46話 まだ消化できてないんでしょ?♡
話題ニュースまとめ速報!@Wadaiーmatome 10分
【超絶悲報】魔法少女、撃墜
〇〇市に出没の怪人が魔法少女隊を圧倒!
魔法少女のひとりが敵の攻撃にやられて墜落した模様
怪人の能力によるものか、落下中に忽然と姿を消す…
頼みの魔法少女リツの姿も見えず
最強の魔法少女も強敵を前に敵前逃亡か?
東京都壊滅までのカウントダウン始まる――
魔法少女の闇を暴く@anti-Mahosyozyo 8分
リツが怪人にやられたようですね
目撃者がたくさんいます
これも神のご意思
魔法少女はこの世界に災いをもたらします
#魔法少女を追い出せ #真実に目覚めよ #HAPPY&PEACE
ヨウヘイ@YO_HEIHEI 7分
リツやられたってマジ?
こんな画像回ってきたんだけど…(グロ注意!)
【リツが血塗れで地面に倒れている画像】
怯える子猫ちゃん@Nyan_Nyan_Chan 6分
リツもやられたの!?
もうダメだ!おしまいだ!東京は終わり!
とりあえず食料品とトイレットペーパー買い込んで地下室にこもった
夜には東京を発つつもり
命が惜しいならみんなもそうしたほうがいいぞ
カナ@Happy-LifeJK 5分
まってまってなんかめっちゃデマ流れてる
校舎の窓から見てたけど魔法少女は死んでないよ
確かに攻撃を受けたけどリツに助けられてた
限界アラサーOLの憂鬱@around30 5分
有給とって買い物に来てたら魔法少女が飛び込んできてビックリ!
なんか変なデマとか偽画像とか出回ってるけどリツちゃん元気だったし、怪我した魔法少女の子もこっちで保護してるよ
AI偽画像やインプレ稼ぎのデマに惑わされないで!
カナ@Happy-LifeJK 3分
みんな見て!リツが戻ってきた!
【近隣の高校の校舎から撮った、リツの動画】
話題ニュースまとめ速報!@Wadaiーmatome 1分
【お詫び】
先ほどの魔法少女に関するポストですが、不確かな情報だったため削除いたしました
皆様を混乱させてしまい大変申し訳ありませんでした
話題ニュースまとめ速報!@Wadaiーmatome たったいま
【超絶朗報】魔法少女リツ、颯爽と見参!
やっぱり俺たちのメスガキは違うぜと話題に!!!
プイプイによる配信もスタートした模様!!!
乗り遅れるな、このビッグウェーブに!!!!
***
リツが戻るまで魔法少女たちは上空で一塊となり、それぞれ魔法障壁を張ってリュウザキの攻撃を凌いでいた。
被害は出ていないものの、防御に徹するので精一杯。
「ルナさん、どうしましょう。このままじゃジリ貧です」
魔法少女たちは焦っているようだった。
攻撃に転じなければ勝つことはできない。
しかし魔法障壁を解き、この猛攻をいなしながらリュウザキに攻撃できる自信のある者などいない。
なにより、先ほどのルナの攻撃はすべてリュウザキに当たったにもかかわらずダメージが通った気配がない。
生半可な攻撃は無意味。
だからこそ、ルナは怪人の意識を自分たちに向けて被害の拡大を防ぎながら待ったのだ。
魔法少女たちの切り札がやってくるのを。
そして、ルナは目を細める。
「来たわ」
流星のごとく空を駆ける光。
金髪のツインテールに、輝く黄色のワンピース、そしてあどけないながらもどこか生意気な顔。
律だ。
負傷した魔法少女を安全な場所に避難させ、現場へと戻ってきたのである。
それを目視で確認し、ルナは右手を挙げて合図を出す。
「撤収よ。わたしたちは住民の避難支援に回りましょう」
「そんな。リツさんがいくら強いと言っても、ひとりでは荷が重いと思います。加勢したほうが」
「アハハ! アタシたちがチョロチョロしてたって邪魔になるだけだよ」
不安そうな魔法少女の言葉を、セイラが笑い飛ばした。
その目で律の戦いを見ていたルナとセイラには分かる。
律に加勢など必要ないことを。
ルナもフッと笑みを浮かべ、セイラの言葉に頷く。
