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ドラゴンの親玉聖女になりましたが今日も振り回されています  作者: たくみ


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61/64

61.判明

 リカルドに膝を折り挨拶をしたガーネ侯爵家の面々とユリアはリカルドの勧めによりソファに腰掛ける。


 ソワソワと落ち着かない様子の彼らにオリビアまで落ち着かない気持ちになってくる。


「よし、これで揃ったな。さあオリビア嬢。なぜリョクというドラゴンがアレンから離れていったのか教えてくれ」


「はい。陛下」


 頷いたものの視線が痛すぎて非常に話しづらい。


 ただでさえ言いにくいことなのに。


 あー……皆の目に目隠しをしてやりたい。そんなことを思いながら昨日のリョクとの会話を語り始めるオリビアだった。




~~~~~~~~~~

 



 じゃあリョクも見つかったし帰ると言って去っていくマリンパパ。その姿が完全に見えなくなるとリョクが口を開く。


『 いやぁちょっと言いづらいんすけどー 』

 

 どすんとお尻を地面につけ頬をポリポリとかく姿は人間のよう。彼の話し方はジョーに似ているというか若者の話し方である。リョクは数100年生きているもののドラゴンの中ではまだ若い方で年寄りと差別化を図りたいらしくあえてこういう話し方をしているらしい。


 ドラゴンが年齢を気にするなど意外である。


 いやいや、そんなことよりリョクの話に集中せねば。


 じっと見つめれば、その目は下に向きキョロキョロと落ち着かなさげに動く。


『 ぶっちゃけちゃうんすけど……アレンの婚約者が苦手なんす 』


「え……!?」


 まあ正直なところ婚約が決まった日にいなくなってるし、そこくらいかなとか思っていたけれど。思っていたけれど……なんか釈然としない。あの穏やかで性格の良さがにじみ出ている女性のどこに文句があるというのか。


『 ほらオリビア!やっぱりヤバイ女なのよ!ドラゴンが嫌うような女なのよ!春の令嬢?そんな女この世に存在しないのよお!きっと夏の陽射しみたいなギラギラした女よ! 』


 ……マリンは何を言っているのだろうか。


 ほらぁと勝ち誇るかのように空中に浮かびながら胸をはるマリンはもう放っておこう。マリンからリョクに視線を移す。


「彼女のどこが苦手なの?善人面して実は悪人とか?」


 あ、自分で言っておいてなんだがそうだったらなんかショックだ。人間不信に陥りそう。


『 ………………そうじゃないっす。穏やかで優しくて頭が良くて、皆が思ってるままの女性っす 』


『 はあ!?じゃあ何が問題だってのよ!? 』


 マリンが面白くなさそうに言う。


『 だから彼女は悪くないというか、でも原因は彼女っていうか……」


 もじもじしながらゴニョゴニョ話すリョクにマリンの眼尻が吊り上がっていく。


『 はあ!?さっきからおっさん何言ってんのよ!?ドラゴンならシャキッとしなさいよシャキッと! 』


「こらこら落ち着きなさいよ」


 相手が人間だろうがドラゴンだろうがすぐに突っかかっていくマリン。図体が大きくなってもこの調子だったら凶悪なドラゴンとして有名になりそうだ。


『 す、すまないっす。じゃあはっきり言うっす!俺虎が苦手なんす!というか俺だけじゃなくってほとんどのドラゴンが虎を嫌いっすけど 』


「虎?」


 なんで急に虎の話を?


『 強くて凶暴でドラゴンと被るところがあるっていうか、相性が最悪なんすよ 』


 リョクはこれ常識ですからみたいな口ぶりだが、オリビアはついていけない。


「あの、リョク。聞きたいのだけれど、なぜ急に虎の話を始めたのかしら?私はユリア様のことを話しているのだけれど」


『 あ……?ああ!言い忘れてたっす。アレンの婚約者の前世って虎なんすよ 』


「ユリア様の前世が虎?」


 コクリと頷くリョク。


 いやいや、あの春の陽射しのように穏やかなユリア様が虎?オリビアの脳内でユリアの顔と虎の顔がピタリと重なる。


 不一致不一致とビービーと頭の中で音が鳴る。


 だが目の前にいるリョクはオリビアの脳内などしらぬとばかりに言葉を続ける。


『 いやぁ、獣臭っていうんすかね。離れたところからでもわかるのにあんなのがアレンの側にいたらアレンまで獣臭くなるじゃないっすか。俺……そんな臭いをさせたアレンを背中に乗せるのとか無理っすから 』


 け、獣臭!?


 社交界で挨拶を交わしたユリアからは香水なのか、彼女自身の香りなのかはわからないがかすかに花の匂いがしていたはずで……獣臭など一度も感じたことはない。


 いやだ。なんか頭の中でユリアのイメージが崩れていく。


『 なにそれつまんないのー。超しょうもなー 』


 マリンの声にはっとする。しっかりしろ自分。実際にユリアから獣臭がするわけではない。そして虎でもない。あくまで前世が虎だというだけ。


 スーハーとゆっくり息を吐く。


 あ、少し落ち着いてきたかも。


 それから少し話を続けたオリビアとリョクとマリン。お別れの時間がやってくるとリョクは訓練場ではなく山の方へと飛び去っていった。




~~~~~~~~~~




「「「…………………………」」」


 オリビアの話を聞き終えた人々はただただ沈黙を守った。だってなんと言っていいかわからないではないか。原因となったユリアが目の前にいて、なんか虎が~とか獣臭が~とか言われていたし。


 なかなか失礼な言われようだったし――。





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