betrayer
☆メジャー☆
「入るぞ、メジャー」
クローバーがパーソナルスペースに入って来た。
「何か」
「うむ、誰ひとりとしてブリッジに戻らないのでな」
「そうですか」
「数日で月だ。ここで加速を入れたら地球に戻れなくなるぞ。どうする。ここで降りて救助を待つか。いつ来るかわからんが。それとも潔ぎ良く散るか」
「何故、散らねばならないんですか。このままとはいきませんか。この船に乗りますよ」
「乗るか。良いが、戻れなくても知らんぞ。最悪命落とすかもしれんぞ」
クローバーがいう。
何か堪に触ったら。
「あの四人にも、そう言ったんですか。戻れなくなる。
死ぬかもしれない。何度も何度も」
「うむ。毎日言っておけば、覚悟をするであろうからな」
さも当然、何が不思議かとクローバーが頷く。
それでか。
何もわからないんですよ、と子どもの顔をみせながら、最後は、達観したように、揃って、今死んでも良いと言った少年達。
毎日、毎日、絶望しかない未来を言い聞かされていたのだ、この老人によって。
ゴリ・ラリアン士官と、無関係の労働者の子ども、の関係の時は逝きようが、死のうとも関係なかったが、今は同じ船に乗る気でいる、同じクルーの関係だ。
生きて欲しい。
関係が出来たのだから、ゴリ・ラリアンとしてだけではなく、年長者としても少年は導かねばなるまい。
曾祖父さんはどう思うか知らないが。




