颯人の母ちゃん
「どうして代表は、あの人を選んだんでしょうか?」
私は、理人に尋ねた。
「オレだってわかんないよ。
今まで、いい女とたくさん遊んで、颯人は、選びたい放題なわけじゃん?
よく言う、いいもんばっかり食ってたら、たまに味噌汁とか飲みたくなる的な?」
「それで、結婚までしますか?」
「そこだよね。
まぁ、颯人は起業するまでは全然モテなかったんだよな。
オレたちの学校ってさ、生まれが悪い奴は相手にしないじゃん?
起業して、マスコミに取り上げられるようになって、急に女が寄って来て、片っ端から付き合ってたけど、いい女に巡り会えなかったんだろうな。
強いて言うならアイツ、颯人の母ちゃんに近いからかな。」
「どんな方なんですか?」
「参観日にジーンズとかで来んの。
俺たちの学校じゃ考えられないじゃん?
バッグも布のトートバッグだったり、金持っても、うちの学校の母親たちみたいな格好はしないの。
それでいて、気も強かったな。
颯人は気が短いからよく問題起こしてたんだけど、理由なしに悪いことはしないって、絶対に謝罪しなかった。
だいたい原因は、颯人の育ちをバカにするヤツらだったんだけど、颯人を信じて自由にさせる母ちゃんだったな。
とりあえず謝っときゃ簡単に納まるのに、絶対に颯人の非を認めなくてさ。
颯人が、育ちにコンプレックス持たずに、自分に自信を持てたのって、あの母ちゃんのおかげだろうな。
そんな母ちゃんが卒業式の日にめちゃくちゃいい着物着て来た。
なんか、カッコ良かったよ。
結局、颯人の父ちゃんが、俺たちが高校の時、若い女と浮気して、子供作って離婚したんだけど、今、1人で唐揚げ屋やってるって言ってたな。
颯人の母ちゃんの作る唐揚げ美味いんだよ。
品はないけど。
オレくらいかな、颯人の家で飯食ってたの。」
「食べてみたいな。その唐揚げ。」
「お前の口には合わないよ。油臭くて。」




