目を覚ませ!
颯人がカミさんを家に向かい入れて半年、颯人は理人にカミさんとの結婚を報告した。
「なんでそうなるんだよ。目を覚ませ颯人!」
理人が颯人に、反対意見を述べるのは、初めてだった。
理人は、子供の頃から颯人の思いつきにワクワクを覚えさせられ、それがどんなに無謀なことであっても、その実現に尽力し、ブレーキをかけたことなどない。
しかし、かみさんとの結婚には、意を唱えずにはいられなかった。
「アイツ以上にいい女っているの?」
理人は、呆然とする。
(完全に恋ボケしてやがる。)
「珍しいだけだよ。今まで出会った人間と違うから。」
颯人には、何を言っても無駄である。
それを理人もよく知っている。
結婚に興味のなかった颯人が、なぜ結婚に至ったのか疑問は尽きない。
カミさんが、女を武器に颯人にすり寄っていたなら、騙されていると言えるが、カミさんは自分のアラをあらわにしている。
颯人もカミさんの性格に癖があることはよく知っている。
どうして颯人がカミさんとの結婚を選んだのか、未だ謎である。
また、カミさん自体、結婚に興味はなかったはずだ。
カミさんが面接に来た時のこと。
「人のものさしで判断しない。ものさしは自分。」
と言う、颯人の雑誌に載った言葉に惹かれて、入社を希望したと言う。
たまたま時間が空いていた颯人は、面接の様子をモニターしていた。
カミさんの前職の退社理由は、離婚。
颯人は理人に離婚理由を聞くよう、チャットを送る。
理人は、ハラスメントにならないよう、慎重に質問した。
「まだ、若いのに結婚、離婚を経験した理由を嫌でなければ、教えていただけますか?」
「はい、結婚にあこがれていただけで、好きではなかったとに気づいたからです。
人を本当に好きになったことがありません。
自分は人を好きになれないんじゃないかと思ったから、興味を持てるものを仕事にして、1人で生きていこうと思いました。
それをこちらの会社で見つけられると思いました。」
理人も私も、採用は無いと思ったが、颯人が採用を決めた。
「あれは無いよ。」
と言う理人に
「愛だの恋だの幻想を語るやつよりいいんじゃん?面白い。」
他の入社希望者のようなマニュアルにのっとった受け答えはしなかったのが面白いのか、役に立つような経験も資格もない、常人でない颯人だからこの時、普通と違うカミさんに興味を持ったのだろうか?
加えて、女らしさもなかった。




