31、確かな成長
鳥のさえずりとともに人々は目を覚ます。
点々と張られたテントから這い出し互いに朝の挨拶を交わす。
そんな平和な朝がそこに広がっていた。
そう、ここにあるのは平和だ。平和なのだ。
昨日警戒しながらも何事もなくキャンプに着き、それならばと全力で探知魔法を広げテントを囲う。
そしてもしもの時にと周りの影の中にはリヒト球を詰める。
俺が考えられるものでも最高の警備体制を広げた。
そして迎えた朝。
つまり、何も無かったと言うわけなのだ。
おっしゃぁぁぁぁぁあああ!
どうだ見たか! 俺だって何も起こさずに平和を作れるんだよ!
ここまでが長かった、一睡もせずの警備。
リヒト球の暴走も警戒し、途中からリヒト球が暴走したとき止めるためのリヒト球を設置。
それも警戒して暴走を止めるためのリヒト球の暴走を止めるためのリヒト球を設置した。
朝になる頃にはリヒト球を止めるリヒト球を止めるリヒト球止めるリヒト球をさらに暴走する前に止めるリヒト球を監視するリヒト球をリヒト球してリヒト球るためにリヒト球リヒト球リヒトだまリヒトだま……
あれ? リヒト球って何だっけ?
まあ、なんやかんやで俺は勝った。
あぁ、俺は成長したんだな。
この頬を流れるものは今までの苦労を讃えるものだ。勲章なのだ。
「大丈夫?」
俺が一人、感動に包まれ震えているとカコが心配そうに声をかけてきた。
その声を聞き俺は一気に冷静になる。
……うん、徹夜で少しテンションがおかしくなってたな。
こういうところから誤解は始まるんだ、ちゃんと直していかないとな。
そう、心をもっと落ち着かせよう。
「大丈夫だ、問題ない」
「そう? なら良いけど」
あれ、某有名なフラグになってね?
もしかして、フラグ立てちまった? まずくね?
「さて、今日のうちにブリフィアに行くか? それとももう一度キャンプを挟むか?」
「私は今日のうちにブリフィアに着いた方がいいと思うわ。カコちゃんはどう思う?」
「わたしも同じです」
「よし、それじゃあ朝食をとったら出発しようか」
「ええ」
「分かりました」
クーアとカコが中心となり、てきぱきと準備を進めていく、その事を提案したクロードは手を出そうにも出せずに居る。
あ、二人に追い出された。背中から哀愁が漂う。
……うん、まあきっと良いことがあるさ。
いざ登山となったら活躍出来るから、な?
俺は届かないエールをクロードに送り続けた。
まあ、それはさておき一つ気になることがある。
昨日からだが俺の探知魔法にちょくちょく何かが引っ掛かっては抜けてを繰り返しているのだ。
初めは魔物かと思ったが、それならばリヒト球が反応している。
ならば人間なのだが一体何をしているかという疑問が残る。
……はいはい、何時ものだろ。
ほら、もう分かってるからとっとと来いよ。
その方がお互いにとっても時間を無駄にせずにすむだろ?
……はぁ、胃が痛い。




