medical scientist
☆メジャー☆
「チェックさせてもらいます」
そう言ってその子どもは、おれの身体にセンサーを向ける。
左下肢を入念に。
艶やかな黒い髪の子どもだ。
センサーからの記録の浮かぶパットを操作しながら子どもは言った。
「少佐はさすが、エリートですね。完治するの早いと思います」
「おれがゴリ・ラリアンだからだろ」
「ゴリ・ラリアンの平均値よりすごくすごく早いんですよ」
黒い髪が躍るほど、頭を上下に揺らしながら、子どもは強い声で言った。
「俺、ゴリ・ラリアンを診るのは初めてなんです。医工だから。いつもはロイドのチェックとメンテナンスしかできないから」
目を伏せて子どもが言った。
「ありがとうございました」
唐突な謝辞。
「意味がわからんのだが」
「俺なんかに傷をを任せてくれたから。メディカルシステムで済むのに」
「おれは、何故ここにいるかわかるか?」
「俺達労働者なんかが、クロ……ジィちゃんに重用されるのが我慢できなくて、俺達を排除するために」
ベッドに引き倒して頸に手を掛けた。
「なら、おれがお前達を排除するのを諦めず、油断させてひとりづつ殺すために負傷を擬態しているのだとしたら」
白いシーツの上に短い、しかし艶やかな黒い髪を乱れさせ、子どもが言う。
「本当に殺すならそんなことは言わないでしょう。少佐は俺達撃たなかった」
また、この子どもの口からもあの話がでるのか。
「コロンが惜しかったからとしたら。今は殺すとしたら」
子ども頸に手掛け続ける。
「それは思わなかった。そうか機体……」
少し黙ってから子どもは続ける。
「俺はジィちゃんと旅に出ると決まってからは、いつ死んでもいいように動いて来たつもりだから、それに今、少佐になら殺られても後悔はないです。どうぞ」
おれを見詰めて、そう言うと少年はまぶたを閉じた。




