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「くたばれ、クソ神様」  作者: 無脊椎動物
いざ、ブリフィアへ
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47、思わぬ合流

 クルト君(子供の名前、ちなみに男の子)に引っ張られながら案内されたのは他の建物より一際大きい建物だった。

 しかしそれはよく言えば趣のある、悪く言えば少し古びた、まるで田舎の教会の様な。


「着いたよー」


 そう言ってやっとクルト君は手を離してくれた。

 その顔はニコニコとした笑顔で彩られ機嫌が良さそうにピコピコと主張する犬のような耳が見ているこちらを微笑まさせてくれる。


「クルト君、ここは?」


「僕達の家!」


「僕達?」


 僕達、と言うことは家族だろうか?

 しかし、例え古びていてもこの建物だと一家族が住むには大きすぎる。

 ならばそれなりの家柄か、と言われてもクルト君の格好や建物の外見からしてそうは思えない。

 となると・・・・・・


「孤児院、かな」


「あ! シスター!」


 どうやら、思った通りここは孤児院みたい。

 ギィィィィ、というまあ、趣のある音と共に中から出てきたのは修道服を纏った女の人。

 修道服を着ているため人族か獣人かは判別がつかない。


「あら、クルト。お帰りなさい」


「ただいま、シスター! ねぇ、紹介したい人が居るんだ!」


「紹介したい人?」


 そうしてシスターはこちらに向き直る、やはり改めて正面から見てもやはり判別はつかない。

 人、もしくは鳥の獣人だろうか?


「あなたは?」


「カコお姉ちゃんって言って僕の怪我を治してくれたんだ!」


「怪我を?」


「いえ、大したことでは」


「それでも、お礼を言わせてください。ありがとうございました」


 そう言って深々と頭を下げられた。

 うーん、そんなつもりじゃなかったんだけどな。


「治して頂いた、と言うことは回復魔法でしょうか?」


「はい」


「ならば魔力を使われてお疲れになったでしょう。お礼と言っては何ですが中で少し休まれていきませんか?」


「ご親切にどうも、ですがまだまだ魔力には余裕が有りますので」


 確かに以前の私では魔力切れを起こしていただろう。

 だがリヒト契約している今ならばそれぐらいは何の問題もない。

 それはリヒトがアラタとして離れて契約が弱くなっている今も同じだ。


「せめてお茶でも出せれば、と思ったのですが」


「ええー! カコお姉ちゃんもう帰っちゃうの!」


「クルト、あまりワガママを言って困らせてはいけません」


「でも僕も何かお礼がしたい!」


 ・・・・・・仕方ないかな。


「すみません、少しの間上がらせて貰ってもよろしいでしょうか?」


「良いよ!」


「しかし、よろしいのですか?」


「別に予定が有るわけでも無かったので、大丈夫ですよ」


「そうですか、ならば腕によりをかけて淹れさせてもらいますね」


「ありがとうございます」


「早く、ついてきて!」


 そう言ってクルト君はドタドタと孤児院の中に駆けていく。


「全く、あの子は。何時もこうなんですから」


「元気が有って良いではないですか」


「元気が有りすぎるのも困ったものですよ。では狭くて古い所ですがどうぞ上がってください」


「お邪魔します」


 そう言って扉に手を掛ける。

 大きな見た目とは裏腹に扉は何の抵抗もなく、軋みながらゆっくりと開いた。


 孤児院の中は思っていたよりも広かった。

 シンプルな造りがどこか落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 また置かれている十人は座れるような大きなテーブルと小さなイスがそれを手助けする。

 確かに古びてはいるが隅々まで掃除が行き届いているのが分かる。


「それではイスに座ってお待ち下さいね・・・・・・あら」


「どうか致しましたか?」


「私としたことが、茶葉を切らしていることを忘れてしまっていました。すぐに買ってくるので少し待って頂けますか?」


「構いませんよ」


「すみません、出来るだけ早く致しますので」


 そう言ってシスターは走って出ていってしまった。

 ・・・・・・あ、名前聞くのを忘れてたな。


「ねえねえ!」


「ん? どうしたのクルト君?」


「カコお姉ちゃんは魔法使いなの?」


「そうだよ」


「ねぇ! 何か魔法を使ってみてよ!」


 キラキラとした、期待に満ちた目で見つめてくるクルト君。

 まあ、このぐらいの年なら魔法とかに憧れるか。


「わかった。・・・・・・フォイア!」


 手のひらから炎を出す、もちろん被害がでないように出来るだけ威力と大きさを抑えたものを。


「すごーい! ねえねえ! 他には何か無いの?」


「たくさん有るよ」


「本当! なら皆に見せてほしいんだ!」


「皆?」


「そう、皆! 喜ぶと思うんだ!」


 どうしようか?

 何人かは分からないから魔力が持つかどうか。

 ・・・・・・まあ、さっきみたいに抑えればよっぽどのことがない限り持つかな。


「うん、良いよ」


「ありがとう! ついてきて!」


 ああ、また駆けていって、室内で走ったら危ないじゃない。

 私はクルト君を追いかけた。



 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽



「そうして見せたら催促が延々と続いたしまったと」


「うん」


 それはまあ、御愁傷様です。

 しかしカコがそんなミスをするなんて珍しいな。

 魔力管理に関してはかなら上手かったのに。


「いや、魔力じゃなくて精神的にね」


「ああ、なるほど。お疲れ様」


「ありがと・・・・・・」


「すみません、今戻りました・・・・・・あら?」


「シスター!」


 あっ、ようやくシスターさんが戻ってきたな。

 とりあえずは自己紹介でもするかな。

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