではありませんが、と前置きして顔を上げれば、いつの間にやらわたしの顔を見ていたらしい旦那様と目が合う。


「ロードには一度だけ、国や任務よりも『何か別のもの』を優先することができる権利があるじゃないですか。王命であろうと止めることのできない、絶対的なカードが」

「ああ」

「旦那様はそれを何に使うのか気になったのです。本当にただの興味本位なのですが……それとも、もう使ったことがありますか?」


 皇族でもないのに国のために命を捧げなければならない、ロードという存在。それを不憫に思ったらしい過去の皇帝が、このような権利をわたし達に与えた。何に使うかは自由で、何かを『優先する権利』とは言ったけれど実際には何でもできる。早めの引退を願い出る人もいれば、お金や領地を望む者もいたし、身分違いの結婚を頼み込むロードもいたのだとか。

 お母様は早くに亡くなったのでその権利を使っていなかったようですが……陛下に預けていた遺書には、『大人になったリーシャと二人で旅行に行ってみたい』と書いてあったんですよ。その文章だけ文字が揺れ、インクが滲んでいたことをよく覚えています。


「いや、使ったことはないし何も考えていないな。君は?」

「わたしですか? そうですね……八年ほど前に決めました。まだその時は来ていませんが、その権利を使うタイミングはすでに皇帝陛下にも話していますよ」


 そう言えば、旦那様は意外そうな顔をする。たしかに普段のわたしならこういう権利は使い道がなさそうに見えるのかもしれないけれど、こればっかりは確定した未来なのですでに陛下にもお伝えしているんです。わたしの生きる目的に大きく関わっていまして。


「旦那様の方こそ、わたしに何を言うつもりだったので?」

「……私のは君ほど軽く言える話ではないから言わないでおこう。また機会があれば、な」

「あら……」


 急に怖くなるじゃないですか。なんですか、そんなに真面目な話なら尚更気になるんですけど!


 そう思い、そのまま旦那様に伝えるも断固として教えてくださらなかったので、今度同じような勝負をした時には勝利して聞いてみようと思います。

ご覧いただきありがとうございます!

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