46、一方その頃
「あ~一応聞いておくが大丈夫か?」
「・・・・・・大丈夫」
無事孤児院に着いた俺達を出迎えてくれたのはまさかのカコだった。
ただし、いつもとは違いやつれたような顔だが。
カコはその辺の事はしっかりしているからこういう姿はある意味新鮮だ。
「全く大丈夫そうに見えないんだが? と言うか何があったんだよ」
「それは・・・・・・」
それでは、この作品ではお馴染みの回想シーンに入ります。
部屋は明るくして、画面から離れて読んでください。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
結局リヒトは一人で調査に行ってしまった。
出来れば私も付いて行きたかったが私ではリヒトの足を引っ張ってしまう。
散々助けてもらっているにこれ以上は迷惑を掛けたくない。
改めて自分の弱さが歯痒かった。
そんなリヒトの後ろ姿を思い出しながら私は一人ため息をついた。
「・・・・・・ううん、これじゃあダメ」
そうだ、落ち込んでなんか居られない。
リヒトは今一人で調査をしている。
それにもしかしたら強敵と戦って苦しんでいるのかもしれない。
なのに私がこんなで良いのだろうか?
答えは否。
「じゃあ、どうする?」
今の私でも出来ることを必死に考える。
リヒトの後を追う?
・・・・・・足を引っ張る可能性が有る。
フランメ様の所に行く?
・・・・・・いや、おそらくもうこれ以上の情報は出ない。
町の人に話を聞いて回る?
・・・・・・そうだ、これだ!
もしかしたら何か有益な情報が手には入るかもしれない。
そうでなくともこのままなにもしないよりは良い。
「よし!」
そうと決まれば先ずは方針の決定だ。
今私達が手に入れている情報は大まかに分けて3つ。
1、東の洞窟に魔物の凶暴化の元凶が居ること
2、その洞窟へと続く大量の足跡
3、謎の黒ローブの集団
おそらくだけど、黒ローブの集団は無関係では無い。
少なくとも何か知っているはず。
そして今気づいたことが1つ、これらの情報は全て町の外の事だと言うこと。
でももしかしたら謎の集団はこの町にも来ているのかもしれない。
と、なると今やるべきは黒ローブについて聞いて回ることかな。
考えが纏まり今まさに行動を開始しようとした目の前で一人の子供が転んだ。
走っていたこともあってかそれなりの勢いで地面を滑る。
「大丈夫?」
次の瞬間には私は子供に駆け寄っていた。
「うぅ、だ、大丈夫」
・・・・・・良かった、どうやら膝の擦り傷以外は怪我は無いようだ。
ただ、その肝心の擦り傷は今まさに血が滲んでいて見ているこちらも痛くなる。
「ちょっと動かないでね」
私が手をかざすと周囲が暖かい光に満ち、光が収まる頃には膝の擦り傷はすっかり消えていた。
そして本人はそれを驚いた顔で見ている。
・・・・・・懐かしいな、私が初めて魔法を見たときもこんな感じだったな。
「すごいすごい! お姉ちゃん魔法使いなの?」
「そうだよ」
「やっぱり!」
さて、この子の怪我も直したしそろそろ調査に戻ろうかな。
「もう、転ばないようにしてね。それじゃあ」
「待って! お礼をさせて」
「お礼? 別に良いよ」
「良いから!」
そう言って私の腕をグイグイと引っ張る。
・・・・・・まあ、良いか。
町の人達は逃げたりしない、なら少し後回しにしても良いだろう。
私は引っ張られるがままに付いていく。
このときの私は知らなかった。
これから待ち構えている試験を。




