カミさんへの誹謗中傷
颯人のインタビューが、注目を浴び、会社には、颯人のファンと見られる女性からのメッセージがたくさん届く。
芸能人並みに、出待ちをされるようにもなった。
その一方で、カミさんの誹謗中傷が、SNSに書き込まれるようになる。
家事をしない、育児をしない、子供を産んだだけで、颯人を支配している。
負担の多い颯人がかわいそう。
颯人は、時間がある時に家事を行なっているだけで、普段は、カミさんが行なっている。
まったく、偏った解釈だ。
中でも、極め付けだったのが、カミさんの元夫によるカミさんの悪妻ぶりの暴露だった。
まともに家事ができない、姑との不仲、金目当ての結婚で、結婚後に本性を現した。
颯人が、名前でなく、インタビューで『カミさん』と呼んでいたのは、こういうことを避けたかったのだろうか。
そんな中、スーパーで買物をしているカミさんに、卵が投げつけられた。
その様子がSNSに上がる。
卵を投げつけられ、カミさんはすぐさま、子供を守るように体で包み、騒ぎの中、警備員が駆けつけるまで、子供をガードしたまま微動だにしなかった。
警備員が駆けつけると、上着とバッグで子供をガードし、移動する。
これが、颯人の愛した女性。
SNSを見た颯人は怒りに震え、卵を投げつけた者、SNSで誹謗中傷する者と、徹底的に戦う姿勢を見せた。
颯人は、私に呟く。
「オレといたら、カミさんは不幸になるのかな?」
落ち込む颯人に、私は答えた。
「大事にされて、世界一の幸せ者だと思います。
それに、代表以外に、彼女を幸せにできる方はいないと思います。」
颯人は、ふっと笑って呟く。
「カミさん、とっさに身を挺して子供を守ってた。
今回は卵だから助かったけど、もし他のものだったらって思ったら、子供のためにオレと別れた方がって考えねぇかな?」
「そう言われたら、別れるんですか?」
「カミさんが、そうしたいなら、オレは尊重するしかない。」
私は、カミさんと別れた後の颯人を見たくない。
カミさんはどうなんだろう?
颯人なら、別れても十分な養育費を渡すはずだ。
何も困らない。
別れを考えるだろうか?




