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アラサーTSメスガキ魔法少女に煽られて恥ずかしくないの?♡ざぁーこ♡  作者: 夏川優希


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44話 なんでそんなに慌ててるの?♡

「なにをやっているの、プイプイ!」



 魔法少女連盟戦略会議室にルナの怒声が響き渡った。

 その切れ長の目から発せられる刺すような視線がプイプイへと向けられている。



「ルナ、ちょっと落ち着くプイ」


「落ち着いてられるものですか! 魔法少女が変身を解くのは、怪人出没地点から離れた安全な場所で――そんな初歩的なこともリツ様に教えていなかったなんて!」



 変身を解いたあと怪人たちに囲まれて襲われた――そんな話をリツが雑談としてセイラにしていたところ、そばで聞いていたルナがプイプイに激昂したのである。

 他の魔法少女たちにも招集がかけられているらしく会議室には次々と魔法少女が入ってくるが、ルナにそれを気にする素振りはない。



「初心者魔法少女への教育プログラムをマニュアル化すべきだとずっと言っているでしょう!」


「そ、そうプイな……魔法少女連盟の職員にも共有するプイ……」



 プイプイが気まずそうに視線を逸らしているのは、なにも怒られてふて腐れているからというわけではない。

 ルナが床に這いつくばり、律の足に頬をスリスリしているのを直視できないでいるのだ。



「……律さんって変身前もそんなに強いんですか?」



 姉のあまりにもアレな姿から視線を逸らすようにしてセイラは律にそう尋ねる。



「強いよ♡ リツは最強だから♡」



 と答えるが、もちろん律に武道の心得などない。

 アラサー社畜時代はどちらかといえば体力にも筋力にも自信はなく、(もちろんやったことなどないが)喧嘩は弱い方であろうと思えた。

 怪人に襲われた時は、敵の殺意に反応して体が勝手に動いたのである。

 魔法少女は変身せずともそういったことができるのだろうか、などと律は思ったがどうも一般的ではないらしい。

 プイプイ曰く、



「まぁ律さんの体は魔法で作り替えられたものだプイ。なにが起きてもおかしくはないプイ」



 とのこと。

 なんとも曖昧な答えだが、アラサーの男から魔法少女になった人間など前例がないのだから仕方がない。

 そうこうしているうちに、戦略会議室に魔法少女たちが揃ったようだった。



「そろそろ時間ね。始めましょうか」



 ルナは床から起き上がり、何事もなかったかのように魔法少女たちの前へと立つ。

 伸びた背筋、凜とした表情、理知的な瞳。

 先ほどまで律のスネに頬を擦りつけていた人間と同一人物であるとはにわかに信じがたい。



「これより〈ブラッディドラゴン〉殲滅作戦を始めます」



 魔法少女たちの地道で懸命な捜査により、怪人組織〈ブラッディドラゴン〉の新しい事務所や組織の規模、どんな能力を持った怪人がいるかなどの情報が出そろったのである。

 ルナは背筋を伸ばし、作戦概要を改めて確認する。



「今日の昼間に〈ブラッディドラゴン〉定例会議が行われるとの情報を入手しています。幹部の怪人たちは全員参加するはず。つまりそこを叩けば〈ブラッディドラゴン〉を一網打尽にできる」



 そしてルナは手に持っていた紙の束を掲げた。



「細かい動きは先日配布した指示書の通りに――」


「え、待って♡ 指示書って?♡」



 律は慌てて手を上げる。

 指示書なんてものをもらった覚えはなかったからだ。

 するとルナは弾かれたように地面を蹴った。

 ほとんどヘッドスライディングのような動きで跪き、律の足をぎゅーっと抱き締める。



「リツ様にわたしが指示だなんて恐れ多い! リツ様は自由に動き回って、存分にその力をお示しください♡ あ、でもそんな説明を省いてリツ様を不安にさせてしまうだなんて、これはお仕置きされても仕方がありませんね……?♡」


「姉ちゃん、もう時間ないから!」



 物欲しげな眼差しで律を見上げるルナをセイラが引き剥がし、律は内心でホッと安堵のため息をつく。

 そしてルナは不服そうにしながらも咳払いひとつで気持ちを切り替え、再び凜とした声で魔法少女たちに指示を出す。



「それではみなさん参りましょう。〈ブラッディドラゴン〉を叩き潰すのです」



 しかし魔法少女たちの考えた作戦はまったく使えなくなってしまった。

 なにひとつ、計画通りにいかなかったからだ。


 まず、向かった先――〈ブラッディドラゴン〉の新事務所には誰もいなかったのだ。

 プレハブ小屋には確かに〈ブラッディドラゴン〉の物と思われる資料などが残されており、ついさっきまで人がいたような痕跡があるにもかかわらず、どこを探しても人がいないのである。



「どうしたんだろう。会議が中止になったのかな?」


「まさか魔法少女の襲撃計画がバレちゃったんじゃ?」


「みんな気をつけて。怪人共がどこかに隠れてるのかも」



 魔法少女たちはそれぞれの考えを口に出すが、実際にはそのどれでもなかった。



「緊急出動だプイ! 麓の方の町だプイ!」



 プイプイがスマホを片手に声を上げる。

 緊急出動なんて妖精さんには日常茶飯時だ。

 しかし律はプイプイの様子に違和感を覚えた。

 その声にはなぜか緊迫したものがあったからだ。



「プイプイってば、なんでそんなに慌ててるの?♡ 〈ブラッディドラゴン〉の連中が町で暴れてるとか?♡」


「リツさん……これ……」



 と、セイラが取り出したのもスマホだった。

 〈ブラッディドラゴン〉の構成員がどこにいるのか。

 ヒントは今まさにインターネットに散らばっていた。



***



もにちゃん@MoNI-Chan 10分

え?

まってまって

お母さん食われたんだけど


山田光太郎@Yamada_0916 8分

※※※注意※※※

東京都○○市○○町辺りに怪人が発生しています!

絶対に、絶対に近付かないでください!!


梨奈氏@Na_Na_Shi 6分

なんか変な動画流れてきたんだけどwwww

人が人に丸呑みされてるwwww寄○獣かよwwww

AI丸出しwwwwww

AI…だよな…?


カナ@Happy-LifeJK 3分

学校の外に怪人がいるっぽい

その場で待機だって

どうしよう死にたくないよ…


JPKニュース@JPKnews 1分

【速報】

○○市で怪人発生

付近にいる方は頑丈な建物の中に入り、決して外に出ないでください

命を守る行動を


話題ニュースまとめ速報!@Wadaiーmatome たったいま

【グロ注意!】

閑静な住宅街に突如として怪人出没

道行く人間を食いまくってる模様

(動画はあまりにショッキングなため、こちらでモザイク処理しています)



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怪人っていうかー 最早怪獣っていうかー
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