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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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46 何万という命を無に帰したもの

 女性が背中の後ろで組んだ手が、先ほどからとある法則に則って動いている。そう、まるで自分達にだけ分かる指文字でも使っているかのように。


「それは残念です。……ではオッドアイのお嬢さん、私達が降伏すると言ったら命を助けていただくことは可能ですか?」

「不可能に決まっているでしょう?」

「そうですか……それなら、私達が先にあなたを殺せばいいだけの話ですね!!」

「わたしがあなたの指示に気付いていないとでも?」


 時間稼ぎと視線誘導のためにわたしと会話をしていた彼女は、話をしている間に自分の後ろに立っていた男達へ、とある指示をしていた。そして今、彼女の合図と共に一斉に走り出す。

 ひとりは武器を取りに、ひとりは人質を奪い返しに、残りはわたしの死角から攻撃を仕掛け、全体のサポートに回る。それらの指示をしていた本人は、バッと後ろに跳び退ってわたしから距離を取った。


 賢い判断だと思いますよ。見事な連携ですし、やはり数が多いと有利ですね。けれど、わたしが気付いていないとでも思いましたか? あの程度の簡単な指文字が読めないとでも?

 わたしの相手をしていた女性は優秀なのだろうなと思いますが、背後の彼らが駄目ですね。視線で会話をしているのが一目で分かったので。


 それにしても……わたしは随分と舐められているのですね。まあ当然かもしれない。ロードと言っても、見た目はただの小娘ですし、ロードの力なんてほんの一握りの人しか知らない。仕方がないとはいえ、無知って恐ろしいですよねぇ……


「──その子達には手を出させません!」

「っぐ、う……!」


 いつの間にやらわたしの背後で守っていた子供達が狙われていたので、一旦考えるのはやめて戦うことにする。

 即座に双方の間に割り込み、二本の短剣を交差して振り下ろされる剣を防げば、子供達に刃を向けていた不届き者は衝撃で向こうの壁まで飛んでいく。これは『身体強化』です。ロードの能力って便利ですね。


 衝突してそのまま崩れ落ちましたけど、あれはまだ生きているのでしょうか。あとでまた確認しなければ。


「もう大丈夫よ、あなた達のことはこの命を懸けても守り抜くから。しばらくの間、周りの景色と音を遮断するけれど、全てが終わったら無事にお家に帰すと約束します。だからここで待っていてね」


 人質として誘拐されていた子供達に声を掛け、その中でも一番冷静そうな子には『この子達をよろしくね』と落ち着かせるのを頼んでしまった。レイより二つか三つほど、年下の子。それでもしっかり頷いてくれたのだから、本当に強いと思う。

 急いで強固な結界を張ったわたしは、再び命を狙ってくる彼らの相手をしながら告げた。


「わたし、思うんですよ。子供に手を出すようになってしまったら、救いようがないのではありません?」


 子供は国の宝なんです。守らなければ生きることすら難しい存在に手を出すのは、本当にもうおしまいでは? もちろん大人ならいいわけでもありませんが。


 ────ふと、今までとは桁違いの殺気を感じた。


 咄嗟に結界を張るも、急ぎで構築したそれは一瞬にして破壊される。チッと何かが切れる音がして、やけに熱く感じた右腕を見れば、剣ではない何かで皮膚が裂かれている。


「銃……」

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