↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンの親玉聖女になりましたが今日も振り回されています  作者: たくみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/64

63.体調不良

 学園の廊下を一人歩くオリビア。それは成績至上主義の変人に目をつけられてから当たり前だった。


 だが最近それは当たり前ではなくなってきた。


「オリビア」


「セレナ」


 名前を呼ばれ振り返ればそこにいたのは大将軍の娘であるセレナだった。


 アレンとリョクの件が解決した後、セレナはオリビアに積極的に関わるようになった。


「マリンちゃんは?」


「今日は留守番よ。料理長が新しいデザートを考えるって言っていたのを聞いたからかもしれないわね」


「ふふっ食いしん坊ね。かわいい」


 セレナがドラゴン好きなのは事実のようで、主にドラゴンのことを二人は話す。普通の会話。普通なのだがオリビアには少しくすぐったいというか……いかんせん友人と呼べるような人はいなかったから。


「あ、オリビアにセレナ」


 話をしながら教室に向かう二人に声がかかる。この国の王女のエリザベスだ。小走りで二人に近づいてくる。


「ちょっと聞いてちょうだい!昨日お兄様がまた新しい女を連れ込んでたのよ!あの色狂いどれだけ側室を迎えるつもりなのよ!ん?迎えるつもりよね?え?迎えないとか……?ヤダ!不潔!」


 一人ぎゃいぎゃいと騒ぐエリザベスにオリビアもセレナも苦い笑みを浮かべる。


 少々やかましいが、こんな学生生活も悪くない。


 そう思うオリビアだった。






 ~ 3ヶ月後 ~



 学園での授業を終え、王宮にやってきたオリビア。竜騎士団の訓練場へと続く回廊を歩くがその足取りはふらついていた。


 気持ち悪い……。頭の中がグルグルと回る。身体の中もかき回されているかのよう……?いや、もう自分でもよくわからないが、とにかく気持ちが悪い。


 なんとか足を動かしているはずだが、目眩もするし自分がちゃんと動かせているかさえよくわからない。だから気づかなかった。自分の身体が大きく前に傾いたことにも――


「オリビア嬢、大丈夫か?」


 ……ん?何か急に身体に温もりが。


 それに聞き覚えのある声が……。


 ほんの僅かに身じろぐ。


「ああ、意識はあるようだな。熱はないようだが……気分が悪いのか?」


 何か言っているのはわかるがうまく頭に入ってこず、返事ができない。身体が抱きとめられたことにも気づかず無言でぼーっとするオリビア。


 でもさっきより……目をそっと瞑る。


 そんなオリビアを彼女を受け止めた男性――バリーは心配そうな目で見つめる。


 王宮の外へ出ようと歩いていたバリーは前から来るオリビアに気づいた。だが動きがおかしい。慌てて近くに寄れば今にも倒れそうなほど顔色が悪い。


 案の定傾いていく身体。


 慌てて駆け寄り抱きとめた。普段であれば頬を赤らめ慌てて身体を離すオリビア。だが今日は動く気配がない。というよりも今の状況をわかっていないよう。


 熱でも出たのかと思いおでこと頬にそっと手をあてれば、異常なほどに冷たい。


「隊長、オリビア嬢大丈夫っすか!?」


 一緒に外の仕事に同行する予定のジョーが先に走っていったバリーに追いつき、オリビアの顔を覗き込む。


「いや、あまりよくない。ジョー医務室に連れて……」


 連れて行ってくれと言いかけとまる言葉。


「?隊長どうかしたっすか?」


 バリーが何を言おうとしたかを察し、オリビアを受け取ろうと差し出されるジョーの手をじっと見る。暫くそうした後オリビアを抱きしめる手に少しだけ力を込める。


「いや、私が連れて行く。悪いが仕事は他の者に同行を頼んでもらってもいいか?」

 

「もちろんっす!」


 そう言い来た道を引き返していくジョーを見送ったバリーはオリビアの身体を横抱きに抱え上げようと動きかけ一瞬ビクリとした後動きを止めた。


 


 ああ、なんだろう。あんなに気持ち悪かったのに落ち着く。心地よい温もりに何度か嗅いだことのある香り……


 温もりが離れていく気配がして思わず呟いていた。


「もう少しこのままで……」



 ビクリと動く何か。


 先程よりも身体が触れているものが強張ったような気がする。


 そっと目を開く。


「……………………」

 

 これは…………よぉく見覚えのある騎士団のコートだ。目を開ければまだ気怠さはあるが意識がはっきりとしてくる。この温もり、身体に触れる感触には覚えがある。


 いやいやいやいやいや


 慌てて足を後ろに引き身体を離そうとしたが力強い腕に囚われていて離れられない。


 かぁぁぁぁと頰が熱くなっていくのが自分でもわかる。


「オリビア嬢?」


「あ、あああああの……ご迷惑をおかけしたようで。もう大丈夫ですからその……離していただけると……」


 恥ずかしい。


 離してほしい。いや、でも離れがたいような……いやいやいやいや自分は何を考えて。


「ん?少し良くなったか?いや、あれだけ気分が悪そうだったんだ。このまま医務室へ行こう。ちょっと失礼」


 そう言うと膝の裏に手が触れる気配がし、横抱きにされる。


「!?ほ、本当に大丈夫ですから下ろしてください!身体も大分楽になりましたから」


 顔を真っ赤にして叫ぶオリビアをじっと見るバリー。


 確かに顔は赤いが血色も良くなり、身体に力も入って元気そうだ。


「だが念のために医務室に……」


 ひ、ひぃぃぃぃ。もう身体も楽になったというのに王宮勤めの医師に診てもらうなど恐れ多い。だがバリーは医務室に連れて行く気満々なようだ。


 であれば。


「あ、あの……では少し身体をお借りしても良いでしょうか?」



 オリビアの申し出にバリーは不思議そうな顔をしながら頷いた。


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。