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ドラゴンの親玉聖女になりましたが今日も振り回されています  作者: たくみ


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23.学園長がやってきた

 ~リード侯爵邸の食堂~


「マリンー。ご飯よー」


『 今日はコーンスープね!美味しいわ。って、ちょっとこれ粒残ってるわよ!?私まだベイビーなのよ?ちゃんと裏ごししてくれなきゃあダメよぉ 』


 自分でご飯をどうにかすると言っていたのに我儘を言うのは無事侯爵邸に住むことを許可された赤ちゃんドラゴンのマリンだ。


 オリビアが許可を取りに行くと陛下からはそもそも自由であるべきドラゴンに制限をかけるなど烏滸がましいことだと説教され、マリンのママからは独り立ちだと喜ばれた。


 リリスは可愛いと大喜び、侯爵邸にドラゴン……使えると暗い笑みを零していた。そしてザイルはリリスの腹黒い笑み尊いと悶絶していた。


 ちなみにマリンと名付けたのはオリビアだ。基本的にドラゴンは名前を付ける習慣はないようで人間が勝手に付けるか、色で呼びあったりおいとかちょっとと声かけすることで通じるらしい。


 一粒だけ入っていたコーンを取り除けば、上機嫌に再び皿に口づけるマリン。


 可愛い。


 優しく背を撫でれば、邪魔しないでとばかりに翼で手を払われてしまった。さて、自分はもう先にご飯を食べたし今日は何をしようか。


「オリビア様。学園長がお見えです」


 使用人からかけられた声にオリビアは首を傾げた。




「オリビア君、おはよう。早朝からすまないね」


「学園長、ご機嫌よう。わざわざ家に足を運ばれるなんて私何かしでかしました?」


「いやいやいやいや優秀な君がやらかすなど滅相もない。ちょ、ちょっと相談というか話があってね」


 でしょうね。じゃなきゃ来るわけない。


 応接室に案内されていた学園長はオリビアが正面に座ると落ち着かなさげに足を揺らす。彼はオリビアとリリスが通う学園の学園長だ。先代が亡くなり交代したばかりの新米学園長。

 

「じ、実はその……長期休暇をとると聞いてはいるんだが、もうそろそろ学園に来られないかと思ってね」


「は?」


 学園では貴族出身の生徒の親や親戚縁者が亡くなった時、長い休みをとることができる。手続きやら何やらで忙しくなるからだ。中には家を継いで忙しいからとテストだけ受けに来るものもいる。


 オリビアは竜騎士団に所属することになり、ドラゴンたちの声が聞こえる環境にも慣れたいと思い家族の処刑後ずっと学園に足を運んでいなかった。


 ちゃんと申請もし、受理もされたはず。


 なのになぜ?


 普通はされないお願いにオリビアは首を傾げる。


「………………その…学園で君を虐め……じゃなく…えっと……君に嫌な思いをさせてしまった者がいただろう?もちろん君が皆を許してくれたというのはわかっているんだよ?本当に君の器の大きさには尊敬の念すら抱く程だ」


 だらだらと額を流れる汗をハンカチで拭く学園長。ハンカチがぐっしょりと濡れている。目の前に置かれたカップに紅茶を注げば慌てて手を伸ばし飲み干している。


「……現在学園はなんで君が学園に来ないんだとプチパニック状態になっていてね」


「…………………………」


 なるほど。話が見えてきた。


 確かに学園では色々とあった、というかやられた。だからやっちまった人たちの一部は謝りに来たわけで許したとはいうものの姿を現さないオリビアに本当に許されたか不安が募っているということか。


「人の心は変わる。君の気持ちが前とは変わっていてもとやかく私が言うことではない。それに君が学園を嫌っていたとしても仕方ないと思う。だけど学園の長として現状のままというわけにもいかない。君が今何を思っているにしろ一度学園に来てくれないかい?」


 うむ。学園長も彼らに会いたくないからオリビアが学園に行かないと思っているよう。別にそういうわけではないのに。


「わかりました。明日から行きます」


「本当かい!?ありがとう!これで毎日学園長室に怒鳴り込まれないし、授業もまともに受けてくれるよ!」


 そんな状態になっていたとは。学園長お疲れさまです。


 別に権利として取れるものは取った方がお得かと思っただけなので、取らなければ良かった。


 じゃあ、明日待ってるからね!と潤んだ目でこちらを見上げ胸の前で人を拝むかのように手を合わせると学園長は帰って行った。


『 学園に行くの? 』


「あらマリン、ご飯は食べた?」


 いつの間にか現れたマリン。こくりと頷いた後胸元に飛び込んできたので抱きかかえる。


「行くわよ。勉強は嫌いじゃないし」


『 ふ~ん……でもママ達は生徒達にも教師たちにも怒ってたわよ?オリビアが声をかければ全員の家壊すくらいはするわよ 』


「そうなの?」


『 うん。オリビアが罰を望んでないから我慢してるみたいだけど 』


「ふーん。別にあれぐらいどうでもよくない?あれは虐めに入るの?」


 自分が学園の人たちにやられたことなんて些細なことのような気がするが……。そんなに過保護にならなくても良いのに。皆大袈裟だと思う。


『 ママ達から聞いただけだけど、結構なことやられてたと思うわよ。…………そんな風に思うオリビアはちょっと変わってるだけよ 』

 


 ちょっと変なドラゴンに変わってると言われた。


 静かにガーンとショックを受けるオリビアだった。


 

 

  


 

 


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