「わたしたちはわたしたちにできることをするのよ。リツ様が存分に暴れられる環境を作って差し上げましょう」
***
『きたああああああああああああああ!!』
『リツちゃん待ってました!!!』
『プイプイ配信おせぇよ!!』
『ガセ情報とか偽画像が出回ってたから心配したぜ』
『騙されてんじゃねぇよ!!!リツがやられるわけねぇだろ!!!!』
『○○市在住の者です。お願いリツちゃん、怪人を倒して』
プイプイによる配信もスタート。
白昼堂々怪人が出没し、人を襲って丸呑みにするというショッキングな事件はあらゆる媒体で報道されていた。
平日昼間にもかかわらず、配信早々同接は30万人を記録。
特に怪人が出没した○○市近隣に住んでいる者たちは固唾を呑んで配信を見守っていた。
「いたいた♡ ざこのおじさん♡」
律は上空からリュウザキを見下ろし、容赦のない嘲笑をぶつける。
「人間丸呑みしたんだって?♡ 中年おじさんのざこ胃腸のくせに食欲旺盛♡ でもそろそろ胃もたれしてきたんじゃないの?♡」
歪んだ唇から八重歯を覗かせ、大きく開いた手の平を口元に当てる。
いつもの嘲笑。
しかしリュウザキに浴びせられるその眼光はいつになく鋭い。
「――まだ消化できてないんでしょ?♡」
ふわりと地上に降り立ったリツは、ステッキをリュウザキに突きつける。
『え、それって』
『もしかして丸呑みにされた人間たちもまだ助かるかもしれないってこと?』
『マジかよ!!!』
『ほんとう?ほんとうに?涙が止まりません。家族が怪人に飲まれてるんです』
『お願い……お母さんを助けて!』
律の発言にコメント欄は大いに沸き、被害者家族とみられるリスナーの祈るような言葉も散見される。
しかし、当のリュウザキに反応はなかった。
「うう……ううう……うあ……」
その目は朦朧としており、だらしなく開いた口からはうわごとのように意味を持たない言葉を垂れ流している。
完全に正気を失っている様子だが――
しかし研ぎ澄まされた殺意は確実に律へと向けられていた。
「うがああああああああああああああッ!!」
まるで獣のような咆哮。
リュウザキの体から伸びた有毒の触手と火の玉が律へと襲いかかる。
しかし。
「その攻撃はもう見切ってるから♡」
律はステッキを一振り。
魔力で創り出した風が吹きすさび、触手はちぎれ飛んで火の玉は吹き飛ぶ。
しかし攻撃は終わらない。
次の瞬間、配信画面からリュウザキの姿が消えた。
『は!?』
『おい、どこいった?』
『消えたの?』
『まだ能力持ってんのかよ……』
『気をつけてリツちゃん!』
正しくいえば、消えたのではない。
リュウザキは稲妻を纏い、人間の動体視力では追えない速度で走ったのである。
さらに拳を鋼鉄に変え、背後からリツに襲いかかるが――
「いやいや笑」
振り下ろされた鋼鉄の拳を、リツは振り向きもせずステッキで受け止める。
リツが浮かべているのはもはや嘲笑ですらない。
苦笑であった。
「これって全部リツが倒した〈ブラッディドラゴン〉の怪人の能力じゃん笑 負け晒したざこオールスターズぶつけられても笑」
地面を蹴り、ふわりと浮き上がった律の回し蹴りがリュウザキのこめかみにヒット。
ふらふらとよろめいたその隙を、もちろん律は逃さない。
ステッキを振りかぶり、リュウザキの脳天にそれを振り下ろさんとする。
「はい、リツの勝――」
いつもの必殺の決め台詞。
普段であればそのままステッキを振り下ろして終了だ。
が、今回はそうはならなかった。
律の動きが一瞬だけ止まる。
「……中に誰かいるね♡ リツのこと呼んでるの?♡」
配信には入らないほどの小声で律は呟く。
「いいよ♡ その誘い、乗ってあげる♡ でも後悔しないでね♡」
そして律は改めてステッキを振り下ろす。
ステッキの先端についたハート型のクリスタルがリュウザキの頭にめり込み、やがてその部分が膨張した。
『は?』
『え?』
『なにこれ……』
やがてリュウザキの全身が爆発的に膨張。
――そして、律の体を飲み込んだ。




