4 パーティー
「あの……」
「ひゃいっ」
びっくりした……。しかも、声も裏返ちゃった! 恥ずっ!!
声をかけられたことによって、ようやく人が周りにいっぱい集まっていることに気がついた。
「麗華嬢で合っておりますか?」
「はい」
めっちゃ可愛いっ……。でも、なんだろう……?
はっ、まさか、マナーが変わって、間違ってた?
「お綺麗です」
思っていたのと全く違うことを言われて、一瞬あっけにとられる。
「あ、ありがとう。あなたもお美しいですわ」
私に言われたのは、社交辞令なんてことは分かっている。
だって、私なんかが綺麗なわけがないのだから。それに、目の前の令嬢やいつもパーティーに参加している令嬢の方が綺麗に決まっているし、その中だったら、私の外見なんて比べ物にもならないはずだ。
「嬉しいですわ。 麗華様はどちらの家系の出身なのでしょうか? 今まで社交の場でお見かけしたことがないのですけれど……」
「えっと……」
どう、答えよう……
あっ、確か……渡されたプロフィールには、体が生まれつき弱かったから、社交の場に来られなかったと書いた。私はそのまま答えることにした。
「実は、生まれつき体が弱くて、ずっと家で療養していたんです。だから、あんまりこういう場に出るのは初めてなのです。何かが間違っていましたら、ご指導よろしくお願いします!」
しゃっぁ! 無事に超えられたことが嬉しくて、口に出さないけど、心の中で騒ぐ。
これで、流行が変わってたり、マナーが変わったところがあるとしても、怪しく思われないはずだ!
「そうなのですね。こんな美しい人を社交の場であったことがないから……」
目の前の令嬢が何かを言って、周りの者が同調するようにうなずいた。
「え?」
なんと言ったのだろう。心の中で喜びの声をあげてたから『そうなのですね』しか聞き取れなかった。
すると、目の前の令嬢ははっと我に返ったように「なんでもないですわ。気になさらないでください」と言う。
なんだかそう言われると気になるのだが、聞き返しても多分答えてくれないパターンなのだろうな。と思って、気にしないことにした。
そのあと、また何と思ったのか、令嬢は口を開いた。
「気分がすぐれない、なんてことはありませんか?」
「大丈夫ですわ。心配してくださり、ありがとうございます」
目の前の令嬢が本気で心配していることが伝わってくる。きっといい人なんだろうなぁ、となんとなく思った時だった。
「レン様のおなーり」
と言う受付の人の声が響く。
その声に、一気に注目が入り口の方に集まる。
そして、その人物を見て、私は思わず目を見張ることになった──
「言い訳がうまい、控えな性格で思わず助けるようなところやプロフィールをしっかりと押さえているのもいいわ。これはいい人を紹介したわね……」
令嬢が周囲にも聞こえない声でぼそっと言う。周りはもちろん受付のほうに意識を持っていかれた私に、その声は届くことはなかった。




