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【第三章始まりました】「死んだ娘」と捨てられて――皿洗いから始まる逆転人生  作者: 風谷 華
第三章

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第14話 白金色の奇跡

 私は、目を閉じた。

 砂漠の熱風が、頬を撫でる。

 黒い騎士の剣が、振り下ろされようとしている。

 太陽の光を遮って、巨大な影が私を覆う。


 もう、終わりなのだ。

 でも――

 みんなは、助かる。

 敵の狙いは私だ、私が死ねばみんなは助かるかもしれない――


 その時。

「リディアああああ!」

 レオ様の声。

 私は、目を開けた。

 倒れていたはずのレオ様が――

 血を流しながら、砂の上で立ち上がっている。

 足が震えている。

 でも、諦めていない。

 

 そして――

 駆け出してくる。

 砂を蹴って。

 私の前に、立つ。

 黒い騎士の剣を、受け止める。


 ガキィィィン!

 金属がぶつかる、激しい音が砂漠に響く。

 衝撃波で、砂が舞い上がる。


 でも――

 レオ様の体が、限界なのがわかる。

 震えている。

 血が、剣の柄を伝って、砂に滴り落ちる。

 膝をつく。


「レオ様……!」

 私は、叫んだ。

 レオ様が、血を吐きながら

「リディア……逃げろ……」

 涙が、溢れる。

 熱い涙が、頬を伝う。

 砂漠の熱風が、涙を乾かそうとする。

「嫌……嫌よ……! レオ様を置いて……逃げられない!」


 黒い騎士が、不気味に笑う。

 その声は、砂漠に不気味に響く。

「まだ生きていたか……では、お前から殺してやろう……」

 黒い騎士が、レオ様に剣を向ける。

 その剣は、太陽の光すら吸い込むような黒さ。


「やめてええええ!」

 その瞬間――

 私の体から、金色の光が溢れ出した。

 無意識に。

 まるで、体の奥底から湧き出るように。

 手を前に出す。

 金色の光が、私の手のひらから放たれる。

 眩い、金色の光。


 砂漠が、一面金色に染まる。

 砂が、金色に輝く。

 空気が、金色に震える。


 黒い騎士が、少し怯む。

「くくく……ヴェルディナの金の光か……」

 でも――

 光が、黒い騎士を包む。

 金色の光の波が、騎士に迫る。

 黒い騎士が、少し後退する。

 砂を踏みしめて。

「だが……その程度では……」


 私は、必死に力を込める。

「もっと……もっと……!」

 金色の光が、強くなる。

 光の粒子が、空気中に満ちる。


 でも――

 黒い騎士は、倒れない。

 黒い鎧が、金色の光を弾いている。

「無駄だ……お前一人の光では……我を倒せぬ……」


 私は、絶望した。

(金色の光でも……倒せない……!)

 涙が、溢れる。

 砂漠の風が、涙を運んでいく。


 その時――

 レオ様が、立ち上がった。

 血を流しながら。

 砂を踏みしめて。

 剣を、構える。

 刀身が、太陽の光を反射する。


「リディア……俺が……一緒に……」

 レオ様が、自分の魔力を剣に込める。

 すると――

 黒い光が、剣を包んだ。

 漆黒の光。

 まるで、夜の闇のような。


 アラン兄様が、砂の上で目を開ける。

「黒い……光……?」

 サリアも、驚いた顔で

「レオンハルト様の魔力……黒い……」


 レオ様が、黒い騎士に斬りかかる。

 黒い光を纏った剣で。

 砂を蹴って、跳ぶ。


 でも――

 黒い騎士が、笑う。

「アシュベルの黒の魔力か……それも無駄だ……」

 黒い騎士が、レオ様を殴る。

 巨大な拳が、レオ様の体に。

 レオ様が、再び吹き飛ばされる。

 砂の上に、叩きつけられる。

 砂煙が、大きく上がる。


「レオ様ああああ!」

 私は、駆け出した。

 砂を蹴って。

 レオ様に駆け寄る。

 抱きかかえる。


 レオ様の体が、冷たい。

「レオ様……お願い……死なないで……!」

 涙が、止まらない。

 レオ様の顔に、涙が落ちる。

 レオ様の顔が、血で汚れている。

 レオ様が、弱々しく

「リディア……すまない……俺は……また……」


 その時――

 私は、無意識にレオ様に触れた。

 レオ様の頬に、手を当てる。


 その瞬間――

 私の金色の光が、レオ様の体に流れ込んだ!

 金色の光が、レオ様を包む。

 優しい、温かい光。

 レオ様の傷が、癒えていく!

 血が止まる。

 切り傷が、塞がっていく。


 レオ様が、驚く。

「これは……」

 私も、驚いた。

「私の光が……レオ様の中に……」

 レオ様が、立ち上がる。

 傷が、ほとんど消えている。


 剣を、構える。

 自分の黒い魔力を、剣に込める。

 黒い光が、剣を包む。

 そして――

 私の金色の光が、レオ様の黒い魔力に混ざっていく。

 金色と黒が、螺旋を描いて混ざり合う。

 二つの光が、絡み合う。


 そして――

 眩い白金色の光に変わった!

 圧倒的な力!

 剣が、白金色に輝いている。

 その光は、太陽の光よりも眩しい。

 砂漠全体が、白金色に染まる。

 砂が、白金色に輝く。

 空気が、白金色に震える。

 まるで、世界が生まれ変わったかのような光。

 全員が、目を見張る。


 アラン兄様が、砂の上で

「あれは……!」

 サリアが、息を呑んで

「金色と黒が……混ざって……白金色に……!」

 ライリー様が

「なんて……力……」

 ルキウス様が、目を輝かせて

「美しい……」

 カトリーナがぼそっと

「すごい……」


 砂の中から、ニーヴが這い出してくる。

 砂まみれの白い毛が、白金色の光に照らされている。

「おお! お嬢とレオの光が……混ざってる! 超カッコいいじゃん!」


 黒い騎士が、驚く。

 初めて、動揺した声。

「まさか……金と黒が……混ざるとは……!」

 レオ様が、斬りかかった!

