嫌な予感しかしない出会いとお姉さんの微笑み
《次は〜…
降りる駅のアナウンスが流れる。
荷物を抱え、電車を降りた。ふと視線に入ったのはトボトボと歩く1人の青年。
その青年は紙を持っていてその紙を見ながらトボトボと歩いていた。
方向を間違えないようにメモしたんだろうなぁ…
あの子も地方から来たのかな。
青年に同情しながらホームへ向かう。
ここは大都会の匂いがプンプンと匂う街だ。数時間前まで田舎にいたとは思えない程の人数と騒がしさ
本当にここは同じ国?と思いたくなるくらい。
「よいしょっ…」
重いキャリーバッグの取っ手を下げて歩くのは本当にキツイ
ただでさえ旅行バッグも抱えているだけに、全身に疲れと痛みが走る
それとさっきまでの視線とは違う冷たいこの町の人々は
こんな格好で歩いていても何一つ視線が合わない。
だけど陰険な素質を持ち合わせてる田舎の視線よりはマシだ
ハッキリしてるのが分かる。
見られてるはずなのに焦点が合わない感じ、都会だな
みんな他人には興味はないけど目新しいものは気になる習性はどこに行っても同じなんだ
ジャージのポケットからスマホを取り出してお姉さんに着いたと報告し
連絡を待っている間、この土地の人々を観察していた。
すると
さっきの青年が私の隣にやって来た。
青年は私の存在に気づいていない様子で、さっきと同じ様に紙を広げて道を探っていた。
そんな彼を余所にお姉さんから返ってきた返信にスタンプを押して返す
青年「うわっ!?」
「はっ!?」
スタンプを押していた時、隣にいた青年が声を荒げてキョロキョロし始めた
その彼の声にビックリしてスマホを地面に落としてしまった。
ビックリした…何なんだ急に。
声を荒げるにしてもデカすぎでしょ声が。
もう…
ため息をつきながら落としたスマホを拾っていると
頭の上から囁く様なでもなんて言ってるか分からない声が私の耳に届く
「…っ!?はっ、え、ちょっ…な、何ですか?」
スマホを拾っていたとはいえ驚かすでもない不気味な声で囁かれたら
誰でも心臓に悪いだろう。勿論この犯人は彼の声だ。
青年「ぁ、す、スミマセン!」
直角に腰を曲げて謝る青年
手に持ってる紙を見せながらたどたどしい様子で私に尋ねる
その勇気も凄まじいけどなこの状況で。
青年「あ、えっと、ここってこの駅で合っているか分からなくて…
教えていただけませんか?」
日本語もちょっとおかしいな。令和って感じ。
ふぅっと息を吐き、ジャージの襟をクッと整え地図を覗いた
「えっ、」
青年「え?」
私は地図に記された矢印と文字に驚きを隠せない。
これは何かの間違いでは…?
そもそもこの字もあり得ない…
青年「あのぉ〜…?」
青年がどうしました?と言わんばかりの表情を浮かべるが
それに似た感情で私も青年に尋ねたい なぜに?…と。
なぜなら、彼の持っている紙に書かれてる地図や住所は
誰が何と言おうがこれから私が住ませてもらう親戚のお姉さんの家だからだ。
何で?どういうこと?
脳内はパニック状態で、パクパクと口が動き戸惑いを隠せない私は
彼と記された地図を交互に見つめる。
目の前の青年は何かを言いたそうな表情を浮かべ首あたりを人差し指で掻きながら
問いかける。
青年「えっと…」
彼の言いたい事は、分かる。
だけど私はこの状況が分からない…というか
困っているが正しいかもしれない。
「いや。ごめんなさい、、あの実はね…」
女性「おーい!!こっちこっち~」
私が青年に理由を説明しようとした時、女性が私と青年に呼びかける声がして振り向くと
大きく手を振りながら私達の方へと駆け寄ってくるお姉さんの姿があった。
青年は顔見知りなのかお姉さんに頭を下げている
そんな様子を私は、どういうこと? という言葉しか頭に浮かばず
状況の整理に追いつかない。
お姉さん「お待たせ〜、よく来れたわね〜!遠かったでしょ〜…。こんな大荷物背負って〜
待たせてごめんね!…君も、随分、遠い所まで来てくれてありがとう。」
お姉さんはそんな私を余所に心よく出迎えてくれて青年にも声をかけている。
青年「いえ。。」
「あのさ、、お姉さん、これってどういう…?」
お姉さん「ん?…ぁ、やだ、ちょっと待ってて、飲み物買ってくるわね!」
イヤイヤイヤ、それは後で良いってば!
なんて言える間もなく駅構内の売店に行ったお姉さん。
横にいる青年もどうやら私と同じ感情らしく
私をまじまじと見つめている
青年「えっと…これってどういう状況で、しょうか?」
「さぁ…?」
恐らくこの青年は私がお姉さんの家に住むことは理解したのだろう。
っていうか、今私と青年を残すってお姉さんって鈍感!?
理由も聞かされてないのに取り残される私と青年
お姉さんが戻ってくるまで話せる余地もなく無言の時間が続いた
お姉さん「ごめんね〜、はい。暑い中来てくれたお礼、じゃないけど飲んで。
冷えてるわよ〜ニコッ」
状況を理解できてない私と青年はジュースを受け取るも
聞きたいことは変わらずどちらも聞きたくて口や体がうずうずし始めた。
青年「あの!」 私「あのさ!」
お互い聞きたいことは同じらしく我慢ができなかった。
見事なまでにタイミングも言葉も重なった。
青年と顔を見合わせるもお姉さんはフフッと微笑み笑っている
「あのさ…」
お姉さん「ちょっと待って。聞きたいことは2人共同じの様だから、後で、ねっニコッ」
お姉さんははぐらかす
全く、ニコッじゃないんだよ。
私はこのやるせない感じにモヤモヤするが
お姉さんの判断は正しい様で…
大都会は面倒くさいなぁ。見ず知らずのやりとりが気になるのか…
住みやすいと思ったが前言撤回。
まぁでも。
お姉さんの家に住む以上従わねばな
郷に入れば郷に従え、だからな…
晴れない感情をグッと我慢しながらお姉さんの後をついていき
青年とお姉さんの車に乗りこれから住むお家へと向かった。
これからどうなることやら…嫌な予感しかしないな。




