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伝説のスパイは溺愛から逃れたい  作者: 空雨 依里
3章

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24 護衛の依頼

「この方……レン様が、澪里をぜひ護衛として雇いたい。と依頼なのだが……断ってもいいぞ」

「……失礼ながら、なぜ私なのでしょうか? 私よりも強い護衛や腕の立つ者が居ると思います」


 完全に仕事モードに入る。レンのことは後で考えよう。


「高級ホテルで、その腕の実力を見たそうなんだ」

「っ」


 思わず息を呑む。

 そんなはずはない。なぜならその日、ちゃんと変装した。

 それに仮名だ。私にたどり着くのか。


(どうやって?)


 疑問が出て、レンを凝視する。しかし、レンが私の視線に気が付くとにこりと表面の読めない笑みが返って来た。


 レンから視線を外し、今度はボスを見る。

 私が気付く違和感だ。ボスにも気づいているはず。


 そう思ってみると、ちょうど《ああ》とスパイの暗号でボスが言っていた。


《あり得ないことだ。しかも、澪里はいつも変装しているのだろう?》

《はい》


 私も暗号の言葉を使って答える。


《今回の任務は、護衛という名の偵察だ》

《つまり、バレた理由を裏で探せということですね》


 “護衛をしつつ、レンの情報網について調べろ”ということだ。


《そうだ。こちらでも調べたが、全くと言っていいほどに情報が出てこなかった。だが、もちろん断ってもいい。澪里だって危険が伴うしな。その場合はこっちが調べる》

《いいえ、お引き受けします》

《いいのか? 無理はするなよ?》

《大丈夫です。ありがとうございます。また何かがあったら楓で連絡させていただきます》


 確かに……少し怖い。レンはなぜか私に執着をみせているから。スパイをやってきて、その感覚が訴えている。


(……けど、私に関わっているのなら、しっかりと知りたい)


 それに、私が断ったら誰かが危険な目に遭ってしまうかもしれない。


《わかった。違和感があったら、すぐに引き下げてくれ。任務はいいから》


 優しいな、ボスは。……でも、私はやると決めたものは最後までやりたい。


「はい。承知いたしました」


 暗号ではなく、普通に言う。

 『はい』はボスに。『承知しました』はレンに向けて。


 ボスはしばらく私を見て、やがて言った


《……気を付けてな。………澪里に何かがあったら、凛も悲しむからな》

《了解です》


 精一杯に大丈夫だと応えるために、微笑んで、レンとボスの部屋から出た。


 《俺もな》とボスが言っていたのは、部屋から出来てた私にはもちろん聞こえなかった。



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