 白金色の光を纏った剣が、空気を切り裂く。

 光の軌跡が、砂漠に描かれる。


 そして――

 黒い騎士を、斬る!

「ぐああああああああ!」

 黒い騎士の鎧が、砕ける。

 破片が、砂の上に散らばる。

 破片が砂に触れると、消えていく。


 レオ様が、もう一撃!

 白金色の光が、黒い騎士を貫く!

 光の柱が、騎士を包む。

 黒い騎士が、悲鳴を上げる。

「ぐああああああ! こんな、はずではなかったのに……!」


 黒い騎士が、膝をつく。

 砂に、膝をつく。

 他の影たちも、次々と消えていく。

 白金色の光に包まれて。

 霧のように、風に吹かれて消えていく。



 私は、手を広げた。

 白金色の光が、全方向に広がる。

 波のように。

 全員を包む。

 温かい光。

 まるで、春の日差しのような。

 倒れていた全員の傷が、癒えていく。


 アラン兄様が、起き上がった。

 砂を払って。

「傷が……消えている……?」

 サリアも、立ち上がって

「この光……温かい……」

 ライリー様が、驚いた顔で

「白金色の光で……治癒されている……」

 ルキウス様が、自分の体を見て

「美しい……なんて美しい光……」

 カトリーナが、涙を浮かべて

「リディア様……」


 ニーヴがドヤ顔で

「おお! 俺様も治った! さすがお嬢とレオ! 最強コンビだな!」

 

 光が、収まる。

 砂漠が、元の色に戻る。

 でも、空気はまだ温かい。

 白金色の光の余韻が、残っている。


 私とレオ様は、呆然としていた。

 二人で、顔を見合わせる。

 レオ様の瞳が、私を見つめている。

 レオ様が

「今の……力……」

 私も

「私の金色の光と……レオ様の黒い魔力が……混ざって……白金色に……」



 消えかけていた黒い騎士が、最後に言葉を残す。

 砂に倒れたまま。

「くくく……まだ黒と金だけだ……」

「もうすでに……手遅れだ……お前たちが全員手を組む前に……我らが……妨害する……」

「七つの国を……七つの色を……争わせる……」

「お前たちは……決して……全員で手を組むことは……できぬ……」

 そして、完全に消えた。

 黒い霧となって、風に吹かれて消えた。


 沈黙。

 砂漠の風の音だけが聞こえる。



 

 アラン兄様が

「七つの色……?」

 ニーヴがドヤ顔で、尻尾を立てて

「七つの国には、それぞれ違う色の魔力があるってことだ!」


 レオ様が、剣を鞘に収めながら

「リディアの金色の光と……俺の黒い魔力が混ざって……白金色になった」

「恐らく……七つの国の魔力を全て混ぜれば……」

 私が、続ける。

「もっと強大な力になる……」

 

 ライリー様が

「だから、あの化け物たちは……」

 サリアが

「七つの国を争わせて……手を組ませないようにしている……」


 ルキウス様が

「だから、カルナード王国の名を騙って……」

 ニーヴがドヤ顔で、胸を張って

「俺たちが手を組むのを邪魔してるんだ! でも無駄だ! 俺様たちが手を組めば無敵なんだから!」


 アラン兄様が、納得した顔で

「なるほど……だから、七国会議を……」


 私は、決意の表情で言った。

 砂漠の風が、髪を揺らす。

「だから……絶対に……七国会議を成功させます!」

 レオ様が、頷く。

「ああ。七つの色を集めて……世界を守る」

 全員が、決意の表情をした。

 太陽の光が、みんなを照らしている。


 決意を新たにした瞬間、

 私は、少しふらついてしまった。

 魔力を、使い果たしたのだ。

 視界が、揺れる。


 レオ様が、すぐに私を抱きかかえる。

「リディア!」

 私は、微笑んだ。

「大丈夫……ちょっと疲れただけ……」


 ニーヴが、私の肩に飛び乗る。

 小さな肉球が、肩に触れる。

「お嬢、無理すんな! 休め! 俺様が見張っててやるから!」

 私は、笑った。

「ありがとう、ニーヴ」


 アラン兄様が、優しい顔で

「リディア……お前、すごい力だったな」

 サリアが、微笑んで

「白金色の光……美しかったです」

 ライリー様が、温かい目で

「あの光で……みんなが救われました」

 ルキウス様が、ポーズを取りながら

「俺の美しさに匹敵するほど美しい光だった」

 カトリーナがぼそっと

「ありがとうございます、リディア様」


 私は、涙を浮かべた。

 嬉しい涙。

「みんな……無事でよかった……」


 全員が、微笑む。

 温かい空気が、流れる。

 砂漠の風も、優しく感じられる。


 アラン兄様が指揮を取る。

「さあ、宿へ戻ろう。今日はゆっくり休め」

 全員が、頷く。

 馬車に、戻った。


 砂を踏んで進む、馬の足音が心地よかった。

 私は、レオ様に寄りかかった。

 馬車の中で。

 

 窓から、砂漠の景色が見える。

 夕日が、砂漠を赤く染めている。


 レオ様が、私の頭を撫でてくれる。

「よく頑張ったな」

 私は、微笑んだ。

 

 そして――

 少し眠ってしまった。

 レオ様の腕の中で。

 温かい腕の中で。

 

 ――白金色の光。

 それは、新たな希望の光だった――

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