甘酒ジンジャーアイス
海外出張から戻った颯人が体調を崩し、病院で点滴を打ち家に戻った。
出張前から咳が続き、体調は思わしくないようであった。
理人は、まだ颯人の家の一角に住んでいるだけだったカミさんを家に戻す。
翌日、颯人は元気に出社した。
「お身体は大丈夫ですか?」
「すっかりね。甘酒アイスって食べたことある?」
「いえ、」
「甘酒は飲む点滴って言われてるらしいんだ。さらに生姜が入ったアイスはすごいよ。一晩で元気になった。」
「すごいですね。どこで購入されたんですか?」
「アイツが作った。オレの調子が悪そうだったから作ってたけど、躊躇してたらしい。」
金持ちの食べるものはわからないと言っていたカミさんだから、躊躇したのだろう。
颯人の体調を気にかけて、アイスを作らながら、出すことができなかったカミさんを颯斗が可愛く思っていることが伝わってきた。
「元気が出たら腹減って、オートミールと豆腐で作ったパンと、かぼちゃとチーズのスプレッドとアップルシナモンジャムも分けてもらって食べた。」
「お料理お上手なんですね。」
「節約のため、安い時にまとめ買いして、作り置きしてるって言ってたな。
オートミールと豆腐のパンは食パン買うより安いし、グルテンフリーだから体に良いって、全部合わせても100円程度って言ってた。
あまり調味料使ってないから、美味しいって言うより、素朴な味かな。」
つまりは、美味しいものではなかったのだろうか。
しかし、颯人は甘酒ジンジャーアイスが気に入ったようで、その日のうちに甘酒ジンジャーアイスの商品化プロジェクトが組まれた。
見本としてカミさんが作ったアイスはそれほど美味しいとは思えない素朴なものだった。
そこにプロの手が加わり、カミさんが贅沢をしたい時は、粒あんを混ぜることから、ノーマルな甘酒ジンジャーアイスと粒あんが混ざったもの、健康志向からプロのアイディアでブルーベリー入りの3種類が発売され、ヒット商品となった。
そしてオートミールと豆腐のパンも商品化、カミさんが作ったものと比べ物にならない美味しさで発売され、同じくヒット商品となる。
かぼちゃとチーズのスプレッドとアップルシナモンジャムも一緒に店頭に並んだ。
颯人は結婚した今も、商品ではなく引き続き、カミさんの作った素朴なオートミールと豆腐のパンを毎朝食べている。
カミさんは、料理が決して上手ではない。
節約のために料理をする程度のものだが、颯人はその料理に満足している。




