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伝説のスパイは溺愛から逃れたい  作者: 空雨 依里
3章

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25 婚約者のふりをすることになりました

 部屋から出た私は口を開いた。


「なんのつもりですか?」

「……なんのことだか」


 レンは私の口調をそのままパクって、使いながら薄く笑う。


「……本当の目的を言ってください」

(ざんざん私を追いかけて、私の本名の澪里にたどり着いたこの人は、絶対に護衛を雇いたいだけなわけがない)


「うーん、澪里を手に入れること」

(嘘に聞こえない!!)


 ぞわっとして、鳥肌が立つのを感じた。


「……と言ったらどうする?」

「ご冗談を」

「冷たいな〜」


 そう返しながらも、レンの言葉は嘘に聞こえないのが、怖かった。

 いや、本心を読まさせないところが、余計に恐怖をそそのかしているようだった。


 ホテルでの、執着を見て、体験したからだろうか。


「うそうそ、俺の婚約者になって」

「? どういうことですか?」


 婚約者……? 一体この人は何をいいの出すだろう。


「偽りのね、」


 その説明でようやくわかってきた。


「つまり、婚約者のフリをして、ということですか」

「そう、これでも公爵だし? 権力ばっかり求めるものばかりで、うんざりしてきてね」


 さっきと変わってこれは、嘘には見えない。本当に困っているのが伝わってくる。


 なにを考えているのかはわからないけど、ひとまず、油断しないように気をつけて、ゆっくりレンを調べればいいか。


「なるほど、了解しました。護衛も兼ねて、危険からお守りします」

「うん。助かるよ。ってことで、レッツゴー!!」


 テンション高めなレンに、ガシっと腕を捕まえられる。


「え」


(えええぇぇ!!!)


 有無を言わせずに連れ去られるのだった。


 「ちょ、っと待って!! ひ、引っ張らないで!!」


 体勢を立て直そうにも、そのたびにスピードを上げられる。

 通り過ぎて行く、景色を見ながら、この人、公爵だよね? って思った私だった。



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