19、どうか普通であってくれ
俺達は今馬車に揺られ、依頼のあった町に向かっている。
初めての依頼ということで俺は張りきっていたがあの後、カコからの無言の圧力に耐えきれずに今回は手を出さないことに決めた。
そんなに心配しなくてもただのゴブリン退治だから何も起こらな……いや、自分でも否定できないな。
しばらくは傍観に徹して手加減というのを学ぼう……あぁ、何時になったら俺の異世界冒険記ははじまるんだ。
「嬢ちゃんはなぜあんなところに? あそこは何も無い田舎だよ。」
俺が一人で落ち込んでいると他の乗客がカコに話しかけてきた。
まぁ、俺達とそのおっちゃんしか馬車に乗っていない様な村だ、純粋になぜか気になったんだろう。
「私はギルドで依頼を受けたので。」
「へー! そんなに若いのに冒険者なのかい!」
分かりやすくとても驚いたというリアクションをとる。
それを見てカコは少し嬉しそうな顔をする。
「しかし、どんな依頼を受けたんだい? あの辺りは平和だから何かのお使いかい?」
「いえ、村長さんからのゴブリン退治の依頼です。」
「そうなんだ……物騒になったねぇ。前まではあの村は魔物なんて出ないところだったのに。」
「そうなんですか?」
「昔はね。でも、最近魔物が活発化してるじゃないか。もしかしたらその影響かもね。」
ん? 魔物の活発化? そんなことが起こっているのか。
……真っ先にあのクソを思い付いた俺は間違っていないはず。
「お客さん。着きましたよ。」
っと、もう着いたのか思ったより早かったな。
いつの間にかだいぶ話し込んでたな。俺がじゃないけど。
「じゃあ、依頼頑張ってなー。」
「はい! ありがとうございます!」
おっちゃん良い人だったな。さて、
「村長の家はどこなんだ?」
「依頼書によるとあの一番大きな建物らしいよ。」
カコが指差した方向を見るとそこには周りよりも一回りほど大きな家があった。
……どうか普通であってくれ。決して地下とかで怪しい実験とかしてないでくれ。
村長の家に着くと家の前で何やら作業をしているおじいさんを見つけた。依頼書に書いてあった特徴からして村長に間違いないだろう。
ぱっと見は普通のおじいさんだな……いや、油断するな、もしかしたらいきなり奇声をあげながら飛びかかってくるかもしれない。もしくはこの閉鎖的な村を利用して邪神を崇めている狂信者かもしれな
「あなたが村長さんですか?」
「そうですが~、あなたは?」
「私はあなたからの依頼を受けて来ました。」
「おお! やっど冒険者が来てくれますたか! でもこんなに若いお嬢さんだとは思いませんですた。」
普通だあぁぁぁ! やっと普通が来てくれたよ! 待ちくたびれたよ!
俺が喜んでいる間に話は終わったらしい。どうやら最近近くの森でゴブリンが出るようになりその駆除をお願いしたいそうだ。
ただし、あまり森の奥に行き過ぎると強い魔物が出る可能性があるんだと。
……一気に不安になったんだが、絶対何かあるよなこれ? 何も起こらないはずか無いよなこれ!?




