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三章十話目

いつかどこかで書いた、次の話はジャンヌダルクを書きます、という話ですが。

あれはあまりの歴史資料の多さにちょっと心が折れてます。

「どうあってもこの子を救うことはできないのかしら」と、ちょっと諦め気味です。

まあ、また考えがまとまったら書き進めようとは思いますが、予定は未定です。

すみません。

 テーブルに突っ伏して酔っぱらったアンリに代わって返事をしたのはユキエばあさんだった。

「どなたですか?」

 そういった男たちの相手には慣れているのか、涼しい顔で厨房から出てくる。

 数人の男たちの前に出る。

「私がこの店の主人ですが、何の御用ですか?」

 強面の男たちに穏やかな笑みを向ける。

「ゆ、ユキエさん」

 レインは椅子から立ち上がる。

 ユキエばあさんの後姿と、テーブルに突っ伏しているアンリを見比べる。

「ちょ、ちょっとアンリさん」

 男たちに聞こえないように小声でアンリに呼びかける。

 アンリは赤い顔でゆっくりと顔を上げる。

「う~ん、エトスか?」

 のんびりと答えるアンリに、レインは肩を揺さぶる。

「ちょっとしっかりしてくださいよ、アンリさん。あの人たちがアンリさんはいるか、と呼んでいるんですよ」

「おれを?」

 アンリはぱっちりと目を開ける。

 のろのろと立ち上がる。

「あ~、おれがアンリだけど。あんたたちはだれだい~?」

 呂律の回らない口調で話す。

 おぼつかない足取りで男たちの方へと歩いていく。

 それには見ているレインが心配になるほどだった。

 ――大丈夫かな?

 レインが見守っている間にも、アンリは男たちの前に立つ。

「てめえがアンリか」

 男たちの一人が、アンリをじろじろと見回す。

「こんな野郎に、俺たちの船は散々な目に合わされたわけだ」

 その声には明らかな怒りがこもっている。

 ぎらぎらと殺気立つ男たちの視線に、そばにいたレインが震え上がる。

 ――ど、ど、どうしよう。

 顔を青くする。

 その中で、唯一穏やかな雰囲気のユキエばあさんが男たちにのんびりと声をかける。

「あら、物騒な雰囲気ねえ。喧嘩なら店の外でやってちょうだいね?」

「店の外に連れて行け!」

 男たちは以外にも素直にユキエばあさんの言葉に従う。

酔っぱらったアンリの首根っこをつかみ、店の外へと連れ出す。

 レインはなす術もなく、アンリが男たちに引きずられていくところを見守る。

 ――ど、どうしよう。このままじゃアンリさんが。

 レインは顔を青くしながら、おぼつかない足取りで店の入口へと向かう。

 アンリが男たちにタコ殴りにされている姿を想像し、戸口へと足を踏み出す。

「アンリさん!」

 レインが戸口から顔を覗かせると、外では予想だにしていない光景が広がっていた。

 殴りかかる男たちを相手に、赤い顔のアンリが身軽に避けている。

 何度男たちが殴りかかっても、アンリにかすりもしない。

「こ、このっ!」

 男が拳を握りしめ勢いよく殴りかかったが、それをアンリにあっけなく避けられ、逆に足払いをされて地面に倒れる。

「て、てめえ!」

 次に殴り掛かってきた男に対してもそうだった。

 今度は避け様に腹に一撃を叩きこむ。

「ぐっ」

 男は体を折り曲げ、地面に膝をつく。

 アンリは男たちを翻弄し、次々に地面に倒していく。

「え? えぇ?」

 レインはその信じられない光景を目の当たりにして、我が目を疑う。

 何度も自分の目をこする。

 やがて立っているのがアンリだけになり、男たちはみんな地面に倒れ伏す。

「あ、アンリさん?」

 レインは恐る恐るアンリに話しかける。

 アンリは赤ら顔で振り返る。

「なんだい? レインくん」

 アンリはにこにこと上機嫌で笑っている。

 レインは戸惑い、辺りに倒れている男たちを見回す。

「あ、あの、この人たちは一体」

 アンリはあっけらかんと言い放つ。

「あぁ、こいつらは空賊の連中だよ。俺は空賊を相手にすることが多いから、空賊の連中にはけっこう恨まれているんだ」

「は、はあ」

 レインはどう返事をしていいのかわからず、曖昧に答える。

 空賊の男たちは、地面に倒れうめき声を上げている。


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